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ガラスの墓標

手ぶらの0時。 覚えたはずの、死にたい夜の超え方。 行き先も告げず、彼女は旅に出てしまった。 そっちは今ごろ日の出だろうか。 私はまた置いていかれた。 希望の朝を迎えるには、 決定的に何かが足りなかったようだ。 飲もうとした麦茶、そっと溢す。 途方に暮れて、夜に身を投げ出してみる。 東京。 それはそれで懐かしい心地よさを感じた。 ああ、元来私がいるべき場所はこちらなのだ。 もう夏ではない夜風が教えてくれる。 最後に見えた景色。 逆さに吊るされた新宿の街並みは、 さながら

    • チャイナアドバイス

      愛を。 その時間×深さで表せるとして。 私はその定理の不成立を証明できます。 だって、 永遠は、燃える刹那に勝てないでしょう。 永遠に。 ほんの少しだけ、 占い師の言う通りの未来になっていて 何とも言えない気持ちの朝、二度寝の冬。

      • 放浪フリーク

        「やけ酒もその人のことを思って 飲んでいるのだから、 想い人のために使っているお金だよ」 今日もいい言葉をもらいました。 娑婆には神様はいないけれど、 人と偶然が私を救い続けます。 小さな愛を積み重ねて、 そして忘れないように。 みんな強く生きようね。

        • おやすみ

          雪でした。 もう雪が降ったって喜びやしないわ、 だって大人だもの、 と斜に構えた文章を書きたかったのだけれど、 お昼過ぎにコンビニに行くとき、 玄関の淵に積もった雪を見て、さわって、 やっぱりウキウキしてしまいました、 わたしはこどもをつづけている。 でも、きっとみんな 大人になんかなっていなくて、 その証拠にインスタグラムの ストーリーズはまっしろけ。 東京の、あっちの雪景色、そっちの雪だるま。 はしゃぐ猫、鳴くネコ、 こたつで丸くなってたまるかという気概。 よく寝る

        ガラスの墓標

          年が明けました。 みなさんいかがお過ごしでしょうか。 冬籠っていた方も、遊び尽くした方も、 元気に2022に入れていたら何よりです。 お餅を食べるときはくれぐれも気をつけてね。 私は新年早々、些細なことで 上がったり下がったりを繰り返しております。 風が吹いたら飛ばされそうで、 今年も気が狂うほど人間です。 肉体が腐るまではやめられそうにありません。 それでもひと頃に比べたら、 波への対処が格段に上手になって、 「なんちゃってサーファー」くらいには 乗りこなせるようになり

          Scarlet A

          年の瀬も瀬にくると、何に時間を割くべきか、 まるでわからなくなります。 なので私は、過ぎていく年に思いを馳せて、 お風呂に浮かんでみるなどしています。 今日も天井は暗いです。 いったい一年でどれだけ風呂に 浸かっているのでしょう、この人間。 来年は恨めしい末端冷え性が 少しでも改善することを願うばかりです。 今年を「激動」という言葉で表すのは、 いささか安直でしょうか。 あるいは凡庸でしょうか。 できればその中間あたりで、 「仕合わせ」であったと言いたいのですが。 一、

          Scarlet A

          ウィノナライダー アンドロイド

          恋は消費財。 使ったら使った分だけなくなって、 あとは痩せ細っていくばかり。 恋の消費罪。 はじまりは無責任なドラマチック。 行く先なんて考えず、今を貪り命を繋ぐ。 恋をどうしたい? 休符(まだ答えはない) 恋を殺したい。 始まりがなければ終わりもない。 恋は木枯らしに乗って家出してしまった。 だから私は、好きな歌を食べて、今日の命を繋ぐ。

          ウィノナライダー アンドロイド

          フリージア

          夢を見た。猫と心がいる夢だ。 ねえ、心、もう少し、私の言うこと聞いても良いと思うんだけど 猫は言った。心は意固地になって、石のようにだんまりを決め込んでいる。 ねえ、ねえっえば 猫は心を揺すってみた。心は相も変わらず、ぴくりともしない。 はあーっ 猫はため息を吐いた。つもりだったが、そのため息はどういうわけか心から吐かれていった。 しくしく 猫は涙を流してみた。やはりその涙は心から流れ出た。 にゃー 猫は笑ってみた。しかし心は、泣いたままだった。 にゃは

          フリージア

          ノスタルジイと病熱

          数年ぶりに熱を出した。 そうか、熱が出るとはこういう感覚だったなと、 久しぶりの苦痛を噛み締めながらベッドに沈んでみる。体の節々が痛み、やはりこれは思い出さなくて良い事象であったと、投げやりな気持ちを舌打ちに変えて、ぐっと飲み込んだ。夜はまだ長い。 発熱の感覚を懐かしいと感じるほど、 私は、私の人生を忘れていく。 辛かったことも嬉しかったことも、 毎日当たり前に通っていた帰り道でさえ、 離れれば風化し、当時の感覚は何処かへ置き去りになってしまう。 しかしそれは悲しいことで

          ノスタルジイと病熱

          mer

          私たちは毎日、死を食べる。 死はあるときは加工され、あるときは晒され、 またあるときには廃棄される。 ほんのひと月前の死の記憶すら無くした私たちは それでも今日の死に想いを馳せる。 私の死にたいは、たくさんの死の上に成り立っている。それはつまり、同化願望だ。誰かが私を食べることで、私はようやく死を選ぶことができる。逆を言うと、誰にも咀嚼されず、消化もされない人間にとって、本当の死は一生祈り続けても訪れない。 だから私は、死なない。毎日毎日、どれだけ死を想っていても、決して

          海と花束

          すべての繋がりはいずれ薄まってゼロになる、その恐怖と戦っている。考えれば考えるほど、夏の青のように記憶が薄まっていって、今ではもう味も思い出せないくらいになってしまった。 もし私が死んだとき、それでも消えない何かがあるとしたら、それはきっと青色をしている。私の中には海があるからだ。木枯らししか抱きしめてくれる相手が居なくなっても、海はそれでも青を湛えているからだ。私が死んでも、きっと海は形を変えて残り続ける。だから、1人で逝くことは本当は怖くも何ともないのだ。 休符=かなし

          海と花束

          プレアデス

          急に心が動かなくなった。ほんとは急じゃないの。私、知ってるよ。心が体を引き摺っている所為で、当然のように体は動かず、鉛のように腕が背中が足が重く、ああ何もしたくない死にたい死にたい死にたい。雨の音、桜の散る音、あれ今って何月だっけ。そんなの8月に決まってるじゃないか。なんだ、もうすぐ誕生日か。プレアデスが耳元で囁く。大丈夫、いつでも死んでいいんだよ。 いやでも死にたいわけじゃないんだよ。耳を胸のところに持っていってあげてね、ちゃんとこう、心音というのかしら、心の声を聞いてあ

          プレアデス

          天国の住所

          あのとき電話を切らなかったら、 あの子は死ななかったかもしれない。 悲しみとも後悔とも違う何かが湧き上がる。 この感情に名前はない。 だけど本当は、知らないだけ。 知りたくもないから、見ていないだけ。 それでも約束は果たしたい。 だからこうして手紙を認めている。 でも天国の住所を、私は知らない。

          天国の住所

          ハナヒカリ

          「星が綺麗だね」 藍色に濁る空に心を許していたら、ふと隣から話しかけられた。いつも聞いている声なのに、世界に初めて落ちてきた朝の雫のように、芯を持って鼓膜の奥に落ちていく。この感情に名前が無いのが世界の良いところだ。  両の目をぎゅっと絞って空を覗いてみる。視界には依然として藍色の闇が広がっていた。 「私にはどれだけ目を凝らしても何も見えないわ。あなたには星が見えるの」 少し訝しんで尋ねると、あなたはその間合いさえ包み込むように穏やかな呼吸をひとつした。 「うん、よく輝い

          ハナヒカリ

          おみせやさん

          ちいさいときに、おみせやさんという遊びをよくやっていた。①自分で折り紙をきってお札を作り、母に持たせる。②謎の商品(粘土とか)を店頭(という名の畳の上)に並べる。③定期的に母がお店にくる。④キャッシャーのおもちゃがあったので、それを使ってお会計をする。以後②〜④の繰り返し。という遊び。 なぜ突然思い出したかというと、書類を探しているときにそのとき作ったお札が出てきたから。わりとしっかりめのポーチに入れられて保管されており、商品状態も良好。日銀という概念のない世界なので、黄緑

          おみせやさん

          can't stop ウォーアイニー

          世の中はいろんな切り分け方が出来てしまうけれど、それでも人は人を愛することをやめられないぜ〜 という気持ち。マシンガンのように愛を撃ちまくろう。当たっても誰も傷つかない弾丸が、世の中をハッピーに変えていくのだ。 愛のある世界を、あなたと、あなたと、それからあなたと。 we can't stop ウォーアイニー。 再見!

          can't stop ウォーアイニー