夏山栞

短歌とか写真とか映画とか

【短歌連作】快速の止まらない町

この町はどうしようもないとこだからめちゃくちゃ甘いケーキが売れる

きみが書く飛ぶという字の筆順が間違っていて逆に飛べそう

父ほどの年齢である非正規の森さんと食うしずかな牛丼

夕立をやり過ごしてるロッテリアでバイトの李さんだけが元気だ

それぞれの神に祈りて糧を食う語学学校の昼餉うつくし

価値なんてわたしが決める 半額の白身フライはけっこう美味い

六限にきみの視線をたどりつつ同じ窓から見た

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VRマックポテト

マックポテトが食える。

エンジニアのジョーから連絡があったのは、一時間ほど前だった。
新作ソフトを作ったから試しに来てくれとの話で、これはまあいつものこと。
「またクソゲーか?VRでリアルに爆死しかけるのはもうゴメンだぜ」
「いや、今度のは間違いなく最高傑作だ!」
ジョーは興奮した様子だった。

「――VRで、マックポテトを食わせてやる」
「何だって?」

百年ほど前に流行った肥満撲滅運動の

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うたの日まとめ(2018 Spring)

早いもので、うたの日に参加させて頂くようになってからおよそ半年が経ちました。いつも皆さんの短歌に刺激を頂いています。本当に素敵な場に参加させて頂けていること、とても嬉しく思います。

ということで、今回は3月から5月にかけて投稿した歌のうち気に入ったものをまとめてみました。私生活がバタバタしていたり中々短歌モードにならなかったりとちょっとサボり気味な三か月だったので、次の三か月はもっとガンガン詠み

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【短歌連作】ピンクの呪い

春だから似合いもしないピンクとか着ても許されそうな気がして

試着室で絶望してる(だってこれ要約したらほぼゴリラじゃん)

ピンク色は魔法と謳う雑誌あり うるせえ魔法じゃなく呪いだろ

そういえば母もピンクが似合わない なんだメンデルの法則かよ

選ばれし勇者にのみ許されし武器つまりピンクはエクスカリバー

今日もまた勇者じゃないと分かりつつピンクカーデを手に取る店先

#tanka #短歌

【短歌連作】アラベスク

マリア様がじっと見下ろす中庭で彼女とわたしははじまりました

今日あなたがページをめくる中指のながさを知ったヘルマン・ヘッセ

「海へいこう」あなたのしろいスカートがひらりと揺れている夏木立

わたしたち花嫁みたいねまっしろなセーラー服でキスなんかして

霧雨の聖堂にいるこれまでが正しく生きすぎだったのでしょう

目を閉じる 一緒に消えたいなと思う あなたはアラベスクを弾いている

#tanka

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【短歌連作】ゼロ年代の亡霊

田中からおととい借りたMDを返さなきゃだし学校にゆく

ミキちゃんがデコってくれたケータイはちょい派手だけどやっぱ可愛い

日本にもiPhoneが来るらしいけど赤外線がないからビミョー

上手いことやればいいのに山本がまた腰パンを注意されてる

スカートをこっそり二回折っている今日はジャスコにプリ撮りにいく

大人にはなりたいようなそんなでもないような感じ、2008、冬

#tanka #短歌