サイボーグヌマタ

SMA所属のピン芸人。昔の事や、思った事や、ネタのカケラ等。

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最近の記事

素振りの奴

夜、いつも銭湯に行く。 家に風呂が無い訳ではないが、銭湯がとにかく好きで最低でも週一回は通っている。 湯から上がって心地よい気分で帰路につく。途中、閑静な住宅地を抜ける。 その時によく見かける人物がいる。 高校生くらいだろうか。一軒家の自宅の前でバットを持って素振りをしている青年だ。 特に珍しい光景ではない。 そして俺はそういう人を見るといつも「ああ、あれが頭に当たったら死ぬな〜」と思う。 こんなに気持ちいい時に、なんでいきなり赤の他人に、一回死ぬ事を考えさせられなきゃいけな

    • 【ショートコント100】21→30

      21.記憶喪失 病室に若い男女が二人きり。

 「お見舞い来てくれて、ありがとうございました。こんな花まで、わざわざすいません。
え、敬語使ってるの変な感じしますか?でも本当に覚えてないから…
 そっか、君と僕は、付き合ってたんだね。
彼氏が記憶喪失なんてショックだよね、ごめん。
よかったら、また来て。その時には何か思い出してるかも。…ありがとう。じゃあね。」

 彼女、退室。
 
「うわああああああ!!!彼女めちゃめちゃ可愛いー!!!ラッキィイイイイイイ!!!さいこぉ

      • 【ショートコント100】11→20

        11.ランドセル 共働きの兄夫婦に頼まれて、何故俺が…と思いながらイトーヨーカドーに甥っ子のランドセルを買いに行った。すると甥が赤が良い!と言い出したから「これは女の色だよ」って言いかけたけど、考え直して「赤持ってるのは女の子が多いよ。いつかそれを茶化される時が来るかもしれないけど、それでもいいくらい赤が好き?」と訊いたら「うん!」と首がもげそうなくらい頷いてたから、赤のランドセルを買ってあげた。
 レジで会計してる時「お兄ちゃんありがとう!」と言われて、少し照れ臭くなった

        • 【ショートコント100】1→10

          1.死に際 バキューン!! ビルの屋上に銃声が鳴り響いた。 血の噴き出す腹を抑え、一人の刑事が仰向けに倒れている。 「ちくしょう…やられちまった…俺もあと数分の命か……いつ死んでもいいと思ってこの仕事やってきたが、今思い返すと、やってみたい事、まだまだあったなあ…くそ…」 刑事はよろよろと立ち上がり、命からがら階段を降りていく。 10分後、原宿の竹下通りにて。 クリスマスツリー用の電飾を身体に巻き付けてタピオカミルクティーを飲みスケボーで走る男が現れた。 「人生サイコ

          意味ない

          皆さん、色んな物と触れ合って生きてると、これ意味ないなーとか思う事ありませんか? なのでこの度は、僕が色んな物を見ていって、意味があるかないか、独断と偏見で仕分けていこうと思います。 それではいきましょう、まず一つ目。 信号ですね。これはめちゃめちゃ意味ありますね。これが無いと危ないし事故とか起きちゃいますからね。これは意味ありました。 横断歩道の押しボタンですね。これも全然意味ありますね。 まぁたまに俺押してから二、三分待ってんだけど、死んでんじゃねえのこれ?みたいな奴

          誕生花

          誕生花というもんがあると知った。 365日全ての日にちに「この日に生まれた人の花」というのが設定されているそうだ。しかも一日につき一つの花じゃなく、二つ三つあるらしい。 じゃあ俺の誕生花なんなんだろうって、さっそく調べてみた。 俺の誕生日、6月20日の誕生花は以下の三つ。 なんか全部“縦の花”なのめっちゃ嫌じゃないですか!? どれも病気みたいでキモいし。サンスベリアも性病の名前みたい。🤮 こいつらマジで居なくていい。絶対ノアの方舟に乗れない花たち。 こいつは無理だら。 と

          わー!最高!地球がひっくり返っても!♯3

          卒業式では泣けませんでした。別に冷めた奴だった訳ではないし、なんなら俺はどうぶつの森のどうぶつ達が優し過ぎて泣いた事があるくらい涙脆い。 それでも涙しなかったのはやっぱり、思い出して込み上げて来るほど真剣に打ち込んだ事がなかったからでしょう。 式が終わり体育館を出たところで行進していた列が徐々に崩れる。そこで初めて周りの皆が泣いているのを認識した。 野球部の部長のなんとか君も。 テニス部だった生徒会長も。 不良の命令で授業中ずっと机の上に立っていたN君も。 女子更衣室からヘ

          わー!最高!地球がひっくり返っても!♯3

          わー!最高!地球がひっくり返っても!#2

          小学校の卒業文集は、五回書き直しさせられて、結局載せてもらえなかった。 最高の思い出で一杯ではないのに「さいこうのおもいででいっぱいです!」と書くのは卑怯な気がして、嫌だった事も良かった事も全部平等に書いた。「良かった事だけでいいんだよ」という言葉と共に作文は何度も手元へ帰って来たが、その都度、人間関係の鬱陶しさを感じたエピソードを一つ一つ追加して再提出していった。 その頃の俺は今以上に天邪鬼で頑固でイタくて歪んでいて、世の中を上手く渡っていく術を何一つ持ち合わせていなかっ

          わー!最高!地球がひっくり返っても!#2

          わー!最高!地球がひっくり返っても!#1

          1998年。タイタニックがアカデミー賞を受賞した年、X JAPANの hideが亡くなった翌月、東京のある下町に一人の男の子が生まれた。 彼の母親は子育ての傍ら夫に内緒でマルチ商法に勤しんでいました。効くのかよく判らない健康食品を母曰く「ギリ捕まらない鼠講」で売り捌く毎日です。 その健康食品、「エコー」と呼ばれるカプセルや、「バイオ- 〇〇」「ジョイント〇〇」(全部書くとヤバそうなので伏せます)という錠剤を彼も日々飲まされて育ちます。 名前にバイオって入ってるもん普通子供に

          わー!最高!地球がひっくり返っても!#1

          町中華・オブ・ザ・デッド

          「ラーメンひとつ!」 次の日。 「ラーメンひとつ!」 次の週。 「ラーメンひとつ!」 次の月。 「ラーメンひとつ!」 次の年。 「ラーメンひとつ!」 「また!ラーメンなんですね!!!」 初めて先輩に対して声を荒げた。 常連客がぎょっとした目で、伝票を持った私を見る。お父さんも勢いよく振っていた中華鍋をぴたりと止めた。 ずっとずっと憧れていた先輩だった。一年前の私からしたら先輩が私の家に来ているなんて奇跡でしかなかった。 ● あれは高校一年の夏、サッカー部の藤川先輩が格好

          町中華・オブ・ザ・デッド

          繋がれない二人

          ど!どど!ど!どエロい夢を見た。前もって言っておくと、俺は日頃から睡眠が浅く毎晩欠かさず夢を見る体質なのだ。人にこの事を話すと「なにそれ楽しそう!」みたいなボケナスな返しをしてくるが、俺はこの夢のせいで目が覚めてからもどうも睡眠を取った気がしない。悪夢であったり、単調で退屈な夢もざらにある。俺にとって大概は迷惑なものだ。 しかしそんな中、稀に神様からサプライズプレゼントを貰える事がある。それがエロい夢。お金も払わずえっちな擬似体験ができるご褒美イベントだ。 俺はエロい夢を見る

          コント『プロポーズ』

          ネタ帳グランプリにエントリーさせて頂きます。 以下台本 喫茶店 テーブル席に座っている男女。 女 珈琲美味しかったね。 男 うん… 女 もう出る? 男 …もう少し居ようよ。 女 珍しい、いつもすぐ出るのに。 男 …あのさ、そろそろ結婚しようか。 女 …そんな事思ってないくせに。 男 え? 女 まだ毎日お墓参り行ってるの知ってる。前の人忘れられないんでしょ? 男 見られてたか。 女 大体売れないバンドマンのあなたが結婚なんて、お金はどうするの?いつも格好付けてデート代出し

          コント『プロポーズ』