よし…。これで全員集まったな。
　みんなに来てもらったわけだが、おれたちがどういう仲間なのかわかるかい？

　そうだ。
　おれたちは、九月一日を
「夏休みの宿題、やったけど忘れました」
　で乗り切った者たちだ。
　夏休みに、宿題よりも楽しいことを優先してきた者たちだ。

　先生は四日の月曜日まで待ってくれるらしいから、お休みの今日と明日で終わらせなくちゃいけない。
　だからみんなで、協力しようじゃないか！

　おれはあと、漢字ドリルと算数が残っている。みんなはどうだ？

　なるほどなるほど。
　ケータは理科と算数。
　タイショウは算数だけ。
　チーちゃんは社会と理科と算数と…、え、漢字ドリルも？
　あっくんは？
　読書感想文と、自由研究と…、日記…。
　…あっくんはちょっと、協力できないかもしれない。とにかく、頑張ろう。

　なんだ、タイショウ。
「古山くんが来ていない」だって？
　確かに昨日、古山くんも「やったけど忘れました」と言っていた。だからおれも誘ったんだが…、どうやら、古山くんは本当に全部やったけど家に忘れてしまったらしい。来ていないのは、そういうわけだ。
　そのかわり！
　なんと古山くんが、終わったけど家に忘れたという漢字ドリルを貸してくれた！チーちゃん、これを見ながら頑張ろう。

　さあみんな、始めるぞ。
　わからないところがあったら協力しよう！
　おれは社会と理科は完璧に終わってるから、困ったら聞いてくれ。

　え、なんだい、あっくん。
　七月二十日の天気…？
　わかんないよ、そんなの。

　お、ケータ、理科が終わったのか？
　あとは算数だな。
　そうなんだよ、おれたち、みんな算数が残ってるんだ。
　ああ、あっくんは算数終わってたな、ごめんごめん。うん、気にしないで、日記書いて。
　え？八月一日…？知らないよ、あっくんが何してたかなんて。

　そうだ、話を戻すぞ。
　おれたちは算数が終わっていない。でも強力な助っ人がいる。
　もうすぐ、おれの兄ちゃんが部活から帰ってくるんだ。

　…まあ、そうだな、チーちゃんの言う通り、兄ちゃんはバカだ。でも兄ちゃんは、中学生になってすごく難しそうな勉強をしている。中学生は算数じゃなくて、数学って呼ぶんだぜ。
　しかもこの前、ノートを見たら数学なのに英語も混ざっていた。嘘じゃない！
　すっごく難しい勉強をしてるんだから、四年生の算数なんてちょちょいのちょいだろ。

　お、帰ってきた！
　ちょっとおれ、話つけてくるから、みんなは続けてくれ。

　みんな、緊急事態だ。作戦変更だ。
　どうやら兄ちゃんも「宿題やったけど忘れました」を使ったらしい。だからおれたちの算数どころじゃないんだってさ！
　このあと、兄ちゃんも合流するぜ。ここで数学をするんだって。

　でもそろそろ疲れてきたな。まだ明日もあるわけだし…。
　一回休憩だ！みんなでゲームしよう！
　宿題のことは、いったん忘れようぜ！

※フィクションです。
　夏休みの宿題、いつも最終日に慌ててやってたなぁ。計画的に、とかできなかった。