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「ダークギャザリング」に見る、日本の心霊

私は基本的にグロ系とか好きじゃないんだが、それでもなぜかクセになって視聴を継続してるアニメが「ダークギャザリング」だ。
これ、ホント気持ち悪い。
このホラーアニメを知らん人の為に説明すると、要は都内の心霊スポットを訪れて悪霊とバトルする、みたいな物語である。
ちょっとユニークなのはそのバトルの形式で、ここでは人間vs悪霊という対決じゃなく、悪霊vs悪霊の対決なんだよ。
というのも、この物語の主人公は過去に狩った複数の悪霊を使い魔にしてるという設定で、それを心霊スポットで戦わせてるわけさ。
悪霊同士のバトルというのは、なかなか珍しい。
そういや昔、「リング」の貞子と「呪怨」の伽椰子が対決するって映画もあったね。

Jホラーのトップスター夢の対決ということで話題になったが、このての話は「キングコングvsゴジラ」同様、決着なんてつかないのよ。
ちなみに、ラストシーンがコレ↓↓

例の井戸の上で激突する両者
その結果、貞子+伽椰子の融合体というNEWモンスターが誕生しました・・(笑)

思えば、貞子が世に出たのは1998年の映画「リング」で、一方伽椰子が世に出たのは2000年のOVA「呪怨」。
貞子の方が先輩、伽椰子は後輩なんだよね。
両者は、かなり性格が異なる。
貞子は呪いという形で人々を次々変死させるという遠距離攻撃可能の魔術師型悪霊であるのに対し、伽椰子は近距離攻撃を本分とするアタッカー型悪霊であり、かなり物理攻撃を仕掛けてくるタイプだ。
つまり貞子は「四谷怪談」等の日本の伝統的幽霊カルチャーの範疇にいるのに対して、伽椰子はもっとハリウッドホラー的というか、それこそ「13日の金曜日」のジェイソンみたくパワー系なわけよ。
で、「ダークギャザリング」に出てくる悪霊ってのは、明らかに伽椰子型、パワー系である。

「ダークギャザリング」の悪霊は基本、接近戦である

このてのやつを見て私はいつも思うんだが、この物理エネルギーは一体どこから発生しているんだろう?
そんなことをいちいち考えてたらファンタジーが成立しないでしょ、という理屈も一応は理解するにせよ、しかし少しは考えてみたいじゃないか。

ところで皆さんは、「ファティマの奇跡」って知ってる?
それは1917年10月13日、ポルトガルのファティマで起きたバチカン公認の奇跡である。

ファティマの奇跡の現地写真を掲載した報道記事

ことの発端は、3人の羊飼いの子供たちの前に「ファティマの聖母」が降臨したことから始まるという。
聖母は子供たちに3つの予言を授けた上で、「信じないだろうから奇跡を皆に見せる」と言い、その奇跡実行の日時と場所を伝えたらしいんだわ。
子供たちがそれを教会に伝えたところ、多くの信者が奇跡をひと目見ようとあちこちからファティマに集まってきたのね。
その数は数万人にもなったという。

聖母に遭遇した3人の子供たち

で、数万の群衆が集まった広場には最初雨が降っていて皆びしょ濡れだったらしいんだが、やがて雲の間から太陽が顔を覗かせた。
しかしその太陽が普通ではなく、なぜかジグザクに動いたり変色したり強いフラッシュを放ったり、そういう不可思議な超常現象が約10分間に渡って続いたらしい。
同時に、最初はびしょ濡れだった群衆も10分後には完全に服が乾いてて、また広場にあった水溜まりも干上がっていたという。
当然バチカンはこれの報告を受けて科学的検証を試みたらしいんだが、どうやってもトリックのようなものを発見できなかったとのこと。
結果、これは公式に奇跡と認定されたらしい。

もちろん、これを集団暗示によって見せられた幻覚、という解釈をしたい人も多いだろう。
あるいは大気光学現象の「幻日」、または太陽光を直視したことによる網膜の一時的な疾患、と主張する人もいる。
ひとつ気になるのは、現地にいた群衆が見た太陽の異常に関する証言が人によって食い違ってて、何らかの軌道を描いたという部分は比較的共通してるものの、その詳細は様々。
人によっては、何の変化もなかったという証言もあったらしい。
結論をいうと、正直よく分からんのよ。

大気光学現象・幻日

まあ、見たものに関しては主観も入る以上話半分で聞いとくとして、そんなことより私が気になるのは、広場の水溜まりが僅か10分で乾燥したという件なんだ。
こういうのは物理現象であり、もはや主観が関与しない事象である。
奇跡否定派は、これをどう説明つけるのか。
多分、「群衆が結託して嘘の証言をしてるのだ」ぐらいしか説明のしようがないでしょ。

この話を聞いて私がまず思ったのは、「信者の信仰心(強い思念)が数万という巨大スケールでリンクして、本来あるはずのない奇跡(聖母)を実体化させたのではないか?」ということさ。
いまや、思念が量子に作用することは二重スリット実験でも証明されている量子力学の基本であり、ひとつの物理。
思念によって、波状だったものが粒状となって実体化することは科学的事実なんだよ。
ただ現時点の人類の叡智ではロジックとして説明できてないだけで、現象として実在することだけは認めねばなるまい。
私は、聖母が現れることも幽霊が現れることも妖怪が現れることも、基本的には全て同一の物理現象だと思うよ。
それはもともと存在するものじゃなく、信じる人の思念があって初めて実体化するものじゃないだろうか?
ただ、科学の進歩によって超常現象の否定派が大多数となった現代、大昔に比べりゃ思念のエネルギー量は比較にならんほど枯渇してるだろうね。
思えば昔の古い伝承では、世界のどの国でもモノノケの類いが必ず出てくる。
そういうのを見て、我々は「昔の人ってモノノケなんて信じて頭悪い(笑)」と常に見下してきたでしょ?
でもひょっとしたら、マジで彼らは当時それを見てたんじゃないか、と今は考えるようになってきたよ。
科学を全く知らない昔の人の強い思念は、当時モノノケを実体化させるほどのエネルギー量があったんじゃないか、ってね。

昔の日本人が描いた百鬼夜行

ちなみに聖母の目撃例は世界でのべ数千件ほどあるらしいけど、日本で目撃された例は皆無だろ?
それはなぜかって、日本人の思念に聖母という概念が全くないからさ。
思念がなければ、実体化などできるはずもない。
日本人にとってそのてのものは、怨霊、悪霊といった怖いイメージのものであって、少なくとも3つの予言を授けてくれるような聖なる存在じゃないよね。
だから「ダークギャザリング」もそうだし、「呪術廻戦」だって邪悪な呪霊しか出てこないじゃないか。
日本三大怨霊の平将門・菅原道真・崇徳天皇、いずれも生前は邪悪な人では決してなかっただろうに、死んだ途端にめちゃ恐いという扱いになってる。
これは死んだ当人たちの資質の問題じゃなく、弔う側の思念が彼らを最凶の怨霊に育てたわけよ。

両面宿儺だって、もともとは日本に実在した普通の人間である

「ファティマの奇跡」で私が脅威に感じるのは、やはり僅か10分間で広場の水溜まりを干上がらせた物理的エネルギーである。
普通に考えて、それって凄いスケールのパワーだよ?
「呪術廻戦」で両面宿儺は高層ビルを破壊してたが、それに近いものがあると思う。
あながち、「こんなのアニメだからできること」とタカをくくってられないんじゃないか?
まぁ、日本人は欧米人ほど何かに対する信仰心が強いわけじゃないんだが、一応気をつけておいてほしい。
我々の思念が邪悪な形で人々がリンクした強い信仰になってしまえば、それこそ「ファティマの奇跡」の裏返しとして、悪霊が実体化する可能性だってゼロじゃないんだからね。

そういや「ダークギャザリング」に聖母ならぬ神様が出てくるが、思いっきり邪悪な感じだよね


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