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愛され方を忘れないで


iPhoneの自分用メモから派生し、駄文と化した頭の中を曝け出した生活の断片。すべて私のほんとうの記憶。



生活音を聞くと睡魔に襲われる

彼が3月10日に帰ってくると決まった。長いようで短かった。彼と長電話をしたときに付き合いはじめの頃を思い出すね、と言い合った。互いの生活音が電話越しに聞こえたりする感じが懐かしかった。眠りに誘われる。離れて暮らしている時間も悪くなかったな。帰ってくる日は新しいシーツとカバーに取り替えよう。

良い世の中になるって信じたい

収入上がっても税金は上がるだけだし働く意味を見失いそうになる。気持ち悪い、吐きそう。いくら好きな仕事をしていても対価は求めてしまう。

選挙にいったくらいで何も変わらないと思うけれど選挙にいかなきゃ何も動かない。次の選挙には念を込めよう。命を絶つ人増えますよ?と思いながらニュースを見ては反吐が出て具合が悪くなる。こんな世の中に産み落とされて果たして我が子は幸せになるのか、と思うたび子供が欲しいという気持ちが失せていく。

オーバーナイトパンに導かれる明日

パンがうまく焼けた。焼き立てを誰かに食べて欲しかったけれど、彼はいないし友人も近くにいるわけではないので千切って自分の口で頬張る。表情が緩んでいく。おいしい。やっぱり焼き立てが一番おいしいし。揚げ物とおんなじ。

オーバーナイトで作るときは朝が楽しみになるから結構気分よく眠れる。小さな幸せを溜め込んで今日も眠りにつく。

病は気からではなく、気が病なんだってば

精神疾患ってやつは改善してきた頃が一番危ないと知っていたはずなのに油断していた。凡人でいいのに平凡でいいのにそれにすら近づく段階で息切れしてしまう。自分に期待しすぎたのだろうか。塩梅がわからない。ままならない。助けて欲しいわけじゃない。違う。助かりたいだけ。

取り返しのつかないことをしたくなる

取り返しのつかないことなんてほとんどないからこそ、取り返しのつかないことをしてみたくなる。もちろんひとりじゃなくて愛する人と。「取り返しのつかないことしてみたくない?」と聞いたら「いいね」と答えとほしい。その先を聞くのは無粋だからだめ。賛同してほしいだけ。あなたとなら取り返しのつかないことしてもいいかもなって、同じように思ってくれていればいいだけ。ああ重いかも、重いね。でも本心。

月明かりに心臓が鳴る

夜に飲まれそうになる。怖い。苦しい。夜が怖い、日が暮れると心拍数が加速して呼吸が浅くなる。寝室からリビングに移るとカーテンの隙間から光が漏れていて、近づいて見上げるとちょうど目線の先に月が見えた。月明かりだと知る。手元がよく見えるほど明るい。マグカップの中のホットミルクがもうほとんどない。

月明かりは太陽の光とは違う美しさがある。今どのくらいの人がこの月を見ているのだろう。月明かりに照らされて感じるのは寂しだろうか、穏やかさだろうか、受容だろうか、虚しさだろうか。太陽の光の下では目を瞑って眠りたい。月明かりの下では瞬きをする一瞬ですら惜しいと思う。危うさ、いやらしさ、沈黙、すべてに心を奪われる。

恐ろしさを孕むから惹かれてしまう 

私が使うLINEスタンプが白くてまるっこいものばかりなので、ある時「白くて丸けりゃなんでもいいのか!」と言われた。

白くて丸けりゃいいのかもしれない。白くて丸いものはふわふわと柔らかそうで触れたくなるし、それでいてすべて飲み込んでしまいそうな恐ろしさがある。両手に乗せても自由に飛び跳ねてどこかへ行ってしまいそう。疲れたらひょいっと身体の上に乗って甘えてきそう。白くて丸いというだけでなんて愛らしいんだろう。

もしそうなら既婚者になりたいかも

1人で飲んでいると声をかけられたりして「恋人いるので」と断るときがある。たまあに物凄くしつこい人がいて「結婚してるわけじゃないならいいじゃん」とか「乗り換えない?」とか言われたことがある。

埋めてやろうかと思う気持ちはさておき頭の中で、なるほど「結婚してるので」の方が効力あるのか。と思った。意味がわからないが、結婚のメリットを見つけた。法的な効果がこんなところにもあるのかと学んだ。偽物の指輪でもいいから薬指につけてやろうかと思ったけれど、やっぱりそれ嫌だな。薬指を撫でて「お会計お願いします」と言った。

傷んだ果実の中の特別甘いところ

まとめ買いしたうちのひとつ、傷んだ果実を見つけて、これは無理だろうなと私が破棄しようとしたら彼が私の手からひょいと取り上げて傷んだ部分を切り落とし「外が傷んでても中にあるんだよほら特別甘いところ」とペティナイフで一口サイズに切り落としたところを私の口に入れた。甘い。限りなく糖度が高い。うっとりする。

「でも切ってみてもやっぱり中まで傷んでたら、そのときはなんかすごく悲しくなる」と言ったら

「たしかに悲しいね。でも俺はもしかして中は食べられたかもって捨てた後に思う方が悲しいかも」と笑っていた。性格の違いが出ているなと思った。たぶん私はこういうところに惹かれたのだと思う。

不安が動機じゃずっと囚われたまま


主に私の原動力は不安。このままじゃ囚われたままじゃないかと自覚している。不安から生まれた何かに繋がるのも結局不安。動機が不安じゃ結果を出した時に得るのは充実感ではなく新しく見つけた不安。なんなんだよ。これなんなんだよ。なんなんですか?ずっとこうですか?不安だから動くことは決して悪いことじゃないけれど、純粋な好奇心からはじまるものには敵わない。だって不安からはじまるとどこかで自分を見失いそうになるから軌道修正が何度も必要になる。バカか。やってられるか。あまり私をなめるなよ。このままでいいわけがないだろ。

憂鬱を溶かし切るとろとろのりんごジャム

先日知り合いの農家さんからりんごがたくさん届いたので、ちょっとだけジャムをつくった。

シャリっとした食感を残すかとろとろにするか迷った末、今回は後者を選んだ。甘味の少ないパンによく合う。何かをいただいたとき、それが生産者の方から直接であれば、いただいた物で何かを作り、お返しと一緒に調理したものを渡したい。ジャム、では少し物足りない感じがするのでアップルパイにしよう。カスタードクリームが上品でりんごの味を引き立てるようなアップルパイ。笑ってくれるだろうか。

いやらしく切実な愛

2人で食事をしている最中、「単純に好きっていう恋愛感情を知ったのはだいぶ昔の話だけど、大切だとか大事だとか、そういう切実さみたいな気持ちを知ったのは(私)と出会ってからだな。ずっと好きな人なんだけど、なんていうかもっと近い感じの」と彼が言った。

「ありゃ奇遇、私も全くおんなじ」と返すと「もうずっと自由に生きて欲しいなって願ったり、でも絶対手放したくないっていう気持ちもあったり」と言うので、「なになに、告白?」と茶化したら彼も笑い、「じゃあ5年経ったし改めて。俺と付き合ってください」と言った。「喜んで」と即答すると、「今回は一回でok貰えた」と昔を思い出して笑うので「今回は私ちゃんとお洒落してた」と私も昔を思い出して言った。実はちょっとドキドキした。やられた。悔しいほどに好きだ。

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