見出し画像

【くらしの東洋医学 鍼灸で元気に】「スイカ」で夏を乗り切ろう!?

千葉市内、千葉駅すぐ、女性と子ども専門鍼灸院『鍼灸 あやかざり』です。いつも【くらしの東洋医学 鍼灸で元気に】の記事をお読みいただき、ありがとうございます。

今年は梅雨の時期から真夏のような日差しで、梅雨が明けて夏本番と言われも今さら・・・という感じですね。
連日、命に関わる危険な暑さという報道が続いていますので、頭の中は常に暑さ対策のことばかりという方も多く、実際に、筆者の鍼灸院を訪れる患者さまからもそんな話をよく聞きます。
直射日光を避け、日中の外出もできるだけ控え、水分は十分に摂って、などは基本的な暑さ対策ですが、時には美味しく楽しい暑さ対策はいかがでしょうか?

今回は「スイカ」に関する様々なヒミツ、東洋医学的な効能などをご紹介していきます。

実は、「スイカ」は捨てるところのない、エコな食べ物なんです!!
『4.「スイカ」の簡単レシピ』では「スイカ」の皮の活用方法もとりあげます。

では、最後までどうぞお楽しみください!!


1.「スイカ」の由来

スイカの花

「スイカ」は、本来は野菜に分類されるということをご存知でしょうか?

「スイカ」は、果実を食用にするために栽培される、ウリ科のつる性一年草で、その栽培方法や特性から野菜に分類されています。
ただスーパーなどでも果物の売り場で見かけるように、青果市場での取り扱いや栄養学的な分類では果実に分類されています。

「スイカ」の原産地はアフリカ中部の砂漠地帯です。
紀元前4000年代頃の古代エジプトですでに栽培されていたようで、ツタンカーメンの墳墓等から種が発見されています。
また、遺跡の壁画にも当時の栽培種特有の楕円形をしたスイカが描かれているそうです。
夏のくだものとして一般的な「スイカ」が、こんなに大昔から存在していたことはあまり知られていませんね。

その後、地中海を通じてヨーロッパ南部に伝わりますが、シルクロードを通って中国に伝わったのはそれからずいぶん後で11世紀頃のこととされています。
「スイカ」は漢字で「西瓜」と書きますが、これはもともと中国で付けられた名前で、中国よりも西方の地域から伝わったことに由来します。

日本への伝来には諸説あり、14世紀に隠元禅師がスイカの種を中国から持ち込んだ、あるいは、16世紀にかぼちゃとともにポルトガル人が伝えた、という説が知られています。
また、平安時代の絵巻物『鳥獣戯画』では、ウサギが持っている果物の中に縞皮の「スイカ」らしいものが見られるそうで、もしこれが本当に「スイカ」だとしたら、かなり古くから日本に伝わっていたことになります。

江戸時代になると広く知れ渡り、身近な果物として親しまれていたようで、数々の浮世絵の中にも「スイカ」が描かれています。
有名な葛飾北斎は『西瓜図』という作品で半切りの「スイカ」を描いていますし、歌川国貞は『十二月ノ内 水無月 土用干』という作品の中で四角くカットされた「スイカ」が大皿に盛られている様子を描いています。
このほかにも、スイカが描かれている浮世絵はいろいろあるようですので、興味をお持ちになられたら、ぜひ調べてみてください。

2.栄養学としての効能

「スイカ」の90%は水分で、残りの10%が果糖やブドウ糖などの甘み成分やアミノ酸、色素成分、ミネラル、ビタミンです。

「スイカ」に含まれるシトルリンはアミノ酸の一種で、含有量は微量でも活性が高いと言われています。
尿素の合成を促進して利尿作用を発揮します。
また、カリウムも多く含まれており、尿と一緒に余分なナトリウムを排除するため、血圧の降下や動脈硬化の予防に有効と考えられています。
暑さで体力を消耗し、水分を過剰摂取することで起こりがちな、夏バテにも効果があるとされている。

果肉に含まれる赤い色素は、抗酸化作用を持つβ-カロテンやリコピンで、抗老化、抗がん作用も期待されています。

【カリウム】
体内の余分な水分・塩分を排出する働きがあるので、むくみを予防したり改善する効果があります。

【β-カロテン】
からだの中でビタミンAに変化します。
ビタミンAは目や皮膚の粘膜を健康に保つ働きがあるので、からだの抵抗力を強め、疲労や視力の回復に役立ちます。
また、強い抗酸化作用を持ち、動脈硬化や老化を防ぎます。

3.東洋医学的な効能

生薬としては、皮「西瓜皮」がよく知られており、中国では料理にも使われることがあります。また、日本では食べることのない種子も中国ではスナック感覚で食されており、種子の皮は「西瓜子殻」という生薬でもあります。
ここでは、実、皮、種、それぞれの東洋医学的な効能をご紹介します。

3-1.実の効能

東洋医学的には、「スイカ」の実は以下のような属性と効能をもちます。
【性質と味】 寒・甘
【関連する臓腑経絡】 心・胃・膀胱経
①清熱解暑(せいねつげしょ)
暑気でからだにこもった熱を冷ます効果をもち、暑さや熱によって乾いた咽を潤します。
②清熱利湿(せいねつりしつ)
身体の余分な熱を冷ますとともに、体内に溜まった湿(身体にたまった余分な水分)を取り除きます。
利尿によりからだのむくみを抑えます。
③除煩止渇(じょはんしかつ)
イライラやのどの渇きを改善します

3-2.皮(西瓜皮)の効能

【性質と味】 甘・涼
【関連する臓腑経絡】 心・胃・膀胱経
①清熱(せいねつ)
身体の内部の熱を冷まします。
②解渇(かいかつ)
からだの渇きを解消します。

3-3.種(西瓜子)の効能

【性質と味】 甘・平
【関連する臓腑経絡】 肺・大腸経
①清肺化痰(せいはいかたん)
慢性的な咳や痰を鎮めます。
②和中潤腸(わちゅうじゅんちょう)
胃腸の働きを整えて、便秘の改善に効果を発揮します。

「スイカ」は寒性で気を降ろす働きがあります。
そのため、気の上った「肝陽亢盛」の体質の方にはとても向いています。
その一方で、胃腸を冷やしやすい作用ももつため、胃腸の弱い「気血両虚」体質の方やご高齢の方は控えめにした方がよいです。
冷やしすぎは胃腸に負担をかけますので、食べる前に冷蔵庫から出し、しばらく置いておくと、からだにやさしく美味しくいただくことができます。

4.「スイカ」の簡単レシピ

「スイカ」は捨てるところがない食べ物で、皮は昔から「西瓜翠衣」という漢方薬として利用されています。
とはいえ、現代では、皮を食べることはほとんどありませんよね。
そこで、今回は皮を美味しく食べられる簡単レシピをいくつかご紹介します。

【「スイカ」の皮の浅漬け】
①皮から赤い果肉をそぎ落とします。外側にあたる緑色の堅い皮もそぎ落としておきます。
②長さ3~4cm、厚さ3~5mm程度の短冊切りにします。
③ビニール袋に入れ、干し唐辛子1本を半分に折ったものと適量の塩を加えて揉みこみます。
④冷蔵庫で一晩置けば、できあがりです。

【「スイカ」の皮の炒め物】
①皮から赤い果肉をそぎ落とします。外側にあたる緑色の堅い皮もそぎ落として、食べやすい大きさに切ります。
②トマトをざく切りに、玉ネギはくし切りにしておきます。
③スイカの皮とトマト、玉ねぎをあわせて炒めます。
④中火にしてふたをしてしばらく煮込んだら、塩、こしょう、砂糖で味を調えます。

【「スイカ」の皮のデザート】
①皮から赤い果肉をそぎ落とします。外側にあたる緑色の堅い皮もそぎ落として、短冊切りにしておきます。
②切った皮を保存容器に入れ、ハチミツとレモン汁を加えて混ぜます。
③密閉して冷蔵庫で一晩置けば、できあがりです。

皮を調理するために外した実は、昔の人が考え出した知恵薬『スイカ糖』
にしておくと、旬を過ぎた時期にもスイカを摂ってその効果を得ることができますよ。

【スイカ糖】
①スイカ1個分のしぼり汁を鍋に入れて、弱火にかけて煮詰めます。
②焦げないようにかき混ぜながら、水あめ状になるまで煮詰めます。
③密閉容器に入れて冷蔵庫に保存します。
④大さじ1杯を適量のお湯に溶かして飲みます。

5.千葉と「スイカ」

千葉県は「スイカ」の生産量が全国で第2位です。
最も多く生産しているのは、千葉市から1時間ほど、千葉県の北部にある富里市ですが、千葉市内でも若葉区や緑区を中心に栽培されています。
若葉区の大広町で栽培された「スイカ」は、その昔、天皇陛下に献上されたこともあるそうです。
また、緑区には「平山西瓜」というブランドもあります。
ただし、残念ながら、千葉県産の「スイカ」は6月が旬であるため、既に今の時期は終盤にかかっているため、なかなか手に入らないかもしれません。
ここで、時期遅かった、残念だーと思った方へ。

もちろん、他県産のスイカを食べるのもいいですが、せっかくなので千葉県産の「スイカ」を食べたいと思われた方には、こちらのスイカがおすすめです。

それはなんと、すいかそっくりに仕上げた『すいかバウム』!!です。

千葉県の匝瑳市を中心に千葉県東部に6店舗を展開している「お菓子のたいよう」さんが製造しています。
こちらのお店は、千葉県の厳選素材で作ったオリジナル和洋菓子を販売しているお店ですが、『すいかバウム』通販でかなり有名です。
まるまるスイカひと玉。皮の色や縞模様はもちろん、中身の種までそっくりにこだわって作られています。
見た目はびっくりですが、千葉県産の米粉を使って丁寧に作られた美味しいバウムクーヘンです。
スイカ好きの方へのプレゼントや、ちょっとしたサプライズの贈り物にいかがでしょうか。
ちなみに、『すいかバウム』は通販が中心のようですので、千葉から遠い地域にお住いの方も、興味をお持ちになられたらぜひお試しくださいね。

いかがでしたでしょうか?
『「スイカ」で夏を乗り切ろう!?』はお楽しみいただけましたでしょうか?

このように、身の回りにあるいろいろなものを東洋医学的にみていくと、鍼灸のほかにも、身近なところに自然治癒力を高めるヒントがたくさんあることに気づかされますね。

食養生、毎日の食事こそがわたしたちの身体をつくるもととなっています。それでは、鍼灸でからだも心も元気になりましょう!

鍼灸 あやかざり
千葉駅5分 完全予約制 女性と子ども専門の鍼灸治療院
千葉県 千葉市中央区新町1−6 ラポール千葉新町202
TEL:070-8525-6132

画像の出典:https://www.photo-ac.com/

参考文献:『食材効能大事典』、『東方栄養新書』、『オールガイド食品成分表』、『日本の知恵ぐすりを暮らしに』ほか
参考資料:千葉市ホームページ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?