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【キャリア】「先が見えない」「自分には何も無かった」私の実録転勤妻のエフェクチュエーション♯014


VUCAの時代に活きる!「エフェクチュエーション理論」とは?


先日、こちらの本を読みました。

エフェクチュエーションとは、バージニア大学ビジネススクールのサラス・サラスバシー教授が提唱した優れた起業家が実践する「5つの原則」をまとめた理論。
未来を予測し、目標を立て、逆算的に今すべきことを導く理論が「コーゼーション」。一方で自分たちが望む未来を実現するために、今、この状況で、自分に何ができるかということを考え実践するための理論が「エフェクチュエーション」です。環境の不確実性が高い場合や、活用できる資源に制約がある場合には、予測に基づき戦略を立てる「コーゼーション」的なアプローチでは行き詰ってしまいます。そのような環境で効果があるのが、この「エフェクチュエーション」だと言われています。

起業には興味がないといった方も、未来が予測できないVUCAの時代に生きるうえで学んでおいて損はない理論だと思います。

私は起業家ではありませんが、自分の30代を振り返ってみると、エフェクチュエーション的にキャリアの方向付けをしてきたことがありました。

30歳で会社員をやめ、実家の仕事を始めようとするやいなや、まさかの夫の転勤。転勤妻として慣れない土地を転々とし、先が見通せない不安や理不尽な気持ちを乗り越えながら子育て世代のウェルビーイング、キャリア形成に関わるイベントの企画、運営をやってきました。

現在は、この取組みが本業の不動産業に掛け合わせられないか、と家業のイノベーションの種にもなっています。また、この活動をたまたま私のSNSでご覧になられた方から声をかけていただき、教育機関の仕事にもかかわることにも


これまでどのようなことをしてきたのかをはじめに少し紹介すると
転勤帯同先で、任意団体を立ち上げ

2017年VERY2月号『「町おこしママ」増えてます!』

子育て世代のためのキャリア支援イベントを企画。

2017年5月NHK広島放送局『お好みワイド』

またある時は、スウェーデン人のワーキングマザーとの交流会。

そして「時間活用術」を伝えることも。

2018年4月中国新聞『家事の効率化 朝が決め手』


そして先日、子連れMBAのイベントとして、Newsweek「世界が尊敬する100」に選ばれたPiece of Syriaの中野貴行さんと対談も。まさにこのエフェクチュエーションの視点を踏まえて、中野さんの行動術をお伺いしました。
(エフェクチュエーション理論をどのように実践するかという観点で聞いていただくと、とても参考になる話です!)

ただ、これらの活動を始めた当時は、失意のどん底にいました。
まさか数年後、自分がこんなことをしているなんて予想だにしていませんでした。

「ないもの探し」ではない「あるもの探し」だからこそ勇気づけられる!

そもそもこの理論に興味を持ったきっかけは、受講中の子連れMBAの「チェンジメーカーチャレンジ」での課題がきっかけでした。

このプログラムに参加しているのは、子育て中の女性。
子育てそのものが突発的な出来事の連続で、おまけに転勤、病気、介護など自分のライフイベントも必ずしも予測ができることばかりではありません。そんななかで、自身のキャリア形成も求められています。

10年後の自分を予測できない。
会社から「〇年後は管理職の立場に…」と言われてもしっくり来ないし、今の自分には足りないものだらけ…
こんな声も沢山聞きました。

私もずっとコーゼーション的な思考でキャリアを考えていたので、どうしても自分に足りないもの、欠けているものばかりに目が行きがちでした。そして未来を予測できないことに対しても不安が募っていたのですが、エフェクチュエーションを学ぶことで、自分の「無いもの探し」ではなく「あるもの」に思考が向くように。なので、とっても勇気づけられました。


エフェクチュエーション理論で語られる優れた起業家に共通する5つの法則は、
①手中の鳥 ②許容可能な損失 ③クレージーキルト ④レモネード ⑤飛行中のパイロット
という面白い名前がつけられています。

それぞれの原則はぜひ、こちらのHPで見てみてください。

実はエフェクチュエーションしてた!転勤妻としての私の30代。

では、ここから私の30代をエフェクチュエーションの5つの原則の視点から、詳しく書いていきましょう。

30歳で会社員をやめ、家業に転職、第一子出産。
早々に復帰して、仕事を再開させるつもりでした。
そんななか、まさかの夫の転勤で仕事を休職することに。
当時の私にとっては青天の霹靂でした。
しかも、そのあとも転勤が続き、なかなか地元に戻れません。
東京(8カ月)→広島(3年)→京都(1年)→イギリス(1年9カ月)
という約7年間で4か所という転勤帯同を経て、やっと地元に戻れ、仕事を再開できました。
なお、京都での1年間は、第2子出産・夫は東京&イギリス単身赴任のためワンオペ育児・そしてコロナが重なりました…

転勤妻の仲間とは、
「先が見通せないから一貫したキャリアがつくれないよね」
「転勤先で新しい仕事を始めたとしても、子供の預かり先とか生活インフラを整えることがまず大変。子供が環境にすぐなじむかもわからないし…」
なんていう不満をよく漏らしていました。
ひどい時には1年に満たない期間で引越しを余儀なくされたこともあったので、当時は本当に理不尽だと思っていました。

けれど、振り返ってみれば「転勤妻」であることは悪いことばかりではなかったのです。
というのも、転勤先で知り合う様々な人と一緒に、毎回手を変え品を変え一貫して子育て世代のウェルビーイング、キャリア形成に携わる企画をやっていました。

実は、私自身、エフェクチュエーション的に動いていたのです。

最初は、会社員時代に蓄えたスキルやノウハウを自覚していなかったので、自分は社外では通用しない人物だと思っていました。
でも、ひょんなことから友人と少人数の茶話会を企画し、取組みを一つひとつ積み重ねることで、自分がこれまで蓄えていたスキル・ノウハウに気が付き、手中の鳥として意識するように。
30代後半に入る頃には、「ここでの取組みはこれで終わってしまうけど、また新しい場所に行けば、新しい人と知り合って何かができる!」と強制的に次の土地への引越しを余儀なくされる夫の転勤ですらレモネードとして捉えられるようになっていました。

事実、転勤の先々で一緒に取り組んでくれる仲間を見つけてはクレイジーキルトとして「一緒に何かやりましょう!」とaskingし、企画をつくっていきました。
ただ、はじめから「その土地のキーパーソンと何がなんでも知り合いになる!」なんて意気込みで知り合うケースってほとんどありませんでした。だいたい私の心強いパートナーになってくれたのは、ママ友として知り合った友達。
団体の立ち上げのきっかけになった出会いですら、託児付きエアロビクス講座でたまたま知り合ったママ友でした。実は、あとで判明するのが彼女がこのちきりんさんのブログにも登場する、珍しい経歴のママ友だったのです。

他にも、スウェーデン人のワーキングマザーとの対談イベントも、イギリスで駐在妻をしていたときに、息子のクラスメイトのママ友がジェンダーフリーの先進国、スウェーデンに友人が沢山いたことがきっかけで実現した企画。

Piece of Syriaの中野さんとの対談も、たまたまシリアの子供たちの教育支援をしているPiece of Syriaの勉強会に息子と一緒に参加したことがご縁で発展しました。なぜ、シリアなのかというと、イギリスの現地校で息子の親友がシリア人だったからというのが理由で、「トルコ・シリア地震」後の支援先としてPiece of Syriaの活動と出会いました。

はじめから「この人となら何かできるかも」と近づいていったわけではなく、無欲で知り合い、いつの間にか自分の「手中の鳥」を増やしていました。そしていずれも「子供」が仲介してくれました

そこに、私が広島で団体を立ち上げてから、ベンチマークとして興味を抱いていた子連れMBA代表みほさんとの出会い。みほさんとの出会いが梃になり、子連れMBAで新たな知識を得てアップデートさせながら、ここの仲間と一緒に企画をやらせてもらっています!
みほさんのnoteはこちら。

ちなみに、これまでの企画は営利目的ではないですが、損失は出たことがありません。許容可能な損失はゼロ。(もう少しリスクをとることで、できること、やれる内容が増えていきそうです!)
またこういう取組みを始める際、「目立つことをしたら周りにどう思われるかわからない…」と周囲との関係性を心配する方もいらっしゃるかと思いますが、転勤妻って、万一人間関係のトラブルが起きたとしても、夫の異動のタイミングが来たら、去れる気楽さがあります。そういった自分の社会資本の損失を防ぐといった観点からも許容可能な範囲の取組みと言えるのです(そもそも陰口をたたく人を社会資本と言うのかどうかはわかりませんが、子供と関係していると何かと厄介なパターンがあるので)。

たとえ転勤妻でも「転勤妻」であることを梃にしてできる活動、取組みがある!
これが私が言いたいことです。

また子供を持つことが「自分のキャリアにはマイナスだ」と捉える方もいらっしゃいますが、子育てを通じて知り合うママ友、パパ友って自分が経験していないような人生を歩んでいる人がほとんどです。私は会社員時代、土日も含めほとんどの時間を会社関係の人と過ごしていたのですが、ママ友、パパ友は会社の繋がりのなかでは得られない価値観、生き方を教えてくれる大切な友達です。肝心なのは、この人たちと表面的な会話で終わらせるのではなく、一歩踏み込み、本質的な話ができるくらいの関係を築くこと。そこから生み出したものが今まで沢山ありました。

まとめ

起業、新規事業を始めたいという方にとって参考になる理論であることはもちろん、先行きが見えない不安に駆られていたり、「自分には何もない」と自信を失っているいる方にもおすすめしたい「エフェクチュエーション理論」。今自分ができる一歩を見つけるきっかけになるかもしれません。


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