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花沢健吾の新境地か?「アンダーニンジャ」

ネットフリックスが「ワンピース」に続き、来月から「幽遊白書」の実写化ドラマをやるらしいね。
また妙に古い作品を持ち出してきたもんだな。
ジャンプ作品の実写ドラマは、今後シリーズ化するんだろうか。
ちょっと楽しみである。

実写版「幽遊白書」

皆さんは、ひとつの漫画をアニメ化するのと実写化するの、果たしてどっちがコスパとしていいと思う?
もちろん一概にはいえないものの、やはり制作費ではアニメの方が安上がりなんだそうだ。
少なくとも日本国内では、だけど。
これが米国になるとアニメ制作も結構おカネがかかるようで、実写とさほど変わらん額にまでなってしまうものらしい。
そして同じ額のおカネがかかるというなら、当然彼らはノウハウのある実写の方を選ぶだろう。
というわけで【アニメ>実写】の日本と【アニメ<実写】の米国は、根本的にコスパの問題としてそうならざるを得ないってことよ。

ちなみに実写ドラマでコスパのいいジャンルは何かというと、サスペンスとラブストーリーだろう。
事実、日本のテレビドラマはそのふたつで大半を占めてるわけで。
逆にコスパが悪そうなのは、SFやファンタジーだろうね。
セットや小道具、衣装などで、かなりのおカネがかかりそう。
その点でいうと、アニメはジャンルでおカネが決まるわけじゃないよな?
ラブストーリーだから安く、SFだから高い、なんてことはないと思う。
逆にいえば、テレビドラマで手つかずのSFやファンタジーはアニメの独壇場ともいえるわけで、そういうジャンルは目一杯やればいいさ。
ただ最近は魔法や異能力を扱った作品があまりにも多すぎて、少しバランスがおかしくなってきた気もするけどね・・。

通常、漫画はメディアミックスとしてアニメ化され、それが当たれば実写化がようやく検討されるものである。
ところが稀に、アニメ化されることなくいきなり実写化されるということもなくはない。
そのレアな例が、花沢健吾作品である。

「ボーイズオンザラン」と「アイアムアヒーロー」、この両方ともが実写化されて高い評価を得たんだが、なぜかアニメ化しなかったんだよね。
なぜそうなったのか、詳しい事情は知らん。
ただ純粋に、映画会社が「これを実写化したい」と思ったんだろう。
その気持ちは分からんでもない。
なんか花沢先生の漫画って、映画っぽいんだよな。
それもいまどきのやつじゃなく、70年代とかによくあるジメジメと湿った質感の邦画さ。
彼の描く主人公は、見た目が冴えない、性格もみっともないキャラで統一されている。
メガネをかけてるところを見るに、多分これは先生自身の分身、きっと過去の自分の投影なんだろう。

花沢健吾

彼の作風は、率直にいえば人間の見たくない部分をこれでもかと見せてくる感じで、正直見てるとだんだん不快な気分になってくるよ。
よってアンチが多いんだが、一方でコアなファンは根強くいる。
ただ主人公は、ここで勝たなきゃダメだろ!という場面で負けたりするし、「この後はこうなるだろう」というこちらの読みをことごとく外してきやがる。
ラストもいまいちスッキリしなかったりして、何だかザラついたものが心に残ってしまう作品なんだよね・・。

で、そんな花沢先生の漫画が遂にアニメ化されたわけで、それが現在放送中の「アンダーニンジャ」である。
これの主人公はメガネをかけてないので、今度のは先生の分身ではないだろう。
物語としては忍者vs忍者のバトル物らしく、いよいよ新境地といったところだろうか。
主人公が所属してるのはNINという組織で、敵対してるのはUN(アンダーニンジャ)という組織。
なぜこの作品のタイトルが、敵組織の名称なのかはよく分からない。
どっちが正義で、どっちが悪かも正直よく分からん。
NINもUNも国家のシビリアンコントロール下にないらしく、ということは
反社会的組織、もしくはテロ組織と解釈されてもおかしくないじゃないか。
実際、政府から刺客が送り込まれたりもしている。

主人公の霧隠九朗

この九朗はぼーっとしてるようでかなり実力の高い忍者みたいで、花沢作品の主人公にしてはカッコいい部類かも。

いや嘘、やっぱカッコよくない。

自分の母乳を搾って「母乳飲め」と周囲に勧める母乳オジサン

この母乳オジサンも忍者だったりする。
近所の子供たちにキモがられてるけど。

政府から送り込まれた刺客

このメイクの意味が分からない。

自分のハナクソを食べている山田さん

こういう美少女キャラも一応出てくるんだが、この子はハナクソを食べてるのでダメだ。
とにかく、出てくるキャラが全員キモくて、そこは花沢作品っぽくはあるんだけど。

第7話まできて、まだ物語の全容が全然掴めてこない。
とりあえずNINとUNの全面抗争になりそうなんだけど、送り込まれたUNの刺客が元NINだったりするんだからワケ分からん。
とりあえず主人公が所属するNINについて分かってることは、
・20万人規模の巨大組織
・子供たちを誘拐してきて幼少から暗殺術を叩き込み、忍者に育てている
・「おっさんといっしょ」というテレビ番組を海賊放送しており、そこでは法で裁けないクズを殺戮して人気を得ている
・組織の全容は、七人衆という最高幹部しか知らない
・遁という軍事衛星を所有しており、宇宙からレーザービームで狙撃が可能
・処刑した忍者の脳を猫に移植したりしてる
・七人衆のトップは脳移植で赤ちゃんの姿になっている
などであり、とにかくタチの悪い組織であることは間違いない。
対するUNについて分かってることは、
・講談高校が本拠地
・装備はNINよりも遥かに上
ということぐらいで、まだまだ謎に包まれている。

原作漫画がそうなってるのかは知らんけど、やたら時系列をシャッフルしてて、アニメを見てるというよりは小説を読んでるような気分になる作品だ。
先が気になるが、どうせ花沢先生のこと、必ずや予測を外した展開になるんだろう。
決して万人受けする作風ではないが、私はこの作品のオフビートなギャグが個人的にツボである。
敵の男性器を切り落とす任務を受けた男が、男性器を触るの嫌だなぁ、そうだ、これは男性器じゃなくておでんだと思うようにしよう、と思って切り落としたら本当におでんだった、というオチとかね。
意外とお薦めの逸品である。
ただし、普通のアニメ的面白さを求めてはいかんよ。


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