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春_店番日記

島か港か、どこか小さくのどかなコミュニティのなかでひとりちいさな本屋さんのお姉さんをやりたいとここ最近思っていて、そんな来るかもわからない未来の光景がはっきりと目の前に浮かんできた。
(吉本ばななさんの「海のふた」が理想的)

放課後の子どもたちが立ち読みをしたり帰路に着く前に集う場所だったり、近所のひとがお茶をしにきて椅子に座って会話したり、そしてそれをひろい気持ちで迎え入れる店番のわたし。ひまなときは好きに本を読んだり、きれいなお姉さんだな〜ほわわん〜といった妄想まで。保健室のような場所をつくりたい。それに向けていま本屋さんで学べることをしていく。
自分の居場所をつくると同時に、ひとの居場所となるコミュニティをつくるのが目標。



0329 二連休あけの本屋さん店番
気温は20度以上、春休みの人々のゆるやかな空気がせかせかと働く人が行き交う街にベールを被せるように存在している。これは動物たちが冬眠から覚めるはずだわ、固く閉じきっていた植物たちが芽吹き始めるはずだわ。とさまざまな生の気持ちを一気に味わった。
人間であるわたしは春、なにから目覚めてなにを解き放てばよいのだろう?

うきうきるんるんで桜の芽吹きを待つ。はやくあの淡くて淋しくて愛らしい花を見せてほしいとそわそわして待ち侘びている。

春休みの男子小学生がふたりやってきた。隣のカフェに目もくれず本棚に面になっている『とっておきドラえもん おいしいうれしいグルメ編』を手に取る。1冊しかないのでふたりで取り合いになりながら中身をめくっていた。その様子がなんだか男の子って感じで思わず破顔。そのまま眺めているとぼそぼそっと、「ちょっと高いよ・・足りるかな・・」と話し合いながら首から下げたお財布の中身を確認している。お姉ちゃんが買うよ!!と喉元まで出かかった言葉をなんとか飲み込み、レジに持って来てくれた男の子と目線を合わせて言葉をかわす。

お小遣い足りてよかったね・・買ってあげたかったけど、お小遣いで買ったことでさらに大切な本になるんだろうなと思うと子どものころの無垢な気持ちを取り戻したいと羨ましくなった。

嬉しそうに大事に抱えて帰っていく背中を見て、街の本屋さんが減っていくなかでわざわざこのちいさな本屋さんまで来てくれたことの喜びを噛み締めた。街の本屋さんとして根付くよう日々店番に励みたい。
ドラえもんは安くならないけど立ち読みはしていいよ。いつでもおいで〜と帰りゆくちいさな背中に念を送っておく。



大人になってしまったなと悲しくなるのは詩を読んだとき。常識にとらわれず柔軟で自由な発想を読んだとき、私は大人になってしまったと嫌でも気付かされます。谷川俊太郎、寺山修司、ヘッセ・・悲しいな・・そういうときは自然に抱かれる。

0330 昨日以上の暑さ。24度だそう。肩の凝るアウターを着なくてよくてちょうどいい気温。夏もこれくらいで気温上昇が止まってくれたらいいのにと思う。
土曜日だし春休みだし外は暖かいし晴れてるし、みんなどこに行っているんだろうか。花開きかけた桜でも見に公園に行ってるんだろうか。私も外をゆっくりのんびりと散歩したい。
朝から晩までお仕事。春だからぼんやりとするなあ。思考も止まって集中力も散漫。どこかへ飛んでった。すべて春のせいにしておこう。5月になれば5月病のせいにもできるね。

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