見出し画像

春眠としくじり

しまった。機会を逃してしまった。
私は飛び起きた。

昨晩は珍しく、
夜中一度も目覚めずに
今朝まで眠り続けることができた。

またずいぶん寝汗をかいていたけれど、
眠れたことの方が嬉しかった。

起きて朝食を済ませてからも、
まだ眠い。
結局うたた寝をし、そのまま正午まで。

しまった。
目を開けたか開けていないか、
意識があったかそうでないか、
という夢と現実の隙間で気がついた。

10時にしようと思っていたことを
すっかり忘れていた。
私にとっては大切な機会を
逃してしまった。

やってしまった。

後悔がもやもやと
胸の中で絡まっていく。
逃していなければ、という想像を
いつもの癖で繰り返してしまう。

胸のもやもやと
頭の中の想像は
なかなか消えなかった。

だけれど、眠れぬ日々の中で得た春眠。
それには意味があった。しかも雨。
雨の日に生まれた私は、
時折雨に意味を感じてしまう。

最近私は
自分に起こる偶然も必然も
自分に意味のあることなのではないか
と、穏やかに信じ始めている。

逃すものがあったとしても、
縁がなかったのか、または
何かから私を守ってくれたのかも知れない。
そう思う。

後になってそう思われることが
これまで実際にあったからだ。

確かな土台となる根拠は無いのだけれど、
無闇に後悔の念を抱き続けることよりも、
今この地面に足をつける為の土台には
なるのではないかと思う。

もちろん、二度と後悔しないように
簡単に忘れ去るだけでなく、
次へ向けて心得を持つことも大事だけれど、

起こる事に対して
「私が全ての原因だ」と捉えるのではなく、

それをそのまま受け入れていくこと、
自分は「この世界の一部だ」と体感すること。

そう意識したら、
森の中の小さな湖に
私の体は浮かんでいた。

ああ、
体が軽い。
緑の匂いがする。

そんな土曜日。