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雑文

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主に読書感想文を載せています。ネタバレしない内容を心がけてますが、気にする人は避けてください。批評ではなく、感想文です。
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2017年10月の記事一覧

グレイス・ペイリー 『その日の後刻に』

★★★★☆

 今年の8月にようやく出たグレイス・ペイリーの3冊目であり、最後の1冊です。グレイス・ペイリーは寡作の作家で3冊しか出ていないのです。訳者はもちろん村上春樹です。
 短いものは数ページの掌編ですし、長いものはふつうの短篇の長さです。なので、収録数は17と割と多め。雑誌Monkeyに収録されていたエッセイとインタビューも1つずつ入っています。

 前の2冊も読んだのですが、具体的におぼ

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アーネスト・ヘミングウェイ 『日はまた昇る』

★★★★☆

 言わずとしれたヘミングウェイの長篇デビュー作。2012年にハヤカワepi文庫から出た新訳版で読みました。訳者は土屋政雄。いま話題のカズオ・イシグロの『日の名残り』や『わたしを離さないで』などの翻訳をしている方です。ううむ、タイムリー。

 とはいえ、同じノーベル文学賞受賞者の作品といえども、ヘミングウェイは1954年受賞なので、63年も前のことです。カズオ・イシグロと関連づけるのは

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トム・ジョーンズ 『コールド・スナップ』

★★★★☆

 1995年に刊行されたトム・ジョーンズの2作目の短篇集。1作目の『拳闘士の休息』は岸本佐知子訳でしたが、こちらは小説家の舞城王太郎訳です。

 表紙にどどーんと翻訳者の名前が載っています(トム・ジョーンズの名前よりも大きい)。正直いって、そういうのってどうかと思います。村上春樹訳でもここまで露骨ではありません。「舞城王太郎」の名前で売りたいという下心が透けて見えます。わからなくはな

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柴田元幸 『代表質問 16のインタビュー』

★★★★☆

 翻訳者である柴田元幸が小説家を中心に13人の方にインタビューをしています。内容は主に小説や文学についてと、翻訳についてです。イベントでのトークショーの文字起こしと雑誌に掲載されたインタビューがほとんどです。
 僕はソフトカバーで読みましたが、文庫化もされています。

 主な作家は、スチュアート・ダイベック、村上春樹、バリー・ユアグロー、内田樹などです。翻訳家の岸本佐知子へのインタビ

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