私の何気ない日常の断片と、忘れたくはない記憶。

夜の恋人の輪郭を脳裏に刻む

目が慣れてくると真っ暗な部屋でも物や人の輪郭を少しだけ掴めるようになる。電気を消した直後は何も掴めないけれど、徐々に目が慣れていく感じが好き。彼の目や鼻や口を私の瞳で捉えられたとき、そのあまりの高揚感で彼の魂をそのまま吸い込んでしまえるような気さえする。

彼の鼻先を指先でツンとすると彼が驚いた反射で目を閉じる。ぎゅっと瞑った隙に口付けをする。顔を離して彼を見ると彼の瞳が真っ直ぐに私を捉えている。今度は私が吸い込まれてしまいそうになる。

俯くことを後ろめたくならない日

これからどうしようかなあとぼんやり考え雨が降る夜道を歩きながら赤信号の横断歩道で止まる。横断歩道の白線を沈めるようにまあるく縁取られている水溜まりをはじく水飛沫を眺めていると、赤信号の反射した色が血の色に見えておえっと気持ち悪くなる。目を逸らそうとすると、水溜まりの色が緑色に染まる。

青信号だ。気持ち悪さは消えてスキップするように歩き出す。雨の日は下を向いていても反射した色で信号が変わったことまでわかる。なんて憂う人々に良心的な天気なのだろう。俯くことを許されているような天気だ。

私はかわいい照れ隠しができない

アニメを見ながらソファに座って板チョコレートを食べている時にソファの下で寝転がっていた彼が「あ、そういえばさ」と私に話しかけようと顔を上げて私の方を向いた。「え…」とぽかんとした顔をしているので「？どうしたの？」と聞いたら「いや、めちゃくちゃ綺麗な顔してるなと思ってびっくりした、今のまま写真撮りたいちょっと止まって」と言われた。

部屋着でメイクもせずにチョコレートを食べている状態でそんな褒め方されると思っていなかった私はふいをつかれた。食べていた板チョコレートを彼の口に向かって突き出し「残り全部あげる」と言ってその場を立って彼から顔を見られないようにして話しを変えた。

私の照れ隠しはほんとうにかわいくない。以前友人を褒めたときに「えー、照れる、嬉しいなあ」と顔を赤くして笑いながら俯いていた顔が可愛くて、ああいいなあと思った。あの子ならこういうことを言われたとき逃げずにかわいい照れ隠しをできるのだろうなとふと思い出した。

冷静になって彼のところを振り向こうとすると後ろから抱きしめられ「(私)は照れてるとき唇きゅってなって目が泳ぐからわかりやすいんだよなあ」と茶化すように言われ、「はいこれ。どうせまたあとで足りないとか言うんだから」と口元に板チョコレートを戻された。チョコレートを口元でくわえたままドキドキと鳴る心臓の音に、おさまれと言い聞かせていた。

たぶんずっと、私にはかわいい照れ隠しなんてできないけど、まあ、いいか。

二日酔いの頭で考えることなんてたかが知れてる

二日酔いの頭で考え事をすると大体結論なんてものは出ない。考えているというより、想像に近い。ろくに頭が回っていないのだからそりゃそうか。お酒を飲んでいる最中は楽しいことしか考えないのに、なぜだか二日酔いの頭で思い出すことはもうどうにもならないのになみたいなことが多い。

翌朝の二日酔いは頭がぼうっとしていて、お酒を飲んでる最中よりもずっと理性を失いそうになる。冷静さもそれなりにあるくせに決断を鈍らせるような浮遊感。二日酔いの日はわざと頭をクリアにしない。ぼやけて見えないことがあるくらいがちょうどいいことはたくさんある。

行動して良かったと思える出会い

仕事がありがたいことに順調で、売上も右肩上がりになっている。けれど同時に税金のこととか確定申告に対する不安が生まれてきて、いくら勉強しているとはいえ、ひとりでは限界を感じた。

税理士さんを探して、相性の良い人に出会えるまで大変そうだなあと思いつつ、何件かまわってつい先日、見つけた、と思える税理士さんに出会えた。第一印象からよかったけれど、話の聞き方とか引き出し方も上手で、欲しかった知識をうまく汲み取ってくれる人。不安が顔に出ていたのか何度も「大丈夫ですよ」という言葉を挟みながらアドバイスや説明をしてくれた。それがほんとうにありがたかった。高圧的という言葉からほど遠いのに、重要な点ははっきり分かりやすく話してくれる人。

「それにしても綺麗な申告書だし、仕事も丁寧ですね、書類もわかりやすくまとめてくださってて」「商業とか経済系の学校出ました？」と言われて「いえ、全然」と返すと「ええええ」と驚いてて、笑っていると「頑張って勉強したんですね、売上状況を見てもお若いのにほんとうにしっかりされてますね。頑張ってきたんですね。」と言ってくれた。数日間ずっと不安で落ち着かなかったものがじんわり消えていくのを感じた。

顧問契約をする形ですすめているけれど、税理士さんが「今これだけ綺麗にできてるなら顧問契約はちょっとお金勿体ない気がしますね。」「とりあえず様子見で年1相談とか、単発依頼にしてみますか？」と言ってくれたのでそうすることにした。ほんとうに行動してよかった。

一生に一度になるお祝いだから

今週の日曜日は父の還暦祝いがある。父のプレゼントはたくさん悩んだ挙句、いつも映画ばかりみているので、きっと喜ぶだろうと思い、色々見て申し分ないスペックだと感じたBOSEのサウンドバーにした。一生に一度しかないのでちょっと奮発。

テレビの画面の大きさには満足している様子だったので、音質も良く慣ればさらに映画も楽しめるはず。あと音楽も。問題はアクセサリーとかとは違って大きいので渡す瞬間までバレずに居られるかということ。みんなはどんなものをあげているのだろう。母の還暦はまだ先だけれど正直父より悩む。

誰かのお祝いっていいね、自然と心が元気になる。


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ユニクロまで行くのは面倒だった日、近くのGUにインナーを買いに行ったらこのニットカーディガンが安くなっていたのだけど、合わせやすいし着心地良いしでかなり着ている。値下がっていくらだと思う？790円だよ信じられないね。

おわり。