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小学校に『遊び』を取り入れよう 理論編  第1章 《遊び》が実行機能(見る・聞く・注意集中の使い方)を育てる2️⃣  実行機能が育たないと、なぜうまく学校生活が送れないか?

2️⃣ 実行機能が育たないと、なぜうまく学校生活が送れないか?

 まず、実行機能の発達と社会的行動の関係について、説明します。

 実行機能の発達について、特にその中の『抑制機能』の発達と社会的行動との関係については、心理学の実験などを通しておおよその次のようなことが分かってきています。

 「実行機能がうまく育つと、自分の認知や思考や行動をコントロールし、
  外界から刺激や情報に応じた認知や思考や行動を柔軟に取ることができ
  る。」


 つまり、自分のことは取り敢えず置いといて、人から情報を取りそれに合う行動を取ることで、そこから学ぼうとするわけです。

 その結果として、大人の認知や思考や行動を模倣することを通して、次のようなことを学びます。

  ・語彙や知識を覚える
  ・他者の気持ちが分かるようになる
  ・コミニケーションスキルあがる
  ・周りに合わせて、適切な社会的行動が取れるようになる

 外からの刺激や情報の発信者は、幼児期ですから両親からになります。つまり、子育てをがうまくいくと、次のような正のスパイラルが起こります。

  ・子育てを通して愛着が形成される
  ・更に、自分の認知や考えや行動が抑制される(自分のやりたいこと取
   り敢えず我慢する)
  ・親との交流がどんどん濃密になっていく(たくさん遊ぶ、話す)
  ・語彙や知識が増え、相手の気持が分かるようになり、コミニケーショ
   ンスキルや適切な社会的行動が向上していく

 前回の記事1️⃣のときに例えた車の喩えでいうと、次のようになります。

  ・ドライバー(実行機能)が車(脳)を上手に運転している
  ・ブレーキやアクセルが巧み
  ・車〔脳)の性能がどんどん引き出されてる
  ・公道(家庭生活)をスイスイ走り回っている
  ・良い景色を見ながら、すばらしい目的地(知識など)に着く

 反対に子育てがうまく行かず、実行機能の抑制がうまく育だたないと、負のスパイラルとなっていきます。

  ・抑制機能がうまく働かず、認知を自分勝手に使い、自分の考えや思い    
   ばかりを押し通す行動をとる〔自己中心的行動)
  ・愛着がうまく形成されない 逆に憎悪したりすることもある
  ・親から刺激や情報を偏って取る(好きなときだけ関わる その上、少
   ない)
  ・語彙や知識は増えない。他者の気持ちが分かるようにならない。コミ
   ニケーションスキルや適切な社会的行動も向上しない

 1️⃣のときの車の喩えで言うと、次のようです。

  ・車(脳)は普通なんですが、運転手が下手。運転免許を持っていない   
  ・違反や暴走繰返し、事故を起こす。車はボロボロ。免許取り上げ
  ・車を使って公道を走れなくなってしまう
  ・景色も見られず、どこにも着かない

 次に、この実行機能の発達と社会的行動の関係から考えて、学校生活がうまくいかない原因を考えていきます。
 学校生活がうまくいかないのは、実行機能がうまく機能しなかったので社会的行動がうまく学べてこなかったからです。実行機能がうまく機能しなかった理由は、次の2つがあります。

①生まれつき、脳の実行機能の抑制機能が弱い(脳機能のの凸凹)。そのために、認知や思考を自分勝手に使い、親からうまく情報を取り込めないで負のスパイラルになっている場合。
 これは「発達障害的(個人因子)」(脳機能の凸凹のため)と言えます。

②子どもが抑制機能を働かせて、親と交流を深めて情報を取ろうとしている。しかし、親の方が関わろうとしないために、情報を取り込めないので負のスパイラルになっている場合。
 これは「家庭環境的(環境因子)」(愛着の未形成のため)と言えます。

 親が関わらない原因には、次の3つがあります。

  ・関わろうとしない放任や虐待
  ・うまく関われない育児下手(親の方に発達の弱さがある)
  ・病気や経済的理由などで関わる時間が取れない 

 つまり、①②のどちらかの状態が発生すると「自己中心的な行動」や「不適切な社会行動」を繰り返す状態のまま、小学校に進学してくるのです。だから、小学校の集団生活につまずくのです。

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【参考】平均タイプの子どもでも、4歳を超えて小学校を上がってくる頃に
    なると、抑制機能は、大人からの影響を少なくして自分の意見を大
    事にしようという方向、つまり大人からの影響を抑制するように働
    くことが分っています。そろそろ、自分の意見を持ってくるという
    ことです。


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