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【カフェ店員が分析してみた客席の景色とタピオカブームに少しだけ触れた記事☕️】

カフェと聞いて、すぐに思い浮かべるのは何でしょう。例えば、「スタバ」だったり「タリーズコーヒー」だったりするでしょう。コーヒーの文化はもともと日本で始まったわけではないのにも関わらず、カフェやそのブランドが日常に浸透しているのは、企業努力の賜物だったりするわけです。今回は【カフェ店員が分析してみた客席の景色とタピオカブームに少しだけ触れた記事☕️】というタイトルで書きました。

【この記事は読むのに5分以上かかります】



【目次】

①ぼくはカフェに何を求めるか②カフェに訪れるお客さん 年齢別分析③第三次ブーム④カフェの多様化 カフェはどのように「メディア」として機能するか





はじめに

カフェと聞いて、すぐに思い浮かべるのは何でしょう。例えば、「スタバ」だったり「タリーズコーヒー」だったりするでしょう。コーヒーの文化はもともと日本で始まったわけではないのにも関わらず、カフェやそのブランドが日常に浸透しているのは、企業努力の賜物だったりするわけです。
さて、昨年からコンビニのカフェラテの味に感動し、それからコーヒーの魅力に没入していった僕はいま、全国チェーンのカフェで働いています。今回、この記事を書こうと思ったきっかけは、カフェに抱いていたイメージの変化があったからです。具体的にいうと、それは、「コーヒーを求めていないお客さん」が多いことでした。
ぼくは大学で、メディア論 (コンテンツ、歴史、効果などを取り扱う研究分野。社会科学と人文学の両方の伝統を引いているが、源はコミュニケーション学) を学んでいます。そのため、コーヒーをメディア的に分析し、カフェを多角的に分析したほうがより面白いのではないか、と思い、この記事を書くことにしました。

カフェが好きな人、そうではない人も、ぜひ好きなドリンクを飲みながらお読みください。




①ぼくはカフェに何を求めるか

さて、この記事を読んでいただいているあなたは、カフェに頻繁に足を運ぶでしょうか?もしかしたら週単位で訪れる方もいるでしょうし、月、もしくは年単位で足を運ぶという方もいると思います。
日本では、スターバックスコーヒーやタリーズコーヒーといったシアトル系のコーヒーショップが1990年代にやってきた歴史があります。いまやスターバックスは全国に1,458店舗存在し、タリーズコーヒーは約700店舗を出店しているほどです。「都心を歩けばすぐにカフェ」と言ってもよい状況が僕たちの生活状況、といった感じです。

僕自身、カフェで働き始める前までは、テイクアウトで商品を注文することが主流でした。なぜかというと、「ドリンクは飲むためにあるから、わざわざ店内に行かなくてもよい」という考えを持っていたからです。ですが最近は、テイクアウトは絶対にしないようにしています。少しけち臭い主張になりますが、ドリンクの値段の中には、「空間利用代金」たるものが含まれていると考えるようになったからです。簡単に言い換えれば、それは「雰囲気代」です。
さらに僕がカフェに求める要素として、家で再現することのできない「おいしさ」を挙げることができます。先述したように、かつてはコンビニのカフェラテで満足していた僕ですが、カフェで働き始めてからその味の違いに驚かされました。豆の産地や保存方法、豆にかける圧力の強弱で、例えばエスプレッソは、味がまったく変わることを先輩方に教わり、試飲した際にも自分自身の舌で感じることができました。

ここまでまとめると、僕がカフェに求めるのは「雰囲気」と「おいしさ」の2つでした。カフェをカフェたらしめているのはBGMの種類や備品の色、店員さんの声の出し方、それから豆や豆の抽出の仕方なのです。

みなさんがカフェに求めるモノは何ですか?




②カフェに訪れるお客さん 年齢別分析

さて、ここからのテーマは、「カフェに訪れるお客さんは何をしているのか」というもの。【え、ドリンクを頼んでただくつろぎに来ているだけじゃないの…?】と思う方もいるでしょう。僕もそのひとりでした。この章ではそれを年齢別に分析してみようと思います。



・10代
僕だけでなく、皆さまもお察しのとおり、10代の人たちのほとんどは、自分のテキストを広げて、勉強に励んでいます。おそらく、10代の8割以上がそうです。彼らが求めているのは勉強しやすい雰囲気や静さだと思います。また、家でも図書館でもファーストフード店でもなく、カフェで勉強することで、いつもとは違ったリッチ感を同時に味わうことができるのです。
彼らが飲むドリンクを少し見てみると、やはりフラペチーノやフローズンタイプの飲み物、もしくはホイップが上に乗っている飲み物が多く、苦いコーヒー系の飲み物の注文は少ないように思います。これは田舎でも都市部での同じような状況でした。余談になりますが、シアトル発のカフェがここまで日本に浸透したのはミルク系の飲み物やホイップが乗った飲み物など、女性の心を鷲掴みにする商品がラインナップにあったからだ、と言われています。


・20~30代
この世代は、「仕事をカフェに持ち込む」というカフェの利用目的が多いように感じます。コンセント席に座り、ホットコーヒーを飲みながら、黙々とPCに向かう。ボールペンを片手にスマートフォンを片手に書類を片手に、と言うように何かをしながら飲み物を飲むといった状況を見ることができます。
飲み物に関して言及すれば、この世代から苦い系の飲み物がだんだんと市民権を得ているような感じがしますただし女性に関しては甘い飲み物が多く売れるような実感があります。
カフェでリラックスするというより、リラックスしながら仕事をしたい、というような利用目的なのではないでしょうか。


・40~50代
この年代からカフェの利用目的が多岐にわたると感じています。例えば、ファミリー席に座りながら複数人で1-2時間雑談を楽しんでいる主婦の方々。30代の方々と同様、仕事をカフェに持ち込む方々。ご夫婦でご来店される方々。お一人でご来店なさり、レジで「今日のオススメはなんですか」と味にこだわる姿勢を示す方々。このように、様々な利用目的でご来店なさるお客様がとても多い年代だと思います。


・60代~
男女問わず、リラックスしようと来店なさる方々がとても多いように感じます。また、コーヒーの味の違いを楽しんだり、デニッシュやドーナッツ類をご購入なさる機会も多いようです。時間的にも金銭的にも余裕ができる年代だと思いますそのため「とりあえずカフェに行ってみよう」と言うような会話が多いのではないでしょうか。そして頼まれる商品はほとんどコーヒーです。ミルク系や新商品をサジェストすると、「甘いの控えてるんだよね」とか「それは若い子が飲むやつだもんなあ..」と、体を気遣う発言や年齢に対するうしろめたさを示されます。そう、この世代くらいの方々は、「飲みたいから飲む」ということを自分に許していないのです。要するに、飲みたいドリンクを飲みに来ているというよりは、「老後の時間を優雅に過ごしたい」という願望がある...。このことから、地方のカフェでは、お昼時もおやつ時も高齢者の方々がたくさんいらっしゃいます。定住型のコト消費、です。




③第三次カフェ・タピオカブーム

さて、話は変わりますが、この章では飲み物業界の変遷について触れたいと思います。2019年の大ブームといってもよいのは「タピオカ」ですね。メディアやイベントなどでも取り上げられる回数が急激に増え始め、最近では『マツコの知らない世界 (TBS)』や先日代々木公園で開催された『台湾フェス』にも登場しています。実は、今は『第三次タピオカブーム』らしいのです。



カフェに関してはどうなのでしょうか。実は、カフェは既に飽和状態で、すでに世間に浸透している業界です。日本のコーヒーの推移は以下の図のとおりです。

(スライド作成: 猫ワイン)
https://www.google.co.jp/amp/s/news.goo.ne.jp/amp/article/dailyshincho/business/dailyshincho-569017.html
参考文献: 『カフェと日本人 (講談社)』


メディアコミュニケーション学の授業で、ある学生の発言が心に残っています。「ブームが去ったあとは、そのブームが定着して「文化化」するか、もしくは停滞するかのどちらかだと思う」──── 僕もその通りだと思います。このカフェという「メディア」がこんなに定着したことを考えると、タピオカも、本場の台湾やタピオカ人気が台頭してきているアメリカのように、日本でもそろそろ文化的に定着するのではないでしょうか。



④カフェの多様化  カフェはどのように「メディア」 として機能するか

コーヒーの需要は年々高まっています。1世帯あたりの年間のコーヒーの支出金額 (2人以上) は2004年で約4,900円、2013年では5,400円に上りました。そのコーヒーの需要の上昇に貢献しているのは、カフェだけではなく、コンビニコーヒーの存在が大きいです。

2018年の帝国データーバンクの実態調査では「2013年頃からコンビニで提供されるようになった、手軽で安価なカウンターコーヒーが大ヒット。ペットボトルコーヒーも今や市民権を得て、業態の垣根を超えて 大手カフェチェーンや、街中にある喫茶店との「カフェ戦争」が激化している。加えて、焙煎方 法や抽出者の違いを打ち出し、高品質なコーヒーを見える化した「第4の波(フォースウェーブ)」 が押し寄せつつあると言われており、今後もコーヒー需要がさらに高まると期待される。(帝国データバンク, 2018)」と述べられています。

このようにカフェが人気を博すにつれ、カフェの多様化が進んでいるように思います。

猫ワインが知っている限りの多様化するカフェの例をいくつか挙げ、それらについてコメントします。それらのカフェのメディア的役割は何なのでしょうか。

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p180801.pdf


【猫カフェ】

これは皆さんもご存じでしょう。動物カフェの中でも、今ではメインストリームのネコカフェ。数年前に猫派の人の割合が犬派を追い抜いたように、やはり猫は人気ですね。僕も猫カフェに訪れたことがありますが、その時はコーヒーは飲みませんでした。せいぜい備え付けの自動販売機で適当にジュースを購入したくらいです。そして他のお客さんも同じように、コーヒーを飲んではいませんでした。当たり前のようですが、どうやら「猫に会いに」猫カフェに来るようです。





【睡眠カフェ】

次は「睡眠カフェ」です。僕が初めてこの言葉を聞いた時に、正直、理解が及びませんでした。カフェなのに寝る……? カフェのイメージを根底から覆された感じです。でも詳しく調べてみると、とても合理的なビジネスをしていると感じました。2019年2月18日のネスレのプレスリリースです。

ネスレは、社会的に大きな問題となっている日本人の睡眠不足や睡眠負債に注目し、コーヒーの飲み分けを通じて新しい睡眠スタイルを提案する体験型カフェ「ネスカフェ 睡眠カフェ」をこれまでに 3 回期間限定でオープンし、 多くのお客様よりご好評をいただきました。 今回初めて常時営業を開始する「ネスカフェ 睡眠カフェ」は、皆様の生活の質を高め健康な未来づくりに貢献することを 目指すネスレが、日本人の「睡眠」の問題解決の一助となるライフスタイルをご提案することを目的としてオープンする体験 型カフェです。 ビジネスパーソンや観光客の皆様、大井町でお勤め・お住まいの皆様が、日中に理想的な仮眠をとっていただける場とし て、また良質な夜の睡眠を疑似体験していただける場として、「ネスカフェ 睡眠カフェ」の常時営業を開始します。

「人」と「睡眠」の間に介入し、メディア化。




【哲学カフェ】

次はなんとも硬く聞こえてしまう「哲学カフェ」です。最近この形態を知り、驚きましたが、蓋を開けてみると、足を運んでみたくなるような内容でした。哲学だけではなく、芸術作品について語り合う場所だったり、書評トークもできたりするイベントが哲学カフェで開かれるみたいです。哲学の場や知的な会話を欲している人にはもってこいの空間ですね。

https://loohcs.jp/articles/164





【ボードゲームカフェ】

最近、友人が「ボードカフェに行ってきたよ」と言うので、なにそれ?と尋ねました。どうやら、世界中から集めたボードゲームを体験できる空間だそうで、しかも料金が安い!! 売られてる飲み物はペットボトル類などの通常ドリンクだそうで、もはやカフェは、コーヒーを売る場所という定義以外に、「何かのテーマを楽しむ空間」という意味付けができそうですよね。

https://jellyjellycafe.com/54465





【English café】

最後はEnglish caféです。猫ワインは大学で英語を専攻しているので、数年前から言ってみたいと思っているのですが、なかなか行けていません。なぜかというと、まだEnglish caféは全国的に拡大していないからです。僕が言ってみたカフェは2つありますね。

1つ目は、English Only Café です

このカフェのホームページにはこう記されています。

『ENGLISH ONLY CAFE』はお金も時間も掛からず誰でも気軽に海外留学を体験できる空間、『カフェ留学』をコンセプトとし、『カフェ先進国』カナダのお洒落でアットホームなカフェをイメージした新感覚のカフェです。

日本にいながらコーヒー1杯の費用で『国際交流ができる』、『海外留学体験ができる』、『日常生活に英語を話す機会を作れる』、『カナダのカフェ文化、サービスを体験できる』のが 『ENGLISH ONLY CAFE』です。

『ENGLISH ONLY CAFE』は世界100ヶ国以上の方が参加する国際色豊かなカフェで、ランゲージ・エクスチェンジだけでなく様々なサービス、イベント、レッスンを提供しています。


2つ目は、TOEIC Caféです

たぶん毎年やっているのかな? 期間限定でオープンされるこのカフェ、まだ訪れたことがないのですが、資格試験で有名なTOEICの運営が、話す場所を提供するのは非常によいことだと思います。ただいま、IIBCは以下のイベントの参加者を応募しています。ぜひ行ってみたいですね!

https://www.iibc-global.org/iibc/activity/englishcafe.html



まとめ

さていかがだったでしょうか。長くなってしまいましたが、僕がカフェで働いた2カ月間と客として通った経験から、この記事をつくりました。先ほど某ファストフード店でカフェラテを飲んでいたのですが (またカフェラテかよ)、子供たちのはしゃぐ声や幼児の鳴き声が大きく、とてもリラックスすることができませんでした。たしかにファストフード店は安いので行きやすいですが、リラックスする行為には適していないのかもしれません。そういった点で、カフェは、「味」だけでなく「雰囲気」や「静かさ」なども付加価値的に作用していて、その付加価値に人々は引き寄せられるのではないかと改めて感じました。また後半紹介したように、カフェは万物のテーマに染まることのできる性質を持っている...。ハローキティビジネスと同じ理論な気がします。

「カフェ」という人と人の間に介入してくるメディア────、今回の分析はここらへんで終わりにしたいと思います。


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#タピオカ #スタバ #タリーズ #ビジネス #猫カフェ #哲学カフェ #カフェ巡り #睡眠カフェ

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