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王家の宝石箱

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王家に伝わるジュエリーの話をまとめています。
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記事一覧

世界各地のラバーズ・ノット・ティアラ

世界各地のラバーズ・ノット・ティアラ

1985年、スイスはジュネーブのオークション会場。
ここで世界的に有名なあのティアラのそっくりさんが出品されました。
(実物写真はオークション会社HPで見られます)

そのティアラとは、ラバーズ・ノット・ティアラ(Lover’s Knot Tiara )。
蝶結びのような形からしずく型のパールがぶら下がるパーツをいくつも連ねた、名前も見た目も可愛らしいデザイン。
特に故ダイアナ妃の着用姿が有名です

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英国王室のラバーズ・ノット・ティアラは、ケンブリッジ・ラバーズ・ノット・ティアラに非ず

英国王室のラバーズ・ノット・ティアラは、ケンブリッジ・ラバーズ・ノット・ティアラに非ず

ゲシュタルト崩壊必至の記事です、ご注意を。

イギリス王室が所有するティアラの中でも特に有名なティアラのひとつに、ラバーズ・ノット・ティアラ(Lover’s Knot Tiara )があります。
故ダイアナ妃の着用姿が有名ですが、今はキャサリン妃が受け継いでいます。

ところで、このティアラを"ケンブリッジ・ラバーズ・ノット・ティアラ"と表現している雑誌やブログを散見するのですが、王室ジュエリーに

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王家の宝石 | ベルギー王室のナイン・プロヴァンス・ティアラ

王家の宝石 | ベルギー王室のナイン・プロヴァンス・ティアラ


概要ベルギー王妃に代々受け継がれているティアラ。
⑴メアンダー模様のベース、⑵11のダイヤモンドパーツ、⑶後から加えられたアーチ型のパーツの3つで構成されている。
各パーツは取り外して、バンドゥやチョーカーのように使用可能。

なお⑵にある11のダイヤモンドは、当時9つあったベルギーの州(※)および王室と植民地コンゴを表していると言われている。
このベルギー領コンゴで採れたダイヤモンドに、アント

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王家の宝石 | スペイン王室のプロイセンティアラ

王家の宝石 | スペイン王室のプロイセンティアラ

今回は初挑戦─スペイン王室に伝わるティアラのお話です!


概要ドイツ皇女からギリシャ王室を経て、現在はスペイン王室に伝わるティアラ。

プラチナで出来たメアンダー模様(ギリシア雷文とも)のベースに柱状の透かし模様、トップには月桂樹のモチーフをあしらったクラシカルな作り。

使われている石はダイヤ。中央の大きなしずく形の石はぶら下がっている状態で、頭の動きに合わせてゆれる作りになっている。

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王家の宝石 | デンマーク王室のルビーティアラ

王家の宝石 | デンマーク王室のルビーティアラ

⚫︎はじめに⚫︎
明けましておめでとうございます。

2024年1月1日、デンマーク マルグレーテ女王退位のニュースを受け、慌てて下書きにしまっておいた本記事を投稿することにしました。
(文中の「女王」「王太子」などの表現を直すのが手間なので)

概要デンマーク王太子妃メアリーが頻繁に着用するティアラ。
ダイヤの葉とルビーの実が連なった作り。
お揃いのイヤリングやネックレスもある。 

名称THE

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皇室の宝石 | 皇后陛下の第一ティアラ

皇室の宝石 | 皇后陛下の第一ティアラ

概要日本に初めてもたらされたティアラ。
プラチナの土台にダイヤがあしらわれており、てっぺんには9個のダイヤで作られた星形の飾り(トッパー)が付いている。

このトッパーは、取り外してブローチにしたり、丸いダイヤのものに付けかえることもできる。

名称皇后陛下の第1ティアラ
MEIJI TIARA

起源1886年、伊藤博文が 駐独公使に購入を依頼した

宝飾メーカーレオンハルト&フィーゲル
Leo

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王家の宝石 | ブルガリアのフルール・ド・リス ティアラ

王家の宝石 | ブルガリアのフルール・ド・リス ティアラ

概要フルール・ド・リスは、アヤメの花をモチーフにしたマーク。

王権的あるいは表象的な意味を持つ場合があり、紋章や良いとこの子が行ってそうな学校の校章に使われたりする(後者は個人的偏見)。

名称THE BULGARIAN FLEUR-DE-LIS TIARA

起源ブルガリア国民議会が、当時のブルガリア公妃へ結婚祝いとして送った。
(諸説あり。詳細は後述)

ブルガリアの国旗カラーであるエメラル

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王家の宝石 | ノルウェー王室のサークルティアラ

王家の宝石 | ノルウェー王室のサークルティアラ

今回も国名が沢山出てきますが、ノルウェーの話に初挑戦したくて書いた記事です!

概要現ノルウェー国王の孫娘にして王位継承順位2位のイングリッド・アレクサンドラが、18歳の誕生日の祝宴で身につけたティアラ。

ダイヤモンドが連なったサークル型のパーツを繋げてティアラにしたもの。
ところどころ配置されているボタン型のパールは、後から追加されたと言われている。

名称BOUCHERON CIRCLE T

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王家の宝石 | 3月の誕生石 - オランダ王室のアクアマリン

王家の宝石 | 3月の誕生石 - オランダ王室のアクアマリン

概要製造された1920年代当時流行していた、アール・デコ調のティアラ。
スクエアカットのブラジル産アクアマリンとダイヤモンドからできている。

名称THE DUTCH AQUAMARINE TIARA

起源1927年、18歳の誕生日を迎えたオランダのユリアナ王女(当時)に贈られた

宝飾メーカー⠀Van Kempen, Begeer and Vos

歴史①ユリアナ

18歳の誕生日に、両親から

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王家の宝石 | マルグレーテ女王のパールポワールティアラ

王家の宝石 | マルグレーテ女王のパールポワールティアラ

概要デンマーク女王・マルグレーテ2世が即位50年記念の際着用したティアラ

名称THE PEARL POIRE TIARA
poire (ポワール)=梨の意味で、ここでは洋梨型(しずく型)のパールがあしらわれたティアラのこと

起源オランダ王家に嫁いだプロイセン王女、ルイーゼ・フォン・プロイセンが結婚祝いとして贈られたものとされる

宝飾メーカー⠀不明。1825年ベルリンで作られたか?

歴史6人

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王家の宝石 | 9月の誕生石 - ロマノフ家のウラジーミル・サファイア・ココシニク

王家の宝石 | 9月の誕生石 - ロマノフ家のウラジーミル・サファイア・ココシニク

概要ロシア大公妃が所有していたティアラ。
のちにルーマニア王家所有となる。

なお「ココシニク」とは、ここでは同名のロシアの頭飾りを模したティアラを指す。

名称THE VLADIMIR SAPPHIRE KOKOSHNIK

起源1909年、ウラジーミル大公妃ことマリア・パヴロヴナがカルティエにオーダー

宝飾メーカーCartier カルティエ

歴史①マリア・パヴロヴナ(ウラジーミル大公妃)

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王家の宝石 | 8月の誕生石 - ハプスブルク家のペリドット

王家の宝石 | 8月の誕生石 - ハプスブルク家のペリドット

概要ハプスブルク家が作らせたペリドットのティアラ、ネックレス、ブローチ、イヤリングのセット。

名称THE HABSBURG PERIDOT PARURE

起源オーストリア大公妃ヘンリエッテの持ち物であった

宝飾メーカーA.E. Köchert

《余談》
この肖像画で有名なシシィスター(星形の髪飾り)を制作した、ハプスブルク家のお抱えジュエラーです。

こちらのメーカーでは現在でもシシィの娘

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王家の宝石 | 7月の誕生石 - バイエルン王家のルビーティアラ

王家の宝石 | 7月の誕生石 - バイエルン王家のルビーティアラ

概要かつてドイツに存在したバイエルン王国に伝わる巨大なティアラ。
現在はミュンヘン・レジデンツ美術館が所蔵している。

名称Bavarian Ruby and Spinel Parure
(ティアラ、イヤリング、ブレスレット、ネックレスのセット)

起源バイエルン王ルートヴィヒ1世が、妻テレーゼに贈った

宝飾メーカーCaspar Rielände

歴史① テレーゼ・フォン・ザクセン=ヒルトブル

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王家の宝石 | 6月の誕生石 - グレース・ケリーのパール

王家の宝石 | 6月の誕生石 - グレース・ケリーのパール

概要モナコ公妃グレース・ケリーがウェディングギフトとして贈られたパールのセット。

名称PRINCESS GRACE’S WEDDING GIFT PEARLS

起源グレース・ケリーがモナコ公レーニエ3世と結婚する際贈られた

宝飾メーカーVan Cleef & Arpels

歴史世界有数のお金持ちな国に嫁いだグレース・ケリー。

結婚の際、カルティエのダイヤとルビーでできたティアラと58カラ

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