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記憶

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思い出を綴ります。 若干の誇張はあるかもしれませんがホントの話です。
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記事一覧

情け

小学6年生の頃、友達3人と僕とで一緒に帰っていた。

帰り道に一匹の犬がいる。勝手にジョセフと呼んでいた。
本屋の隣の家にいるジョセフはとても大きく、そして臭い。
よだれを垂らしており、尻尾をメトロノームのように永遠に振り続け、毎日発情している狂犬だ。

友達の一人がじゃけんで負けたやつがジョセフにタッチしてこよう!と提案した。

僕は反対したのだが却下された。
この戦いは絶対に負けられない。男に

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タン塩の味

友人が以前、「年末に地元の友達と焼肉行ったらその中の一人が店員さんとライン交換したんだよね」と言っていた。

友人曰く、焼肉屋の店員さんは積極的でノリが良く連絡先を交換しやすいらしい。そしてなりより可愛い子が多いという。

その話を覚えていた僕は友人を焼肉屋に誘った。友人はきっとこの話を覚えていないだろうからただ単に僕が焼肉を食べたいだけだと思っているはずだ。

僕はなんとしても店員さんと連絡先を

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青春の夏

青春の夏

青春を歌った歌のPVは何故もこう、きまって学校のプールで男女がはしゃいでいるのだろうか。
夜の学校のプールで花火をしていたり、夏の昼間に制服でプールの掃除をしているのかと思えば水をかけあってはしゃいだり…。

そこで僕も思い返してみる。
キーワードは"夏" "プール" "青春"だ!
僕は夜中の学校に侵入する度胸も勇気もなかった。ましてはそれ一緒に行う友達もいなかった。よって夜の花火はしていない。

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ヤックルとの思い出

高校生の頃、原付バイクで通学していた。

16歳で原付免許を取り、それからほぼ毎日バイクに乗って学校に行った。

僕は当時、ジブリ作品に熱中しており、自分のバイクに"ヤックル"と名付けて話しかけていた。

朝行くときには「ヤックル!」と行ってまたがり、「押し通ーる!邪魔するなぁ〜」と言いながらスロットルをフルに回していた。

アシタカのようになりたかったのだ。

ヤックルとの思い出はたくさんある。

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赤い月

とても大きな月を見た。

思わず"えぇ〜"と声を出してしまった。

まるで自分の体にある、大きなホクロを見つけたときのような。

あまりの大きさに圧倒された。
車を運転していたのだが、ついつい赤信号で止まってしまった。

そしてその月はほんのりと赤みがかっていた。

僕には赤い月を怖がっていた時期がある。
それはクレヨンしんちゃんの「ネネちゃんのウサギがしゃべったゾ」(2003年12月6日放送)を

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夕日に誓った約束

高校を卒業し、東京で生活を初めてからの初めての帰省の日、高校の頃、仲の良かった友人Oと遊んだ。

当時、Oは浪人しており外で遊ぶのが久しぶりだとハイテンションだった。

浪人生活は囚人のようで毎日、部屋にこもって勉強をしているそうだ。

人と話す機会もあまりなくとても辛いと嘆いていた。

一年で何日間しかない自由時間を僕と過ごしてくれていることに感謝しながら僕らはデートをした。(男同士)

Oはと

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メンタル

ちょうど3年前のこの季節、僕は大学で授業を受けていた。

この授業はきのこの特性、種類などを学ぶというニッチな授業なのだがこれがなんとも人気の講義でいつも大勢の生徒が受けていた。

この日もおそよ500〜600人ほどが授業を受けていた。
もちろん授業は大学で一番大きな教室で行われるのだが、そこは講堂でコンサートが行えそうな造りになっている。

僕はその講堂の後方に座っていたのだが、ある生徒が一番後

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BB弾

小さい頃から落ちているものをよく拾ってくる子供だった。

道に落ちているものチェーンの切れたキーホルダー。色の剥げたフィギュア。
今でも、実家にシークワーサーのキーホルダーと妖怪人間ベムのフィギュアがある。
これらは僕が拾ってきたものだ。

そして何でも拾う僕が幼稚園の頃から小学校低学年にかけて熱中したのがBB弾集めだ。

BB弾とはエアガンの弾で米粒ほどのプラスチックで出来たものだ。

基本的に

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まーごっこ

僕が幼稚園の頃、初めて父親に教えてもらった遊びがある。
"まーごっこ"というものだ。

"まーごっこ"とは歩道を歩いている人や、自転車に乗っている人に対して車の中から
"まー"!と叫ぶというものだ。
そして、歩行者や自転車に乗っている人の反応をサイドミラー越しに見るというなんとも品のない遊びである。

僕はこの"まー"ごっこが好きでよく父親と一緒にやっていた。

"まー"ごっこにはいくつか注意する

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ワカメ事件

社会人になりお米を炊くようになった。
大学生の頃から一人暮らしをしていたのだがお米はあまり炊かなかった。

一度、10キロのお米を頂いたことがある。
そのお米をずっと放置しており、米袋を開けたとたん、小さな虫たちが大量に湧き出した。
無数の虫たちがぼわあああと煙のように群れを成し飛び出してきた。

「うわあああああ」とたまて箱を開けた浦島太郎にも勝るリアクションで尻もちをついた。

あんなに思いっ

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隣の席の彼女

飛行機や新幹線に乗って隣の席が空いていると僕はいつも期待してしまう。 

もしかしたら、可愛い女の子が乗ってきて

「あっ、どうも」

と最初はぎこちない感じで、

「帰省ですか?」

なんて話して、仲良くなっちゃうんじゃないかとか、つく頃には僕の肩に寄りかかって寝ちゃうんじゃないかとかいろいろ妄想してしまう。

まぁ、実際おっさんが乗ってきて隣で缶ビール空けて、僕の肘掛け奪われるのが常だが‥

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友人S

日本に実家が燃えたという経験がある人はどれくらいいるのだろうか…。

友人Sはその中の一人だ。

彼は大学生の頃に実家が燃えたらしい。

そして、焼けた家の前で一人正座をしたそうだ。

そんな彼は少し変わったところがいくつかある。

食事に行った際には人が頼んだものを必ず欲しがるし、人の服を勝手に着ることなんて当たり前だ。

そして、その人の服にうんこを漏らしたこともある。

もう、この時点でだい

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ゴジラせん滅作戦

びっくりするほど深い眠りにつく人がいる。

海の底、水深2500メートルの深い眠りにつく男を僕は知っている。友人のYだ。

Yが一度眠りにつくと、もう何をしても起きない。

あれは大学2年の夏、北朝鮮がミサイルを発射したというニュースが話題になっている日だった。

僕は明日、朝イチで帰省しなければいけなかった為、早めに眠りについた。

「ピンポーン。ピンポーン。」

僕の眠りは小学校低学年用のプー

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日記

19歳から日記を書き続けている。
日記は読み返してみると面白い。

例えば、試験の結果が不安と書いてあると結果を知ってから見るとこの時はドキドキしていたよなぁ〜と懐かしく思える。

特に面白いのが失恋をしたあとの日記だ。
僕の場合、長々と未練たらしく書いてある。
内容もかなり痛い。
実際、今になってはなぜあんなにも落ち込んでいたのかと不思議になるほどだ。
振られた直後の日記は意外とさっぱりしている

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