見出し画像

風は唸り、私は怒る

風が唸りをあげている。
老朽化した網戸が不定期にガタガタと音を立てる。
ちょっと換気をしただけで花粉が舞い込んできそうで、空気清浄機のモードを「自動」から「花粉」にする。

明日もさらなる強風の予報が出ているので、「出勤」の予定を「在宅」に変更した。
きっと電車が遅れるし、混雑に拍車がかかると思われる。
派遣になってからは正社員と違って「no work no pay」なので、電車の遅延は考慮されない。
家でやったほうがずっと効率がいいし、収入も増える。

日経平均株価が最高値を記録したらしいが、持たぬ者には端から縁がない。
政府は何かにつけて「賃上げ」を叫んでは、国民の増収を前提に施策を進めようとしているが、増収が見込めない者にとっては単に負担増でしかない。
バブル時代は、個人的には恩恵はなかったが、世間の「好景気」は感じることができた。
しかし、いまは、「え?どこが好景気なの?」と思う。

GDPはドイツに抜かれたという。
驚かない。
だよねー、と思う。
安い地代と人件費を求めて中国やアジアに工場進出していたのは遠い昔の話で、熊本県の無人駅が台湾の半導体企業の工場進出でラッシュになっているというニュースも聞こえてきた。
次は宮城県らしい。
地元の活性化という意味ではいいのかもしれないが、「日本は工業立国」と刷り込まれて育ってきた私は、手放しで喜ぶ気になれない。

国会中継を見ていたら、テレビの「緊急地震速報」のあの不気味な音が鳴ったので縮み上がった。
広島県と愛媛県で震度4ということで、建物が倒壊するほどではなかったのでホッとした。
地震があると、つい「原発は大丈夫か」と考えてしまうが、こちらはたとえ大丈夫でなくても、とりあえず大丈夫だと報じられそうで、また別の恐怖がある。

国民に対して説明責任を果たすべきと承知していながら政倫審を非公開というのはなんなのか。
政府間では「募っているけど募集はしていない」系のわけのわからない理屈がいまもまかり通っているようだ。
個人的には、証人喚問にしてきちんと中継してほしいと思っている。

長く税務をやってきた中には、不正経理をしていた勤務先もあった。
二重帳簿を付けていて私にも加担しろと言ってきたので、派遣元に「正直に」告げ口して、契約を解除してもらったこともある。
その会社はのちに倒産している。

実家はかつて、納税よりも下請けやパートさんへの支払いを優先して、家財を差し押さえられた。
母の念願だったマイホームは、競売にかけられた。
税務署からの張り紙は淡々と地味だが、それゆえに冷酷で奇妙な威圧感を持っていた。
伯母がくれたガラスケース入りの日本人形にまで貼ってあったのがすごく印象的。

納めたくても納められないほどお金がなくて、死ぬことまで考える人がいる一方で、パーティー券で儲けたお金を隠したり、もしかして脱税している政治家がいるかもしれないことはゆるしがたい。
きちんと納税してきたみんな、もっと怒っていいんだよ。

昨日は、美容院。
この店主は嫌い、と前に書いた。
このアカウントになって最初にアップした記事だ。

しかし、昨日はさすがに、不正ゆるすまじというところで共鳴した。
確定申告の時期だからというのもあったと思われる。
かつては政治と宗教とプロ野球の話はタブーと言われたが、私は昔からそこの一致(不一致も含めて)確かめたいタイプだ。

「お客さんと普通はここまで話さない」と店主は笑っていたが、それは私への誉め言葉と解釈。
たぶん、これからも通うと思う。


読んでいただきありがとうございますm(__)m