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雑文

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主に読書感想文を載せています。ネタバレしない内容を心がけてますが、気にする人は避けてください。批評ではなく、感想文です。
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2018年10月の記事一覧

エドワード・ゴーリー 『音叉』

★★★★☆

 6月から始まったエドワード・ゴーリーの新作3点連続刊行のラストを飾る本作。原題は『The Tuning Fork』。訳者はもちろん柴田元幸。

 いつものことながら、あらゆる点で安定したクオリティが保たれています。これまでのゴーリー作品が好きなら、楽しめるでしょう。
 ただ、解説でも触れられているとおり、話の筋はいたってストレートです。条理に添わないのがゴーリー節ですが、わりかしふ

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中田考 『みんなちがって、みんなダメ』

★★★★☆

 イスラーム教徒でもあるイスラーム学者、中田考による語り下ろし形式(一部インタビュー形式)による人生指南書的な一冊。
 表紙がライトノベルみたいなのが気になりますが、内容とは一切関係ありません(どうしてこの装丁にしたのでしょう???)

 ふだん意識することはあまりありませんが、僕も含めて大半の日本人が浸っている資本主義や領域国民国家やリベラルな価値観、ものの見方を快刀乱麻にぶった切

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橘玲 『朝日ぎらい』

★★★☆☆

 書名とは裏腹に、朝日新書から今年出版された橘玲の新書です(もっとも、そこにこそ本書の意義があると書いてありますが)。
 日本の「リベラル」と世界基準のリベラリズムを比較することで、日本の思想的な問題点や特徴を洗い出しています。

 橘玲の著書はどれも基本にあるのが「エビデンス・ベースド」です。主観と客観(事実と意見)をごっちゃにしない、統計的・科学的な根拠を示す、といったシンプルな

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