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Rain、雨に誘われて【鑑賞後感想】『言の葉の庭』新海誠

新海誠作品は、『君の名』を流行りから遅れて観たのが最初で最後だった。もう5年か6年は前のことだ。感想? 綺麗だったよ。あとはラッドだったね。そのことはよく覚えている。
内容は、うーん。どうもね~というのが正直な感想だった。

それで『言の葉の庭』なんだが、これは『君の名』よりも前の作品。かなり初期なんじゃないかな。もう1作、有名なのは『秒速5センチメートル』がある。とにかく何が言いたいかって『君の名』以前の作品だ。

僕にこの映画を薦めてきた友人は、僕よりひとつ年上で、まあほとんど同い年みたいなもので、映画好きだ。彼の好きな映画は『ゴットファザー』で、かれこれ20回以上は観ている。そしてこの『言の葉の庭』も10回以上観ているらしい。僕には共通項が想像できないが、いい映画であれば何度も繰り返して観るのだろう。この映画との出会いは、そんな感じだ。今さっき観たところだけど、これは2回目だ。1回目は彼が僕にお勧めした半年前の話だけど、評価は変わっていない。下のとおりだ。

2013年
監督:新海誠
出演:入野自由、花澤香菜
46分
青春
90点

90点の映画だ。
簡単にだけど、語らせてもらう。
そしてなんと46分!

子どもの頃、空はもっとずっと近かった。
だから、
空の匂いを連れてきてくれる雨は好きで、
雨の朝はよく、
地下鉄に乗り換えずに、改札を出る。

六月、まさに今だ。それに、本日は雨だった。
Rain、雨に誘われるようにして、この映画を観た。この映画は、雨の時に、そしてまさにこの時期になれば観たくなる。と、それもあるが、つい先日noteである記事を読んだ。この映画の曲、Rainに触れていた。それがまた僕をくすぐったんだ。そして、今日はまさにうってつけだった。という話だ。

とにかく新海誠映画はキレイだ。そしてリアルだ。画面の向こうのアニメーションは、僕もよく知っている世界だった。

新宿御苑
東屋の下
朝っぱらから飲酒しているOLと遭遇した。
ここから始まった。

チョコレートとビール。

でも、この人どこかで……
「あの、どこかでお会いしましたっけ?」
「いえ」
「すいません、人違いです」
「……会っているかも。……ナルカミノスコ~」

なんだこの女。
去り際に変な呪文みたいなの唱えて帰っていった……

晴れた朝は、
ちゃんと地下鉄に乗り換えてここにくる。
ー学校だ。
でも、こんなことをしている場合じゃないと思う。

……雨が待ち遠しい。

「こんにちは」
あの人はいた。
「またお酒ですか」
「ちゃんとつまみだってあるよ、ほら!」
大量の板チョコレートを見せられた。
こいつ、マジか……
「いま、ヤバイ女だと思ったでしょ」

夜、眠る前。
朝、目が開く瞬間。
気づけば雨を祈っている。

晴れの日には自分が酷く子供じみた場所にいるような気がして、
ただ、焦る。
仕事とか社会で、あの人が普段いるのであろう世界は、俺にはとても遠い。
まるで世界の秘密そのものみたいに彼女は見える。
はっきりと分かっていることは2つだけ。
あの人にとって15の俺は、きっとただのガキだということ。
そして、靴を作ることだけが俺を違う場所に連れて行ってくれるはずだということ。

彼女にも、色々ある。

……雨だ。

七月

彼女の靴を作る。
「私ね、上手く歩けなくなっちゃったの。いつの間にか……」
「それって仕事のこと?」
「……いろいろ」

この人のこと、まだ何も知らない。
仕事も歳も、抱える悩みのことも、
名前さえも……

それなのに、どうしようもなく惹かれていく。

で、だいたい半分。約20分。

はじめて観たのが半年前で、今回は2回目になるが、とても良かった。
さすがに全部覚えていたが、それでもやっぱり良かった。きっとまた、観るだろう。たぶん雨の時に。
青春、いーね!!
こういう経験してたら、ちょっと人生変わっていたかもなあ、とか想像してしまう。

先日、朝井リョウの『スター』を読んで記事にした。そこで尚吾は「神は細部に宿る」という理念をもっている。そういうのが、この映画でも体現できる。まさに、拘りが半端ない。そうだよ、大迫っていた。

46分の映画。いや、あのエンディング曲(主題歌っていうのかな?)のための、40分のイントロなのかもしれない。Rain、最高だよ。

あっ!最後に、新宿御苑での飲酒は禁止されていますからね!聖地巡礼だとか、とにかく変なマネはしないようにww
(最後にこんなテロップが出たのが笑えた。聖地巡礼だとかは書いてなかったが、勝手な憶測だが、これは『君の名』以降に追加されたのだと思う。そんなことないか笑)

最後まで読んでくれてありがとうございます。
また次の記事も読んでくれたら嬉しい(過去記事も)。それではまた明日!

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