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夢街道を歩む

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夢から生まれた初期の作品を収めました。
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記事一覧

裁判と晩餐会②

《催しコーナーの点検》  今日の仕事は、催しコーナーの点検が終わったら晩餐会後の出口誘導…

夢蔵子
1年前

裁判と晩餐会①

《裁判の段取り》  大きな敷地に広がる屋敷は何かの展示場のようだった。そこで最も広い部屋…

夢蔵子
1年前

動物のハローワーク②

《嬉しい再就職》  隣の3番窓口で、男の怒声が聞こえ、なにやら不穏な空気になっていた。 …

夢蔵子
1年前

動物のハローワーク①

《ハローワークの決まり》  ハローワークに行ってみると、天井近くに『職業に貴賎なし』とい…

夢蔵子
1年前
9

あおりのダイブ

 気が付くと後続の軽自動車からあおられていた。そうか、流行りのあおりというのはこういうも…

夢蔵子
1年前
3

蜘蛛の熱演

 子供の大きさくらいの蜘蛛が、壇上のカーテンに絡みついていた。長い脚を伸ばし、長い縦長の…

夢蔵子
1年前
3

飲み屋の出来事

 私はデパ地下で白いエプロンをして総菜を売っていた。元いた会社の後輩が来て、会社の悩みを話していた。売り場は客が少なくなった時刻で、彼の話を聞きながら、彼の目にうっすらと涙が浮いているのを見て、私の目頭も熱くなった。  店が終わってから近くの居酒屋に行くことにした。  洒落た看板の店に入ると、折り入った話をするためのカウンター席がカーテンの奥に用意されていて、我々を見た店員がそこに通してくれた。  カウンターの中には二人の女性がいて、我々が入ると、飲みものを注文してもいいかと

ハーモニカと鯉のぼり

 優先席の前に立っていた。揺られながら、座っている三人を眺めていた。左の男の右腕が少し短…

夢蔵子
1年前

クワガタ号出発

 こんなに虫がいるんだ。やはり拡大すると違う世界が見えるんだ。私はクワガタムシの背中に乗…

夢蔵子
1年前
1

薔薇と電線

 何の事情かは忘れたが、私は駅から自宅まで歩いていた。普段は自転車で行くところを、駅に自…

夢蔵子
1年前

ハゼと神社

 海上の旅館に来た。私の部屋は奥から一つ手前だ。  和室に入って海を見ようと引き戸の板窓…

夢蔵子
1年前
1

静かな体育館

 朝九時が集合時間で、今は八時くらいで、用心して家を出たので十分間に合う見込みだった。 …

夢蔵子
1年前
1

小学生に戻った日

 前を走る軽自動車には電柱が二本縦に積まれていた。車の天井から入っていて、地面に届くよう…

夢蔵子
1年前

新たな進化

 体の大きな上司が、年上の男をともなって部屋にはいってきた。部屋には数名いたが、それぞれに仕事を割り振り、自分には実験設備に来てほしいということだった。彼は「実験」という言葉を強調していたが、そこには「実験ではない」という意図が隠されていた。  実験設備は、大きな講堂に金属の網を張った区画があり、その中に縦横一メートルほどの地下に向かって斜めに延びた空洞があった。先ほどの年上の男が先に入ると、彼の姿は消えていった。上司は腕時計をみながら私を促し、しゃがみながらその穴に入ってい