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【書評】『斧』ドナルド・E.ウェストレイク

この作家初めて読んだ。すげぇよ。おもしろい! だけじゃなくて、失業中に読むと笑えない。かなり前に買ってたんだけど、上原隆さんの本の中に感想が書いてあって 気になったから僕も読んでみたのだ。これが大当たり!

以下、未読の方はネタバレ注意です!









紙会社をクビになった男がいて
2年も失業してるわけ。収入はないし、
貯金もそこを尽きるし、息子と娘は
まだ学校在学中で金かかるし、
妻は妻で、主人公の夫がなにやら自分の殻に
とじこもって生きていて、何考えてるかわからず、
さみしくなって浮気してるし、
でもって、「もうカウンセラーにいかなきゃ
本当にダメになる!」なんて言い始めてるしで
とにかく大変なわけ。

彼は、一刻も早く作戦を遂行せねばと決意する。
(以下、ネタばれになりますのでご注意を)

まず、
架空の会社の名義をつくり、架空の求人情報をのせる。
私書箱に届けられた履歴書の山の中から
自分と同じか、それより上の
制止会社関連のキャリアを持ち、
働けるエリアが重なってしまう人間を選び、殺す。

つまり、近くのライバルがみんな死ねば、
おのずと自分の職が決まるはずだと考えたわけ。

送られてきた書類をみると、
6人、いや7人殺せば達成か。

おっとろしいことに、この主人公は
狂ったように自分を正当化し、
運に恵まれながら、この連続殺人を成功させてしまう。

まんまと職を手に入れ、ブラックなハッピーエンド。
それも印象深いけど、ミソは、
一人一人どうやって殺すか、とか
警察にバレそうでみつからないディテールとか、
そのハラハラ感。
ドキドキしっぱなしで心臓に悪い(汗

仲良くなりかけたライバルを
ひき殺すときの苦痛たるや。
たまりまへん。脱帽です!

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読書感想文

水もしたたる真っ白い豆腐がひどく焦った様子で煙草屋の角を曲がっていくのが見えた。醤油か猫にでも追いかけられているのだろう。今日はいい日になりそうだ。 ありがとうございます。貴方のサポートでなけなしの脳が新たな世界を紡いでくれることでしょう。恩に着ます。より刺激的な日々を貴方に。