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読書日和

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読書感想文まとめ。
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目に見えない『グリフィスの傷』

目に見えない『グリフィスの傷』

 涙が赤色だったら良かったのに、と考えたことがあります。それをテーマに詩を書いたこともありました。もうデータも残っていないその詩のことをふと思い出したのは、先日、千早茜さんの『グリフィスの傷』を読んだからでした。

 どの短編も素晴らしいのですが、私は特に、悪意と心身の傷について書かれていた『竜舌蘭』と『グリフィスの傷』がお気に入りです。今日は主に『竜舌蘭』の感想を書きつつ、ちょびっとだけ『グリフ

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『ジーキル博士とハイド氏』を読む。
“わたしにあっては善悪両方面ともひとしく真剣であった。”とあるから、どちらも彼の真実の姿ということだよね。両極端の自分が自分の中に存在するって想像しただけで狂いそう。あまりに有名だから仕方ないけどネタバレ知らずに読めたらもっと楽しめただろうな。

『モモ』を読んで思い出すあの頃のこと

『モモ』を読んで思い出すあの頃のこと

 ミヒャエル・エンデ作の『モモ』に興味を持ったのは『三十五歳の少女』というドラマがきっかけでした。主演の柴咲コウさん演じる望美のお気に入りの本が『モモ』で、よく作中に登場していたのです。私はこのドラマを観ている間、『モモ』を読んでみたいなぁとずっと思っていました。ずっと思っていたのにもかかわらず、実際読んだのが先日のことです。あはは。
 ちなみに『三十五歳の少女』は2020年放送のドラマ。読むのが

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肩の力を抜いて楽しむ『書く習慣』

肩の力を抜いて楽しむ『書く習慣』

 note記事を読むのが好きです。フォローしているクリエーターさんの記事を読み、そのあとおすすめ欄の「今日のあなたに」から気になったものをちょこちょこ読むのが私のnote散歩の日課となっています。時間があるときは「みつける」から読書記事やコラム・エッセイの記事を読んだりもします。
 noteを読んでいて常々思うのは、皆さん文章を書くのが上手だなぁということ。
 私も書くことが好きではありますが、こ

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『フランケンシュタイン』の怪物の孤独

『フランケンシュタイン』の怪物の孤独

 フランケンシュタインといえば、

 この怪物を思い浮かべますよね。
 しかし、実は「フランケンシュタイン」という名前は、怪物を創った男の名前なのです。
 と、偉そうに書いてみましたが……知ってる方も多いですよね。笑
 数年前にこの事実を知り、それまで怪物のことを「フランケンシュタイン」と呼んでいた私は、とても驚きました。

 この怪物には名前がありません。フランケンシュタインは、自らが創り出した

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憧れが詰まった『長くつ下のピッピ』

憧れが詰まった『長くつ下のピッピ』

 子どもの頃はあまり本を読まない子でした。そのため、児童文学というものに親しまないまま私は大人になりました。
 去年初めて『赤毛のアン』、『秘密の花園』、『あしながおじさん』、『たのしいムーミン一家』などの名作と呼ばれる児童文学を読み、その面白さを知りました。
 今年はもっともっと児童文学と触れ合うぞ! と読みたいリストも作成。リストの一番上に記していたのが、今回読んだ『長くつ下のピッピ』です。

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『かもめ食堂』と真面目にコツコツの話

『かもめ食堂』と真面目にコツコツの話

 去年、prime videoで映画を観てから、私はすっかり『かもめ食堂』のファンになりました。映画は二度観たし、小説を読むのは今回で三度目。
最近、フィンランド関連の本を読んだり、フィンランドの街や自然の動画を観たりと、何かとフィンランドに関心を持つようになりましたが、それは『かもめ食堂』の影響を大きく受けているからでしょう。

『かもめ食堂』のあらすじはこちら。

 この小説を読むたびにズドン

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