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宮古のコラムまとめ

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宮古に関するコラムをまとめました!
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記事一覧

窮屈だと言わないで

窮屈だと言わないで

タイラ(99年生まれ 伊良部島出身)

 宮古島の隣にある伊良部島という島の出身です。

 人生で私はなんどこの自己紹介をするだろうか。私は15歳の時、生まれ育った島を出て沖縄本島の高校に入学した。その時からずっと、このセリフを口にしている。

 私の故郷は伊良部島である。

 私はインドアで嫉妬深く、欲張りで自意識過剰な子供だった。

 小学校に上がる前から、かけっこや持久走が苦手で、足の早い同

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心はればれ

心はればれ

平良典子(99年生まれ 東京都出身)

「心はればれ」
動画の中のおばあが、言っている。

東京出身だけれど、宮古島出身の父を持つ私は、
宮古に帰っておばあと会える日がいつも楽しみだった。

東京と宮古島。簡単には会えないが、
父と母は、私が生まれた時から年に一度は必ず、宮古に連れて行ってくれた。
おかげで私はおばあっ子。
おばあの服も着ているくらい。
中でも襟のついたワンピースはお気に入り

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首里城うちなー万華鏡

首里城うちなー万華鏡

島ホッパー (88年生まれ 糸満市出身)

「あっがいたんでぃ! まだやってるわけこのニュース。もういいよ!」
首里城が火災によって焼失して数日後、父はテレビを見ながらこう呟いた。
首里の人の落胆・悲しみにフォーカスしたメディアからは感じとれなかった反応。もうひとつのリアルな沖縄の声を聞いたような衝撃だった。

 父は宮古島出身。そして私は本島南部の出身だ。
 子供の頃、父に首里城へ連れて行っても

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ある日のウートートー

ある日のウートートー

R(95年生まれ 浦添市出身)

おばあ、元気にしてますか?
私は元気だよ。おじいが施設に入ったり、他の家族もみんないろいろあるけど、なんとか無事に暮らしているよ。
いつも天国から見守ってくれてありがとうね。

おばあがそっちの世界に行ってから一年が経ちました。

こないだの一周忌、コロナ禍で盛大にはできなかったけど、みんなでおばあのことを思いながらウートートーしたよ。
ちゃんとおばあに届い

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島くとぅばは時を越えて

島くとぅばは時を越えて

新里千佳(95年生まれ 伊良部島出身)

 私は宮古島のさらに離島の伊良部島で生まれ育った。幼い頃、私は祖母が語る昔話が大好きだった。休日に祖父母の家を訪ねては家事をする祖母の手を止めさせ、昔話をしてくれとねだった。祖母はいつも島の方言で、島に伝わるさまざまな民話を語ってくれた。米寿祝いの由来、夜空に輝く北斗七星の物語、時には怖い島の伝説。どれも面白く、祖母が方言でユーモアたっぷりに語るものだから

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団地の思い出

団地の思い出

わかの(99年生まれ 神奈川県出身)

 宮古島は私にとって3つ目の故郷だ。
 一つ目は、生まれ故郷の神奈川県。二つ目は、幼稚園から小学校2年生まで過ごした栃木県。

 そして、私は、小学校3年生の時に母と猫と宮古島の端っこの小さな集落に移住した。一面サトウキビ畑が広がり、とても人が生活しているとは思えないような場所だった。

 私が住んでいた関東の景色とはかけ離れたその集落を目の当たりにし、ここ

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宮古島で結婚式を挙げるということ

宮古島で結婚式を挙げるということ

タイラ(99年生まれ 伊良部島出身)

 僕は天邪鬼なところがあって、何をやるにも遠回りしてしまう。コンビニで買い忘れがあっても、戻るのはなんだか恥ずかしいので、別の遠くのコンビニまでいってしまう。

 そんな僕がまさか、人間界でもトップクラスのキラキラ行事である結婚式を挙げるなんて、思っても見なかった。

 実際、当初は挙式をする予定は無かった。でも、妻の家族はノリノリで、僕の家族は「やるならサ

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スクリュープロペラが好き

スクリュープロペラが好き

タイラ(99年生まれ 伊良部島出身)

 9年前、僕が島を出る前に日本で一番長い橋(料金なし)である「伊良部大橋」が出来た。

 伊良部島と宮古島を繋ぐ大橋は自動車はもちろん、バイク、自転車、ランナーまで誰でもいつでも通ることが出来る。この橋のおかげで、車を走らせればファミレスだってマックだって、ドン・キホーテだっていつでも行くことが可能だ。

 でも、この橋が出来る前は、そんな日が来るなんて思っ

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背伸びしていたロックフェス

背伸びしていたロックフェス

タイラ(99年生まれ 伊良部島出身)

 今年10月14日に、「宮古島ロックフェス」が開催された。2005年から始まった音楽フェスで、コロナ禍を経て4年ぶりに開催される今年で15回目を迎える。地元を離れているので参加したわけではないが、「盛り上がりを見せていた」というネットニュースがSNSで回ってきた。

 チケットは完売した模様で、「かりゆし58」、「湘南乃風」、「ELLEGARDEN」、「新し

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小さなクリスマス

小さなクリスマス

タイラ(99年生まれ 伊良部島出身)

出不精な私にとって、クリスマスは非常にプレッシャーを感じるイベント事だ。クリスマスに限らず、夏の暑い日やお正月、バレンタイン、ありとあらゆる行事は私に変な緊張感を抱かせる。

ちょっぴり強めで素敵な個性である自意識と、SNSで常に行われるイケてるモン勝ち競争の影響である。

今でこそ、出不精であることに言い訳ができる社会状況になり多少はリラックスできるものの

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ばっしらいん

ばっしらいん

平良典子(99年生まれ 東京都出身)

「おかえり」
宮古についたら、迎えてくれた。

おばあが旅立ってしまってから、はじめての宮古。10年前、一緒に宮古へ行った親友と。
父のにいにいといとこのこどもが迎えにきてくれた。

父は6人兄弟の末っ子。
迎えにきてくれた父のにいにいは長男で、父とは11歳離れている。
真っ黒な肌にパンチパーマ。父とは正反対で全く似ていない。
宮古の方言で話すのをきくのがい

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へんないし

へんないし

タイラ(99年生まれ 伊良部島出身)

僕はたまに「人間ってかわいいな~」と思うことがある。

便利な文明や言葉の発明、誰もが感動するような芸術作品などを作る反面、何度も同じ過ちを繰り返したり、言動が矛盾してしまったりする。

僕は人間の本質はやっぱり、「生き物・動物」で、そこに知恵や知識、考えるという機能が追加されたものなんだろうなと思う。僕は生物学者でもなければ、人間という生き物の歴史を深く学

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宮古島のトークイベントをレポート!

宮古島のトークイベントをレポート!

西由良(94年生まれ 那覇市首里出身)

 さすが、宮古の人は話が上手だ。オトーリのようにマイクを回すと、みんなするすると自分の体験を語る。宮古のイベントでの一幕に、私は心を踊らせた。

  2024年1月4日、宮古島市立図書館で開催した「あなたの沖縄」のトークイベント。平日のお昼のイベントだったが、10名もの方が参加してくれた。 

 イベントのきっかけは、図書館職員のNさん。「あなたの沖縄」の

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「あなたの沖縄」執筆者紹介──”もやもや”と向き合いながら、沖縄を綴る

「あなたの沖縄」執筆者紹介──”もやもや”と向き合いながら、沖縄を綴る

 90年代生まれが個人的な体験から沖縄を語るコラムプロジェクト、あなたの沖縄。様々な職業に就く30名以上の執筆者が参加しています。でも、もっと多くの同年代に沖縄を語ってほしい。そんな思いから、あなたの沖縄の執筆者に、沖縄を語り始めたきっかけについて聞いてみました。すでに言葉を紡いだ方の話を聞いて、自分も何か語りたいと思ってもらえたら嬉しいです。

 今回ご紹介するのは、宮古列島の一つである伊良部島

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