GREAT MOON

1995.11

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1995.11

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ケータイ小説と横書きの文章について

 中学生の頃、ケータイ小説がブームになった。 書店に足を運べば、ベストセラーから、新作まで、様々なケータイ小説が並べられていた。 次々に映画化・ドラマ化された。 テレビでは、どうして皆に支持されているのか、インタビューを交え報道され、「縦書きは、少し読みづらいですね。やっぱ横書きだとすらすら読める気がする。」と、画面の中の女子高生が答える。 縦書きと横書き、どちらの方が早く同じ文章を読むことができるのか、検証までも行われていた。 だから、ケータイ小説は多くの人に支持されるので

    • aikoの歌が恋を知った私たちにガンガン響くわけ

      私がaikoに出会ったのは、きっと物心つくよりずっと前。 「よく流していたわよ」と母が言っていた。 記憶があるのは「秘密」というアルバムくらいの時。 中学生かそこらの私には、GReeeeNやファンモンや大塚愛などのポップでリズム感のある音楽の方が面白く、aikoの魅力は、さほど理解できていなかったように思う。 aikoは、詞を先に書き、後から曲を作っていくらしい。 本来の作り方とは逆だ。 改めて聞くと、後から付け加えたとは思えないほど、音楽が歌詞になじみ切っているのがすごい

      • 一看護師から見た人が死ぬということ(偏見)

        私は4年間、急性期病棟に看護師として勤務していた。 最初は外科、最後の1年は内科が主の混合病棟。 看護学校時代から飲み込みが遅く、出来が悪い方で、先生方や指導者にはたくさん迷惑をかけたと思う。 医師とやることは違っても同等の知識は必要で、日々勉強、勉強。 経験を積みながら成長していけばよいと言っても、一つのミスが命に関わってしまうかもしれない緊張感。 その緊張感からくる人間関係の悪さやプレッシャー。 必ずしも良い労働環境とは言えなかった。 大きい病院にいると、病棟によって

        • ラブホテルなんか大嫌いだ

          ラブホテルは嫌いだ。大嫌いだ。 ラブホテルを舞台にした援助交際やら風俗嬢やらのドキュメンタリー漫画を見てげんなりしているのが大きい。 それだけじゃなくて、地下鉄の公衆トイレみたいに、いろんな人の体液や体臭や情念が混ざり合って、芳香剤の匂いで上書きされていく過程も、妙に天井が低いところも、窓がないところも、大嫌い。 そこは、ただ用を足すためだけに存在している。用を足す前は宝島のように見えるその場所も、済んでしまえば、ただの鍵がついた洞穴になる。 (私は大嫌いなので、そんな風に

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          最高の陽キャラの在り方をI.W.G.P.の「真島マコト」から学ぶ

          数年前に九州から成増駅に上京し、数年間滞在した。 東武東上線ユーザーならご存知だと思うが、成増駅は池袋から電車で10分。なかなかの近さで、私にとっての「東京」は池袋と言っていいほど通い詰めていた。 ルミネに行ったり、南口のビルのフラダンス教室に通ったり、メトロポリタンホテルのレストランで誕生日をお祝いしたり、東口のブックオフで永遠に立ち読みしたり。 20代前半の楽しい時間を、池袋とともに過ごした。 他の町はなんだかそわそわして落ち着かなくても、池袋に来るとほっとした。 広すぎ

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          感性とは脳みそから与えられるものなのか?

          私たちの頭には、脳みそっていう、得体の知れない物質が詰まっている。 頭蓋骨に閉じ込められ、髄膜に守られ、髄液に包まれ、肉体に魂を宿し、司令塔として体を動かし、そこに君臨している。 脳の多くのことがまだ未解明で、世界一の頭脳を持つというアインシュタインの脳は、ホルマリン漬けにされ、保管されているという。 人間を人間たらしめている臓器の、何もかもが不明瞭なんて、ちょっと皮肉ともいえるし、ロマンでもある。 ―――このコーヒー熱すぎてのめないよ。冷めるまで待とう。 ―――あぁ、仕

          感性とは脳みそから与えられるものなのか?

          映画「花束みたいな恋をした」は絶対に一人で見たい映画でした

          映画をみた。 一人で見たい映画と、みんなで見たい映画は違う。 「花束みたいな恋をした」は、世界観やあらすじを見る限り、絶対に一人で見たい映画だった。 ストリーミングになるまで待ち、ようやく見ることが叶った。 大学生の絹と麦が、終電を逃し、出会う。 好きな作家が一緒で、興味のあるものが一緒。 自分だけの世界でコツコツ積み上げてきた「これが好き」「あれが好き」が、なぜか解きほぐされ、自分だけの世界に他人が入り込んでくるというより、二人の世界になっていく。 ずっと前から、私が生

          映画「花束みたいな恋をした」は絶対に一人で見たい映画でした

          誕生日ってこんなに静かに訪れるものだったっけ?

          27歳になった。 いつも通り昼前に起きて、家事をこなしたら昼が過ぎて、何も食べていないことに気付きあわててヨーグルトをかき込んだ。 今日が誕生日であることは自覚していた。 流石に日付を忘れたりはまだしない。 少し前まで、誕生日という日は、自分のために太陽が昇り、自分を取り囲む社会の住人は皆、私をお祝いしてくれているような感覚だった。 森羅万象、全てグレードアップして見えていたはずなのに。 気付いてみたら1人、いつもと変わらない日だ。 もちろん、同じ日は毎年やってくる

          誕生日ってこんなに静かに訪れるものだったっけ?

          琥珀色って何色だと思ってた?

          子供の頃、たぶん国語の授業か何かで「琥珀色」という色があるのを知った。 初めて聞いたとき、なんだか響きがかっこいいと思ったのと同時に、 素朴にどんな色だろう?と想像を膨らませるのが楽しかった。 白っていう字が入っているから、きっと白っぽい色なのかな。 いや、字を見る限り、すごくかっこいい色だろう。 でも、「コハク」っていう響きがなんだかかわいらしい男の子みたいだな。 じゃあ青っぽい色かな。 と、考察した結果、パリッとした青を想像した。 大人になって、琥珀色の正体を知った

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          自転車生活のススメ

          最近引っ越した。 この町は、道路が広い。歩道も広い。 駅から、ショッピングモールから、 あっちの公園からこっちの公園まで、 ありとあらゆるところに歩道が通っている。 どこへ行くにも、便利な乗り物は自転車と決まっている。 この町に住んでいると、ありとあらゆる自転車を目にする。 ママチャリ、電動自転車、マウンテンバイク。 ちなみに運動不足の私は、もちろん13万円もする電動自転車を買った。 この町に来たばかりの頃は、自転車を買えば絶対、生活が便利になると思っていたが、そ

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          毛先が好きな話

          髪は女の命。 よく耳にすると思う。 長年ショートヘアだった私が、最近髪を伸ばし始めた。 純粋に髪型がかわいいから、いいことがありそう、願掛け、理由はいろいろあるけれど、やっぱり「自分が積み重なっていく感覚」が大きい。 細胞が生まれ変わる話をきいたことがあるだろうか。 人間は数週間~数か月かけて、全身の細胞が生まれ変わっている。 その例外が髪だ。 髪は、抜けていくものを除いて、連なっていくのである。 蓄積されていく。 だから、去年の私の細胞は体中どこを探してもないけれど

          毛先が好きな話

          ナースによるナースのためのラジオ、【アケノニヤス】放送中!

          皆さん看護師にどんなイメージを持っているだろうか? かっこいい。 高給取り。 責任がある仕事。 エロい。(?) 採血がうまい人と下手な人がいる。 ……大変そう。 そう、よく言われる。大変そう。 医療現場が過酷なことは、マスメディアの影響でなんとなくわかると思う。 だけれど、実際に何が大変なのか、わかっていない人が多い。 ドラマでよく見るような、急変なんて毎日は起こらない。 (病棟による) 患者さんが離院することも、滅多にない。 (ドラマのまねをする人がいたら、やめ

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          イルカと西の島に引きよせられて運命的な出会いを果たした二人の、その後のリアル

          ミサ子さん。当時26歳。私の職場の先輩だった。ダイビングが好きで、旅行が好き。楽しいことがすき。仕事もそつなくこなせる。おっとりしていて、とてもかわいい。けれど、こだわりや芯がしっかりあって、自分の意見はしっかり言える。周囲に流されない。そんな彼女と一緒にいるのが、すごく楽しかった。 ある日、ミサ子さんは「イルカを見に行きたい」と西の島へ出かけた。片道数時間、島を一つ経由しての長旅だ。SNSにはかわいらしいイルカと、楽しそうな様子の投稿があがった。数日間の旅行を楽しんで、帰

          イルカと西の島に引きよせられて運命的な出会いを果たした二人の、その後のリアル

          愛のない人間は、結構たくさんいる。

          愛のない人間には、なってはいけないなと思います。 愛のない人間は、かなり、たくさん存在します。 愛のない人間は、常に愛に渇望しており、余裕がありません。 余裕がないため、見つめ直すことができません。 何か悪いことが起こった時、まず、相手や対象の原因を探ります。 そしてその原因を見つけた時、それがすべてだと思い込み、他に原因を探すのをやめそれを責めたり、相手を改善させようとします。 原因が相手や対象にしか、見えていないので、傷つけてしまった、という自覚もないでしょう

          愛のない人間は、結構たくさんいる。

          アイデンティティや個性がどこにあるのかという話し

          私の職場の後輩の男の子に、「個性」についての課題をくれた子がいる。 仕事の出来も、顔も、身長も、名前も人並みであると感じているのか、 (私が知るのは仕事中の彼だけだ) 彼自身もそのことをコンプレックスに思っているのがよく分かる。 代わりに、「量産型」が嫌だからと髪型をウルフカットに決めていて、 女性スタッフからの評判はあまりよくはないが、 「量産型」でないその髪型を、彼は素晴らしく個性と認めているらしい。 理想の自分というものは、それが抽象的なものでも、具体的で

          アイデンティティや個性がどこにあるのかという話し