銀騎士カート

左脳デジタルの時代ながら、基本、右脳アナログ人間です。 シンギュラリティーが目睫に迫っ…

銀騎士カート

左脳デジタルの時代ながら、基本、右脳アナログ人間です。 シンギュラリティーが目睫に迫ってるとはいえ、いっそ迫っているからこそ言葉に魂を込めて、文章を綴ってゆく所存です。 雑文、エッセーから小説まで……綴ることしか能のない身ですが……

マガジン

  • 小説 小説らしきもの

    基本 短いです。 長いのは一本だけ……

  • 連載した長めの小説です。お暇な時に、どーぞ(^o^)

    大人むきの純文学です……でもキャッチコピーは「面白系純文学」と言っておきます。

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4時間前
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星月夜の夢

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 経済学の祖アダム・スミスがこんなことを言ってる。

世界にどんな悲劇が勃発しようとも、人間というものは自らの爪先の痛みに関心を向けたがる……

人間のエゴを……とりもなおさず、野放図の欲望を起爆剤とした資本主義のシクミを見事に言い当てている。

試みに、ついそこの新聞を斜めにでもいいから読んでみよう。
コロナは未だ終点が見

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     25(最終章) もし、このままコトがすんなりと運んだなら、俺と奴とはこれほど親密になることもなかっただろう。しかし、事件は起った。五月三十日を数日後に控えた日、奴にとっては人生そのものを恨みたくなるような事件が……

 はて、前方のホールにスーツ姿の若い男女が大勢いる。何かの集会らしい。全員整然と椅子にかけ、誰かの訓辞でも拝聴しているけしきだ。
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 奴は大馬鹿だ。救いがたいまでの低能だ! おんなを抱くという行為は、単なる性欲の問題のみとは限らない。俺のようなちゃらんぽらんでも、その位のコトは心得ている。ある場合には精神愛以上に精神的なやさしさをこそそこに求めているのであって、それに応えられないがために、そのおんなをとんでもない崖っぷちに追い込むことにもなりかねない。奴は大馬鹿だ。救いがたいまでの低能

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【恋愛小説】 紫水晶(アメシスト) 21章・22章

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 ペットショップからでも逃げ出してきたのか、俺の座っているつい向こうに一羽の銀色の兎がのっそりと現われた。
 しかしこいつ、どう見ても可愛いとは言い難い。図体もでかく、その赤い目が老獪にして陰険の印象を与え、しかも、舌を鳴らした俺の顔をやけに憎さげに一瞥するや、再びのっそりと遠ざかってゆく。アリスの真似でもないが、迷ったついでに不思議の国にでも案内してもら

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 奴は元来地味なタチで、りん子と二人喋喋喃喃とじゃれていればそれだけで満足だろうが、若いおんなというのは時に大勢でわいわい羽目を外すのも楽しいと思うものだ。按ずるに、りん子の覚えた一抹の寂しさは現代特有のものかも知れない。おそらく、奴とりん子のような星菫派的恋愛は、他の連中には毛色の変わった異端と映ったのだろう。
 奴が俺に語ったコトに、奴は中学生の頃、休

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 俺としてもこのあたりになると、何をか言わんや……屋根裏で埃に塗れていたオルゴールを開けたような、黴臭い気恥ずかしさを覚える。
 そう言えば、奴がエレベーターの中で偶然出くわしたという大神専務に誘われて、昼食をご馳走になったのもその頃のことだ。どうやら、りん子のことでも考えて、一人ニタついていたのをからかわれたらしい。奴自身のどぎまぎする様子が目に見えるよ

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【恋愛小説】 紫水晶(アメシスト) 15章・16章

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        15
 オルぺウスごっこの終着点がL'amore……「愛」とは、ドジの道行きも案外洒落ているようだ。ここは一つ、奴の手口を拝借するのも一興だろう。そう。オルぺウスの神話でまずは女の子をロマンチックな気分に引きずり込む。相手のおんなはもとよりエウリュディケーの見立てだ。俺が先にたち、繁華街を横道にそれる。ここは自信を持って、絶対に振り向いてはいけないのだ。やがて、人

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 奴のおのろけに居眠りが出たせいか、もう少しで乗り越すところだ。慌てて閉まりかけた扉を擦り抜け、階段を駆け降り、改札を渡っていつもの地下街に踏み込んだ。
 とたん、俺は思わず立ち止まってしまった。そう。毎日通い慣れ、日常がラベルのように貼りついた地下街が、なぜか存在感の削ぎ取られた夢の世界のように感じられたからだ。普段とは違う時間帯のせいだろうか。相変わらずの

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【恋愛小説】紫水晶(アメシスト) 11章・12章

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 奴自身、てっきりりん子にリードされて鼻の下を伸ばしているように思えるが、奴もさすがそれだけで満足はしていなかった。仕事に於て、反デジタルの旗手よろしく、鋭い奇抜な企画をびしびしと出し始めたのだ。

 その一つの主張として、奴は手作りの野球盤というのを持ち込んできた。内向的なこども時代におびただしいプラモデルを作ったという経験

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【恋愛小説】 紫水晶(アメシスト) 9章・10章

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 どうやら奴の話から察すると、りん子の方も奴に惚れているというか、かなりはっきりと結婚を意識しているように思えた。いささか早急の気がしないでもないが、さだめて奴が無意識の裡に送り続けた熱い視線が伏線になっていたのだろう。

 俺なら、おんなからそんな予約された商品のように見られて付き合うなんぞ、ムシズが走る。これでは推理小説を終章から読むに似て、男とおんなのゲ

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【恋愛小説】 紫水晶(アメシスト) 7章・8章

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 奴は鈍感で、気がついたのは後になってのことだろうが、要するにりん子の方も奴に気があったということだろう。そんなコトとは露知らず、奴は半年間で確実に何キロか体重を減らしたのだから始末におえない。もちろん、かかる苦行あればこそ、りん子と知り合えた当日が人生最高の一頁であったことに間違いはない。

 おっと、いつのまにか乗換駅だ。急ぎ足にエスカレーターを駆け上がり、通

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【恋愛小説】 紫水晶(アメシスト) 5章・6章

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 俺は奴からこの話を聞かされた時、正直言って腹を抱えて笑い転げてしまった。どこぞ深窓のご令嬢でもあるまいに、気楽に「ハーイ」と声を掛ければ済むものを。
 どだいおんなという生き物は、いつだって男に声を掛けられるのを待っているものだ。笑顔で応えてくれたらラッキー……そっぽを向かれても、男たるもの、いくらでも捨て台詞のバリエーションは用意しているはずだ。
 しかし、考

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【恋愛小説】 紫水晶(アメシスト) 3章・4章

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 なに、要するに奴はインディアンの戦士に己れを準えようとしたらしい。愛の戦士。いかにも奴の考えそうな小児的発想だが、ま、俺に言わせれば奴は戦士どころか、情けなや「恋の奴」というわけだ。事実、奴が信じるほどに得難い美女とは思えない。胸も低いし、足にしても脚線美とはお世辞にも言い兼ねる。己れの美意識よりも、見栄のために周囲の目を意識するのが現代人の流行とあってみれば、

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【恋愛小説】 紫水晶(アメシスト) 1話、2話

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    紫水晶(アメシスト) あらすじ

 玩具メーカーに勤める至(いたる)青年は、何事にも自信の持てぬ人間であったが、女子事務員りん子に思いを寄せることで、積極的に生きることに目覚める。デジタル全盛である時代に逆らい、アナログ的思考を以て社内で頭角を現す。
 一方、デジタルの急先鋒でもある専務の大神は、幼少期の忘れ得ぬ少女の面影を、古風のふぜいを宿すりん子に投影、無理心中を計る。至青年は、鏡の中

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【SF連載小説】 GHOST DANCE 30章(最終章)

【SF連載小説】 GHOST DANCE 30章(最終章)

   

    30 旅立ち(最終章)

「ドウシタノ。ネエ、何ガ起コッタノ」
 床に放り出された携帯電話からの美也子の声で、冬吉は我に返った。さっそく拾い上げて、
「なんでもない。これから旅に行くんだ」
「旅?」
 足下に目を落とせば、シャーレは砕け散っていたものの、『ブルー・カード』が二枚、主を待つけしきで神妙に重なっている。冬吉はつい拾うと、
「ちょうど、切符も二枚あるようだ」
「ネエ、何

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