市川いちこ

Smell quietly

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最近の記事

「Weny Dacillo~process~」偏見レビューprat6

一時期、インターネットでは変な注目のされ方をしていた彼(下らない注目のされ方で正直気持ちのいいそれではなかったのですが、結局それをきっかけに私も彼を知ることになるので、複雑というかいかんとも) それからしばらく時間も経っているので、今一度彼の曲の最高さを冷静に理解できるでしょう 浮遊感があり夜があうロマンチックなビートに耳に残るウェニーのラップ この耳に残るラップってのが大切で、私はラップのうまいへたなんてのは分からないですが独特なフロウは代えのきかない個性ですね、ときおり

    • 「S.L.A.C.K.~Hot Cake~」偏見レビューpart5

      学生時分の私と言えば、他の人より固有名詞を知っているのが偉いと思っていたのです(今もあんまり変わってないかもだけど) こんかかっこいい曲がある、あんなカルトな画家がいる、この映画を知っているか、とんでもない漫画を見つけたぞなどなど HIPHOPミュージックは元ネタをたくさん忍ばせている音楽、という一面があります まるで曲から、この元ネタ分かる?このリリックって誰の言葉に影響されてるか分かる?なんて話しかけられる錯覚は多々あるのです(少し盛り気味に) さてPSGという曲を出し

      • 「DA PUMP~GET ON THE DANCE FLOOR~」偏見レビューpart4

        DA PUMPっていまだに前線で活躍していてすごいと思うのです 私がこんな小さかった頃から、もしもー君じゃーなかったらーと歌っていたので(いつかのM-1で女性コンビがこの曲をネタに取り入れてましたね) 私の知るDA PUMPは四人組で音楽番組でも軽快にトークをしていて、そして……m.c.A•Tがプロデューサーであるということです 本名富樫明夫、MCネームはm.c.A.T 私が当時好きだったRIP SLYMEのDJ FUMIYAがボンバヘッ!(Bomb A Head!)という

        • 「BUMP OF CHICKEN~アルエ~」偏見レビューpart3

          父親の葬儀の喪主は兄が務めた 慣れない喪主にあたふたしている兄を私は物珍しそうにほくそ笑んでいた 火葬場の喫煙所で兄と二人きりになる 煙草を忘れた兄は私に 「一本くれ」とばつが悪そうに言った 私が無言で差し出すと「変な煙草だな」とそのまま私から火も受け取った 火葬場のこのわずかなやりとりを除いては兄と20年近く口をきいていない 大袈裟ではなく実際にそうなのだ 何故そんな風になったかはまた別の機会に話すとして、私は兄に憧れていた 幼少期から唐揚げにマヨネーズをかけて白米をばく

        「Weny Dacillo~process~」偏見レビューprat6

          「藤井隆~私の青い空~」偏見レビューpart2

          20年ほど前にMatthew's Best Hit TV(マシューズベストヒットティービー)という番組があった 藤井隆扮するマシュー南が司会を進行する音楽バラエティーだ あの時間帯のテレビ朝日は面白くて、内村プロデュースやくりぃむナントカ、銭形金太郎にぷっすま、アメトーーク、ぷらちなロンドンブーツ、ちゃんネプなど今ではトップランナーといえる芸人達の帯番組が毎日放送されていた 藤井隆は狂気的だ 品が良く言葉遣いも丁寧に振る舞うが一度スイッチが入れば股間の辺りに両手を広げ「身体

          「藤井隆~私の青い空~」偏見レビューpart2

          「泉まくら~愛浴びる~」 偏見レビューpart1

          初めて泉まくらを知ったのは『棄てるなどして』という曲だった 私はビートメイカーのEvisbeatsが大好きで彼のトラックをYouTubeで漁っていたときに出会ったのが先述の曲である 相対性理論等が流行りDAOKOを筆頭にウィスパーボイスのボーカルが流行っていたような気がする中、泉まくらの『棄てるなどして』は陽気なリズムで失恋による自暴自棄な女の子の断捨離をウィスパーボイスで歌っていた(ように私は感じた)(ちなみにこの曲は海外ではミーム的にバズった過去がある) 泉まくらのリリ

          「泉まくら~愛浴びる~」 偏見レビューpart1

          やなことあったらこれを聞け

          カバンがあまり好きでない、というより持っていない。めんどくさがり屋だから手ぶらが好き。だからいつもポケットがパンパンで少しみっともない私。でも本はいつも持ち歩いていたい。文庫本程度ならこれまたみっともないけどポケットに収まる。問題は中型、大型本。ハードカバーだったりしたり。手に持って歩くには違和感、私がそういうの似合う、それこそ文学少女だったり学者だったりすれば馴染むのだしょうけれど、そうではないので、解決案を求む。とことで、本のカバー自体がまるでひとつのバッグ、ある種のアイ

          やなことあったらこれを聞け

          フリージア

          よそ見をしながら歩けるほどにこの道は毎日通る。ちょうど正午。僕はどこか外で昼ごはんを食べようと出かけていた。あいにくの雨だが、話が出来ることの喜びはそれを障害としなかった。目に映るのは、中古車屋、レンタカー屋、マンション・ビル。雨は景色をそれほど変えることなくただただ鬱陶しいだけだった。 「だからね、本当に腹が立つんだよ。そうやって下心で人口の少ない文化にすがる若者が。もっと純粋なきもちを持ってほしいね」 雨は道路に叩き落され、勢いを残したまま僕のズボンにシミを作る。相合傘を

          Shooting Star

           他人の書いた日記が楽しいことはそうない。書いた人物に興味を持っているか、あるいは内容が波乱に満ちているかしない限りは飽き飽きとしたものだろう。それは自分が容易に追体験できることばかりが記述されているからである。「朝に目覚め、近くのファーストフード店で朝食を取り、その後近所の図書館で昼まで過ごすと、コンビニエンスストアで買った弁当を公園で食べた」 そのような内容は日記としては正しいが読み物としては堪えることは容易に分かるだろう。問題は容易に追体験出来るということだ。代わり映え

          手漕ぎボート

           中世ヨーロッパのバロック期の芸術の特徴として「物語性の強調」が挙げられます。例えば、バッハの「フーゴ」なんてのがそれですね、聞いたことないけど、けーねが言ってた。音楽にも物語性を強調することができます。合唱コンクールなんてえのは、展開のある曲が多かったですよね、覚えてないけど、けーねが言ってた。森のくまさんみたく歌詞が物語になっているのではなくて、曲の展開が物語的なんですかね。  だとしたら話がズレてしまうんですが、物語性を強調した音楽として東方プロジェクトの二次創作って

          手漕ぎボート

          Trigger Ice

           大学で哲学を専攻している割にあまり哲学が話題に出ないこのnoteですが、当然ながら講義で死について色々考える機会を与えられています。まあ、それにあまり関連した話題ではないのですが、ネットの都市伝説的な話で「100年カレンダー」というのがあります。その名の通り、100年分のカレンダーなのですが、これを実際に頑張って(100年先のカレンダーを作るのって大変なんですよ。曜日やら閏やら色々計算するんだから)販売していたそうですが、一年経たない内に販売中止になったそうで。その理由が自

          カラフル

           寒さも引き、春の息吹がそこかしこで感じることのできるようになった時期、我が学部恒例の文学ディベートがやってきた。もちろん文学部に所属している私にも参加の義務があり、私は研究室の端の方に腰を下ろしては時計の長針を眺めては指をいじって時間を持て余していた。  「それでは開始します」幹事長の言葉をきっかけにミーティングは始まった。春休みの間に与えられたテーマについて予習をし、今回のディベートに挑んでいる他生徒。スラスラと意見は交わされる。  今回のテーマは「戦前文学と戦後文学の比

          奴のシャツ

          その喫茶店がお洒落かどうかはゆで卵の具合で分かる。固ければお洒落、半熟ならお洒落というわけでなく、ゆで卵の具合にこだわりがあればお洒落なのだ。僕のよく行く喫茶店は白身をかじり黄身が顔を出すと外見はしっかりと茹でられていて黄身の中心部はほんのりととろみを残す、確かな食感にマイルドな口当たりが後追いしてくる深みのある味、そういった具合で店主のゆで卵に関するこだわりが感じられた。この喫茶店はお洒落な喫茶店といって良い。店主にその旨を伝えると「あ?そのゆで卵は市販のものだよ」と。問題

          悪玉

           トゥルーマン・ショーをまた見終わりました。素晴らしいですね。よく漫画のキャラクターがコマ枠に触れる描写がありますがあれってとてつもなく暴力的だと思うんです。暴力的という言葉では足りないくらいに破壊力を帯びた衝撃度があると思うのです。あれを現実でやるとしたら我々は何を掴めばいいのか。枠に足をかける彼らはそこから何を見たのか。それは想像を絶する衝撃です。いつも僕も漫画の枠に足をかけたいと思っていました。トゥルーマン・ショーをそれをしてくれました。映像という漫画に似た架空世界です

          千年紀末に降る雪は

           人間には癖というものがありまして、なんでこんな癖が自分にあるのかなんて考えながらもすこし愛着を持っちゃたりね。よく物を捨てたり空っぽにしたりするのですが、当時は飽きっぽいだけだと思っていました。やはり過去の偉人はすごいもので、それにもしっかり理由があったのです。それがずばり禅宗に通ずる考えです。枯山水に代表するいわゆる「寂び」の精神。そこにないことで、何かを感じるのです。  気まぐれで10万近くはたいてオーディオ買ったのですが、その素晴らしい音響環境に身を悶えさせていた頃ふ

          千年紀末に降る雪は

          Red light,Blue light. Yellow light

           ことばは目に焼き付く。それでは足りない。偶然性が足りない。言葉を耳に残す。それで足りる。言葉を口から発する。複雑なインクのシミは信用ならない。言葉に出来ない音に力がある。あなたは言葉を目にする。そこで終わる。それが足りない。あなたは言葉を目にする。それを話す。音にする。何かが変わる。言葉があなたの所有物になる。ことばを力を持っている。言葉の力は音で発揮する。文字言葉に満足するな。あなたは一人だ。もしあなたが純粋なら、そして純粋なのに私の文章を読んでしまったのなら、ぜひ「けつ

          Red light,Blue light. Yellow light