Akippo

40年間半導体製造プロセスに関するエンジニアを経験し、生産改善及び製造のデータ活用を推…

Akippo

40年間半導体製造プロセスに関するエンジニアを経験し、生産改善及び製造のデータ活用を推進した経験が有ります。一方、料理が趣味で、古墳時代が好きで、絵画、地球科学や野菜つくりに興味を持っておりまして、これらの情報を発信させていただきます。何分素人なので、お手柔らかにお願いします。

最近の記事

映画『オッペンハイマー』感想+科学的背景まとめ

はじめに  映画では、時代の行き来がカットで行ったり来たりで、量子物理学、アメリカに於ける核兵器開発の歴史、オッペンハイマーの生涯、反共産主義否定の歴史が分からないと、ついていけない様な感じを強く受けました。この辺を、正確に説明してくれているのが、下記の投稿にありますので、同じ思いをお持ちの方は、ご参照ください。  因みに、私にとって解り辛さを助長していたのが、モノクロ場面で、私の概念では、古い場面の方がモノクロ画像として、現代をカラーにするのが、常識でしたが、今回のこの映

有料
100
    • 半導体製造を支えるIOTシステムとは?

      はじめに  半導体製造では、30年以上前よりIOT技術が導入され、データを活用した先駆的な生産方法を構築してきた。この様な半導体デバイス生産に於けるIoTシステムをご紹介することにより、半導体生産の理解を深めて頂きたいと思います。それと同時に、IOT技術の利用促進に繋がればと考えております。 1. 生産装置のオンラインシステム 半導体製造ラインに設置されている生産装置は、現在では、ほとんどイントラネットに接続され、装置状態、作業条件、プロセス開始、終了、処理時のパラメータ値

      • 『ゴジラ-1.0』遅まきながら鑑賞感想

         『ゴジラ-1.0』が、2024年3月に第96回アカデミー賞の「視覚効果賞」を受賞しましたね。これは、日本映画として初めての受賞の快挙であることから、注目を集めました。視覚効果は、監督の山崎貴氏が所属する映像制作プロダクションの『白組』がVFXを手がけた様です。『ゴジラ-1.0』は、戦後間もない焦土と化した日本にゴジラが現れる物語で、国内興行収入は60億円を超えて、今でも増えて行っています。全米でも話題を集め、日本の実写映画の歴代興収で1位に輝きました。山崎貴監督は、日本にお

        • 会社生活というコト ー不適切な昭和時代から令和までー

          はじめに 今年、サラリーマンは卒業させていただきましたが、40年に渡って会社組織に属して、給料を頂戴してきた経験から、仕事に対するスタンス、心掛けていたことを書かせて戴きます。現在現役の皆様に、少しでも参考になればと期待しています。 不適切な昭和時代 新入社員の時代は、昭和の真っただ中でしたので、正に不適切にものの時代でした。不適切の端的な例から述べさせていただきますと、現在と比べると喫煙者の割合が非常に多く、業務机に灰皿が置かれており、喫煙者の方々は、業務中にスパスパと

        映画『オッペンハイマー』感想+科学的背景まとめ

          製造現場での生産装置の生産性向上活動の進め方 ー稼働時間とスループットの改善ー

          1.はじめに生産装置の生産性向上のための切り口は、実際に製品を作業するための稼働時間を増やすことと、稼働時間当たりの製品処理スピードをアップすることの2点であると考えられます。まずは、稼働時間の向上のための進め方を述べさせていただきます。ここで改めて申し上げますが、生産ラインで改善活動を進めるべき装置は、生産のボトルネックである装置であり、活動の展開以前にボトルネックを見出すことは必須となります。 2.稼働時間向上の進め方 半導体製造装置は、高度にオンライン化された仕様と

          有料
          100

          製造現場での生産装置の生産性向上活動の進め方 ー稼働時…

          TPSでは生き残れなかった日本半導体製造現場

           1980年代に隆盛した日本半導体製造は、その直後に吹っ掛けられた日米半導体戦争に屈して、強制的な売価制限と米国製品の購入義務により、競争力が大きく弱められ、加えて、1990年代のバブル崩壊後の経済状況と相まって、日本の半導体産業は壊滅的な打撃を受けました。この状況で体力を奪われたことから、大きな投資を必要とするメモリ生産を諦め、システムLSI製造への打開策を求めて行きました。この多くの半導体デバイスメーカーも、専用顧客であった自前家電製品の競争力の低下から、事業縮小を迫られ

          TPSでは生き残れなかった日本半導体製造現場

          ご挨拶

          はじめまして 基本エンジニア気質で、色々と興味のある内容を記事としてお披露目させて頂きたいと思っております。具体的には、 1.料理、2.古墳時代を中心とした古代史、3.最近の地震発生状況、4.製造業の生産性改善、5.半導体ビジネス、6.絵画、 7.DIY、8.野菜作り と多岐に渡ってしまいます。何れも広く浅く的な内容ですが、ご興味を持って頂ける様でしたらお付合いください。

          ボランティア活動に参加すべきか?否か?

           定年を迎え、サラリーマン生活に終止符を打った今、何をやるべきか? 何を始めたいか? 大きな命題を抱えています。 実は60歳を前に長年勤務してきた会社を退職し、一度、別業種も含めた転職の道を模索したことがありますが、全然、雇って頂ける所がなく、結局、嘱託という形で、旧職でお付き合いのあった会社で雇って頂きました。この経緯は、以下に記載しておりますのでご興味ある方はご参照下さい。 この職でも、65歳を迎えたことから、本当の定年退職となりました。前回の転職活動の経験で学んだので

          ボランティア活動に参加すべきか?否か?

          躍進の続く東京エレクトロンにとって死角は無いのか?

          1.半導体生産装置メーカーである東京エレクトロンとは? 東京エレクトロンは、1963年に東京放送(現在のTBSホールディングス)の出資により、東京都港区赤坂に資本金500万円で設立されました。当初は半導体の技術専門商社として、半導体製造装置の輸入販売を中心にビジネスを展開していきました。  その売上高を2022年3月期から急激に伸ばし、2023年3月期の売上高は22,090億円までを得るようになりました。また、これより売上原価を差し引いた売上総利益率は44.6%で相当高く、

          有料
          200

          躍進の続く東京エレクトロンにとって死角は無いのか?

          半導体製造装置メーカー業界の現状と今後

           半導体製造ラインでは、そう大きくない規模でも1000台にも及ぶ装置の台数が必要で、その半導体製造装置の市場規模は、2023年に10兆5,000億円に足しているとされています。この装置の種類を分けると、露光装置、レジスト塗布現像装置、薄膜成膜装置、エッチング装置、ウェット処理装置、イオン注入装置、CMP装置、メッキ装置が上げられます。これらの製造装置を供給できるメーカーは、世界でも限られており、売り上げ順位で列挙していくと、以下となります。 1. Applied

          半導体製造装置メーカー業界の現状と今後

          「見える化」による『コストダウン』=家計簿作成と出費削減

           1990年台のバブル崩壊とこれに続き半導体戦争に敗れた半導体製造の現場では、新規技術、新規デバイスの開発よりも『改善』、『コストダウン』に力を入れなければならない状況が続き、その中で、経験してきた活動の中で、得られた各種手法の習得とともにその裏にある哲学にも触れたいと思います。製造現場でのコスト削減活動と家計簿を丁寧にまとめて出費を抑える活動は、似ています。スタートポイントは、「見える化」です。  何よりも改善に必要なのは、「見える化」の実現とこのデータを用いた分析に限り

          「見える化」による『コストダウン』=家計簿作成と出費削減

          製造現場での「見える化」によるコスト削減活動の勧め

          はじめに 一般的に製造業における製品原価は、製造原価と販管費(販売費用と一般管理費)に分類されます。また、製造原価は、材料費、労務費及び製造経費に分類されます。材料費用は、主に、製品のベースとなる直接材料とその加工に必要な材料である間接材料および製品に装着される部品に整理されます。また、加工や部品装着に必要な治工具や、加工による消耗される部品の費用も、材料費用に含まれます。製造原価には、材料費以外に、労務費と製造経費が含まれます。労務費は、製造に直接係る直接人員の人件費と

          有料
          100

          製造現場での「見える化」によるコスト削減活動の勧め

          半導体投資狂騒曲の真っただ中で、「国策半導体 Rapidus」よ! その選んだ道は正しいのか?      

           40年間を半導体製造業界で過ごしてきた経験から、2023年から投資狂騒曲状態に陥っている半導体ビジネスについて述べさせていただきたいと思います。 尚、僭越ではありますが、議論の評価対象としてラピダスを例に議論させていただきます。 1.コストとの闘いに勝てるのか? 1.1 微細化の追求は半導体製造の生命線  半導体ビジネスを推進するためには、基本的にはコスト対策がすべてと言って過言ではありません。一枚のウェハー上で何個のチップを形成出来るのかが最大の関心事であります。日本

          有料
          100

          半導体投資狂騒曲の真っただ中で、「国策半導体 Rapidus」…

          レポート『日刊工業新聞社主催のスマートファクトリーJapan 2024』

           2024年2月20日から22日まで東京ビッグサイトで開催された日刊工業新聞社主催のスマートファクトリーJapan 2024に行ってきました。製造現場のスマートファクトリーを実現するうえで欠かすことのできない情報管理・処理システムをはじめ、製造設備・装置、その他、生産工場に関する技術・製品に関しての企業が86社参加している様でした。オンラインでも開催されており、2024年2月14日から29日までアクセス可能な様です。  展示会最終日の2月22日に会場に出向き、開催された講演会

          レポート『日刊工業新聞社主催のスマートファクトリーJapan 2024』

          投資狂騒曲の渦中にある半導体ビジネスとは?

             半導体ビジネスは、現代社会において欠かせない存在となっています。そのビジネスモデルは、もはやシリコンウェハー上にチップを製造するだけではなく、顧客で利用される最終製品(例えば携帯電話)からの要求を達成するための回路設計から、出来上がったチップのテスティング、ダイシング、パッケージングへの組み上げ、品質保証に加え、顧客利用場面での長期的な動作保証という観点から、総合ビジネスとしてのすべての機能フローを整備する必要性があります。  まず、半導体ビジネスでは、出来上がった

          投資狂騒曲の渦中にある半導体ビジネスとは?

          Gogh -ゴッホと静物画展より‐

           1853年にオランダの北ブラバント州で生まれ、主にフランスで作品を制作したフィンセント・ファン・ゴッホは、日本の美術愛好家の心を掴んで止みません。それでは、なぜ彼の絵画は、我々の心に響くのでしょうか? それは、つぎの二つの切り口が考えられます。一つには、ゴッホの色彩感覚ではないでしょうか? ゴッホの作品は、その独特の色彩感覚で知られています。彼は色を劇的に、そして感情的に使用しています。これは、日本の伝統的な芸術、特に浮世絵や日本画にも見られる特徴だと言われています。そのた

          Gogh -ゴッホと静物画展より‐