夏山栞

短歌とかエッセイとか

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最近の記事

水煮先生占いレポ

水煮先生(@mizuni_can)の創作占いを受けてきたよ~というレポです。めちゃくちゃ濃い60分間でした…! 水煮先生とは! 西洋占星術を駆使して創作関連の占いをしてくれる占い師さん。人気なので鑑定は抽選で、私は昨年の夏頃から半年以上申し込み続けてきたのですが中々ご縁がなく。 これで最後だ~ッという気持ちを込めて時価枠(値段が高い分埋まりづらい鑑定枠)で申し込んだところ、ありがたいことにご縁を頂く運びとなりました。私のことはどうぞ縁を金で買った女と呼んでください! 詳し

    • 【短歌】文明がいつか滅んでも(2019年自選30首)

      てりたまを持ち帰りゆく春の道きょうから我もこの町のひと ガレージで口笛を吹く日曜のなんかそこはかとなくアメリカ 続刊のために空けてる本棚のドーナツの穴にも似たあかるさ ガスト行こうあんな男はもうやめてあたしと山盛りポテト食べよう キープってなんだよいつか使うかもしれない伊勢丹の袋かよ ボールペン売り場の紙のひとびとの嘆きのごときあああああああ ドロケイのヒーローだった山本をこんな記事では見たくなかった そんな恋忘れちゃいなよサビ以外鼻歌になる洋楽みたいに しら

      • 内見で父がバグった話

        私が東京でひとり暮らしをすることについて、賛成してくれたのは父だけだった。 母は真っ向から反対はしなかったものの、私とふたりきりになる度に「友達おらんと寂しいやろ」「〇〇ちゃんも△△ちゃんもみんな地元残るって」という切り口で説得を試みてきた。 私は、「〇〇ちゃんも△△ちゃんもみんな持ってるって言ってもゲームボーイ買ってくれなかったくせに」と反論した。18歳の私は結構クレバーだったのだ。 祖父母は、「東京には狼がおる、危ないからアカン」の一点張りだった。 私は「岐阜にも熊お

        • 【短歌連作】快速の止まらない町

          この町はどうしようもないとこだからめちゃくちゃ甘いケーキが売れる きみが書く飛ぶという字の筆順が間違っていて逆に飛べそう 父ほどの年齢である非正規の森さんと食うしずかな牛丼 夕立をやり過ごしてるロッテリアでバイトの李さんだけが元気だ それぞれの神に祈りて糧を食う語学学校の昼餉うつくし 価値なんてわたしが決める 半額の白身フライはけっこう美味い 六限にきみの視線をたどりつつ同じ窓から見た空の青 教科書の渡来人ってすっぴんのわたしにめちゃくちゃ似ていて嫌い どうし

        水煮先生占いレポ

          VRマックポテト

          マックポテトが食える。 エンジニアのジョーから連絡があったのは、一時間ほど前だった。 新作ソフトを作ったから試しに来てくれとの話で、これはまあいつものこと。 「またクソゲーか?VRでリアルに爆死しかけるのはもうゴメンだぜ」 「いや、今度のは間違いなく最高傑作だ!」 ジョーは興奮した様子だった。 「――VRで、マックポテトを食わせてやる」 「何だって?」 百年ほど前に流行った肥満撲滅運動の影響で、肥満要因となる食事はこの国から全て淘汰された。マックポテトはその代表格だ

          VRマックポテト

          うたの日まとめ(2018 Spring)

          早いもので、うたの日に参加させて頂くようになってからおよそ半年が経ちました。いつも皆さんの短歌に刺激を頂いています。本当に素敵な場に参加させて頂けていること、とても嬉しく思います。 ということで、今回は3月から5月にかけて投稿した歌のうち気に入ったものをまとめてみました。私生活がバタバタしていたり中々短歌モードにならなかったりとちょっとサボり気味な三か月だったので、次の三か月はもっとガンガン詠みたいです。 * 三月、と指を立てたるきみの手にピースがふたつあり春である(2

          うたの日まとめ(2018 Spring)

          【短歌連作】おれにしろよと

          どうだっていいことばかり覚えてるおまえの好きなファンタの味とか 六限におまえの視線たどりつつ同じ窓から見た空だとか 放課後にあの教室の片隅であけたピアスのきらめきだとか 海沿いの左カーブをかっとばすおまえの腰の熱量だとか ああそうか、好きだったんだ、おれはもう、あの夏すでに、おまえのことが 引き菓子のバウムクーヘン切り分けるおれにしろよと言えばよかった #tanka #短歌

          【短歌連作】おれにしろよと

          うたの日まとめ(2017-2018 Winter)

          2017年12月5日にうたの日デビューしてから約3か月。毎回とっても刺激的で、皆さんの短歌から日々勉強させて頂いています。 12月~2月の短歌のうち、自分で気に入ってるものを自選してみました。 正しさにこだわってしか生きられない わたしは逆上がりができない(2017年12月06日『拘』) 丸善に檸檬を置いてスキップで逃げたいような台風一過(2017年12月07日『オマージュ』) たましいは二十一グラムほどらしく大さじ二杯の砂糖を眺む(2017年12月09日『砂糖』)

          うたの日まとめ(2017-2018 Winter)

          あみもの第二号感想

          あみもの第二号、発行おめでとうございます。総勢57名!なんという豪華な大所帯! ということで、さっそく今回も気になったお歌について雑多な感想を述べさせていただきます。勝手に書き散らしてるだけですので、解釈間違い等はご容赦ください…… 手のひらに消えない光が欲しいけどあったらあったで鬱陶しいか / 屋上エデン 「なんだかよく分からないけど読んだ瞬間に共感してしまう」タイプのお歌でした。消えない光。希望だとか、未来だとか、不変の愛だとか、そういうキラキラした「何か」の暗喩だ

          あみもの第二号感想

          あみもの第1号感想

          遅ればせながら、あみもの第1号お疲れ様でした。 皆さんの連作を拝読し、まずはその量とパワーに圧倒され。またとても素敵な作品の宝庫で、短歌歴の浅い私に取っては大変刺激的で勉強になりした。 今更感は否めないのですが、あみもの第1号の中から特に気に入ったお歌を引かせて頂き、評……というか雑多な感想、のようなものを書かせていただきたいと思います。お付き合い頂けますと幸いです。 朝ぼらけcosβそれなりに何かを越えてみたいと思う / 池田明日香 なんと作者は現役高校生(!)らしい

          あみもの第1号感想