見出し画像

散文61

裁きを受ける前夜に眠りにつけるか。
睡眠は死のいとこって?

死に続けている。
栄養のない硬い米を口に入れて、また陶器に吐き出している。
小綺麗な服と時計とを身に着けていて、着飾らない姿で
ヘッドフォンから爆音でフランク・オーシャンが流れている時の
耳の涙。

街の労働の狭間で
正気であると信じてやまない彼らの
狂気を今日も数える。

意味も無い、意味性すら持たす隙も無い
私らの日々の
無意味な反復を想像したことはあるか?
ともだち。

愛の詩を書いた詩人が
自死した夢を見ている。
その夢を起きている今も
眠っている間にも見続けている。

夢がやがてそれらしい形になるまで
私らはその夢を詳細に記憶し
反復し、往来を重ねる。
それが形になるまで。私らは死なない。

この記事が参加している募集

ほろ酔い文学

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?