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運動は最強の脳トレ〜「一流の頭脳」ブックレビュー

 先日ブックレビューした「スマホ脳」の著者、アンダース・ハンセンの本。

 この本では脳と運動の関係性について書かれています🧠🏃

このブックレビューでは、

・運動による脳への効果と、運動の内容
・その事実が世間に浸透していない意外な理由
・本を読んで考えたこと

を順に書いていこうと思います。

🧠🏃運動がもたらす脳への影響

運動をすることによって

■ストレス解消、うつの改善
■集中力を高める
■モチベーション(やる気)が高まったり、性格の変化、幸福感が増す
■記憶力アップ
■ひらめき力アップ
■子供の学力向上
■老化、認知症予防

など、脳のあらゆる機能が向上することが科学的に証明されているそうです。


 また、脳の機能活性化に最も効果のある運動内容は、主にウォーキングやランニングなどの有酸素運動だそう。

それでは、1つずつ具体的に見ていきましょう。

ストレス、うつの改善
ウォーキングまたはランニングを30分程度、週2回以上(効果はランニングのほうが強い)
集中力を高める
ウォーキングやランニング20〜30分程度、
(効果はランニングのほうが強い)

・効果は運動直後から数時間続くことから、午前中の運動が好ましい。
・習慣化すれば、全般的な能力改善に繋がる。週2回以上するとよい。
・子供の注意力改善はわずか5分程の活発な運動で効果が現れる。
モチベーション(やる気)を高める
ウォーキングやランニングなどの有酸素運動
記憶力アップ
主にウォーキング、ジョギング、ランニング、フィットネスバイクなどの有酸素運動

・「暗記の能力」アップにはランニング
・「連想記憶(顔と名前を一致させるなど)」アップには筋力トレーニング
・「些細な物事の記憶(カギをどこに置いたなど)」の向上は、ランニングと筋力トレーニングの両方を組み合わせる

・運動してすぐに記憶力は上げることができる。暗記力を最大限にあげたい場合は、運動と暗記を同時に行うとよい。

❗疲れるほどの運動は逆効果❗
ひらめき力アップ
ウォーキングまたはランニングを20〜30分程度(効果はランニングのほうが強い)
❗疲れるほどの運動は逆効果❗
子供の学力向上
30分程度の運動
体を動かす遊びでも効果がある

・「読解力」と「視覚的注意力」の向上
には12分のジョギング
・集中力、注意力は、わずか4分の運動で改善する
老化、認知症予防
ウォーキングやランニングなどの有酸素運動

・ウォーキングを週に5回、20〜30分
・または、ランニングを週に3回、20分程
(同等の運動強度なら水泳やサイクリングでもよい)

脳にとって、総合的に高い効果を望むなら、

・30分のウォーキング
・最高のコンディションを保つためには、ランニングを週3回、45分以上


を、半年以上続けることを目標に、「運動を習慣化」することが大切である。

 その為にまず、知っておいてほしい重要なことは、

「わずかな一歩でも脳のためになる」ということ。

 体を動かす習慣がない人は急にやると続かかないので、無理ない範囲で動かしていき、少しずつ増やしていけばOK。

🧠🏃脳と運動の関連性が広く知られていない理由と「不都合な真実」


 定期的な運動は抗うつ剤に匹敵する効き目があり、むしろ運動は抗うつ剤などの薬よりも強力と言う。

 しかし、なぜこの事実が世間で注目されていないのか?

それは、ズバリ「お金にならないから」

 この運動と脳の研究に資金を提供したのは、製薬会社ではなく大学の医学部であったという。

 その理由は、運動でうつ病が治るといった類の研究は「お金に繋がらない」から。

 製薬会社などのビジネス界では、治療に効果がある革新的な薬の開発をし、それが世の中に広く流通することでもたらされる、売上や利益を得ることが目的なので、薬剤の研究には多額の資金を提供する。

 だが、歩く、走る、遊ぶといった、体を動かすだけで、お金をかけずタダでもできる運動については、ビジネス界にとって興味がない、もしくは薬剤界にとっては「不都合な真実」ということらしい。

 運動による脳への素晴らしい効果は、発見当初、新聞各社が報道したが、世間は抗うつ剤の時ほどに騒がなかった。それは、新しいタイプの抗うつ剤の時とは、全く比べ物にならないほど注目されなかったという。

 その理由も、やはり「お金」である。


 新薬のマーケティングには莫大な費用がかけられるが、運動が抗生剤と同じ効き目があるという情報を広めることには、資金がかけられなかったためだ。

 わたし達が、よく知る情報、聞く情報ほど、マーケティングに費用がかけられている可能性が高く、その利益などの目的が背景にあるかもしれないこと。

 時と場合によっては、私たちの健康や幸福感なども世の中の資本を動かす為のターゲットになっているのかもしれないことを、私たちはよく理解しておいてもよいのかもしれない。

🧠🏃【余談】「脳トレ」の現実

 今では誰もが知っている「脳トレ」だが、脳の機能を高めると謳うアプリやコンピューターゲームの売り上げは、年間で100億ドル以上にも上るという。

 だが、コンピューターゲームやアプリが提供する様々な認知トレーニングは、確かにゲームそのものは上達しても、特に知能が高くなったり集中力や創造性が改善されたり、あるいは記憶力が向上したりといった効果はないそうだ。

 また、クロスワードパズルを解いても、パズルが得意になるだけで、それ以上の効果はないという。

つまり、「脳トレ」の効果は、ゲームをこなす能力が身につくだけで、ゲームを楽しむことで気分転換にはなっても、脳の機能を強化することには繋がらないのだという。

🧠🏃感想及び考察

この本の終盤に興味深い記述がありました。

 基本的には移動する生物だけに脳がある。植物は移動しないため脳はない。
 地球上に初めて現れた脳細胞の最も大切な仕事は、その生物を移動させることだった。養分を取り入れるために、その生物をほうぼうに移動させていたのである。
 ある研究チームが様々な動物の脳の容積を調べてみたところ面白い相互関係が見つかった。高い持久力を有する動物、つまり遠くまで走ることができる動物の脳は大きいことがわかったのだ。
 人類も同じだ。最も大切な脳の仕事は「動きの制御」だったと考えられ、今の時代でもそれは変わっていない。そう考えれば、もし体を動かさなかったら、脳が影響を受けないはずはない。脳なくして体は動かせない。そして、体を動かさなければ、そのためにできている脳も機能できないのである。

 現代人は、古代の狩猟採集生活から現代のデジタル社会へと世の中が変換する中で、私たちの身体活動量は半分に減ったという。


 ということは、人類の脳は退化の道へと進んでいるのだろうか?

 だが、例えば半身不随のような一切身体を動かせないような身体障害を持っている人でも、素晴らしい頭脳を持って活躍している人が多数存在していることを思うと、私たちの脳はまだまだ解明されていない謎や可能性を秘めているように思えてならない。

 また、その一方で、スマホなどの便利なデジタルライフの影で、脳が悪影響を受けていることも事実である。(参考文献「スマホ脳」より)

 進化の過程で、人類がこのままどこに進んでいくのか、そもそも急速に悪化してきている気候変動や不安定な社会情勢の中にある現代人が、どこまで繁栄していけるのか

 疑問はたくさんあるが、個人的には、まず運動を生活に取り入れてみようと思う。

 私は、気候変動問題に多いに関心を持っているのだが、問題の深刻さを知ることは、ただネガティブな気持ちを持つためではなく、問題を解決する為に必要な過程だと捉えている。

 運動を生活習慣にすることで、様々な社会問題を解決するアイデアや社会参加の方法を思いつくこともできるかもしれないし、

 課題や問題に向き合う姿勢を前向きにし、解決や対策にむけて行動をしていく中でも、体のコンディションをよりよい状態に持っていくことができるのではないだろうか。

 運動は脳のあらゆる能力を向上させるが、それは私たちの知能や生活、幸福感の向上のみならず、
 一人ひとりの人生の可能性や、人類のこれからの可能性を前に進める為に私たち人間が授かった最高のプレゼントなのかもしれない。

最後に
「一流の頭脳」は、脳について、他にも興味深い数々の実験の結果や、脳の仕組みや様々な働きが紹介されていて、とても面白く読むことができる一冊でした。
是非お手にとって読んでみて下さい😊

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