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【どうする家康】「駿府に雪は降らない」と言い張る残念な人たち。綿密な時代考証の末に信玄を出したらホラーだった件。第11回「信玄との密約」深掘り

NHK大河ドラマ『どうする家康』(以下、『どう康』)第11回の深掘り感想です。
(※本記事は一部有料です。ドラマレビュー箇所はすべて無料でご覧いただけます)
前回の感想はこちら↓

(※以下、ネタバレ注意)
(※本記事のセリフの引用箇所は一部ノベライズに準拠しており、ドラマのセリフとは異なる場合がございます)

戦国時代の駿府に雪は降ったか?なぜ瀬名と田鶴は足袋を履いていなかったか?

目に見えるものが真実とは限らない。
あなたが史実と思っているのは本当に史実なのか。
視聴率が落ちれば視聴者数も同率で落ちたと言えるのか。
戦国時代の駿府に雪は降ったのか。
コンフィデンスマンの世界へようこそ。

……って、冒頭から某ドラマのコピペで恐縮ですが。フザけてないよ、わりと大真面目やで。

今回は瀬名と田鶴の子供時代の思い出シーンとして、雪の積もる駿府が描かれていましたね。僕も静岡に住んでいたことがあり、ドラマを見て「うそっ、昔の駿府ってこんなに雪積もってたんだ⁉」と驚きましたよ。

ただ、それもネットで調べてみたらすぐ出てくる。

今から463年前の12月17日、駿府のまちには一面の雪景色が広がっていました。
なぜ、そんなことがわかるかというと、ある人物が毎日つけていた日記にそう書かれているからです。
その人物は、公家の山科言継(やましなときつぐ)。
山科言継の養母が駿府に身を寄せており、その縁で彼は駿府を訪れました。
この山科言継は50年に渡って日記を書き続けたのですが、
その中に駿府で過ごした半年あまりの日々のことも書かれています。
雪が積もったその日の日記には、
「雪が一日中降った。七寸ほど積もった。こんな大雪は50年以上降っていないそうだ」と書かれています。
七寸というと約21㎝です。雪が積もるなんて静岡ではとても珍しいことですが、
当時の人たちもとても驚いたようです。昔から駿府は今と同じで温暖だったんですね。

駿府のまちに雪が降る!?(2019.03.20)│歴史文化のまち静岡さきがけミュージアム

2,019年から463年前と言えば、1,556年。『どう康』第11回で描かれた家康の徳川改名は永禄9年(1,566)のことだそうなので、まさにその10年前が雪の積もった年として、史実に基づいて描かれていたのがわかります。

ただまぁ、これを知らないで「駿府に雪は降らない」とTwitterで騒ぐ方もチラホラいらっしゃったようですけど。むしろ「そう言ってくださる方を待ってましたぁ!」的な感じで、NHK静岡放送局さんも補足ツイートしていましたね。

僕なんか18時のBSPでの番組放送中に調べて「駿府って、雪降ったんだ」と参照サイトのリンク付きでツイートしてたんですけど。これって逆に「つまんねーやつだなぁ(byチコちゃん)」って感じですよね……恐縮です💦

また、「雪が降っているのに、瀬名や田鶴が裸足のまま草履を履いているのが寒そうだった、足袋(たび)は履かなかったのか?」という意見もあったようですが、この時代は人前で足袋を履くのも無礼な行為だったとか。

足袋を闇雲に履いていいわけではなく、人前で足袋を履くのは失礼という考え方がありました。武士は『足袋御免』といって、主君の許可を得てはじめて着用が許されました。

足袋を人前で履くのは失礼?足袋の歴史をさかのぼると意外な事実がみえてきました│Japaaan

こういったことも時代考証がしっかりされた上での表現かと思うと、今回の物語もなかなかマニアックに楽しめたのではないでしょうか。

信玄と家康は出会っていたのか。歴史の“余白”で描かれたホラー展開に戦々恐々

そして時代考証と言えば、「前半部でもっとも時間を割いた」と平山優先生がおっしゃっていた、家康と信玄の会合シーン。

ここも「史実としてありえない」とはSNSで言われていました。少なくとも、そんな記録は見つかっていない。「じゃあ、フィクションでもいいけど、なるべくリアリティを持たせるためにどうやって描こう」というアプローチから今回の展開が出てきたと思うなら……もうこれはホラーですよねw

信玄が会うと言うから、家康も少ない手勢(とは言っても、数正、左衛門尉、平八郎、小平太のほか、数名の三河武士が外に控えていました)で信濃と三河の国境あたりの山寺で待ち構えたものの。小平太の連絡では、山県昌景と穴山信君の2人しか来ないという知らせが……これで殿、「わしは出ぬ!左衛門尉、数正、あとは任せた」なんて、若い衆2人を連れて外に出ちゃうんですけど。

平べったい岩みたいなのに3人腰かけて「猫のような貧相な小男なのかも」なんて信玄の陰口を叩いていると、霧の中からぬっと巨大な影が……。

温かい茶も用意してくれるし団子まで。オマケに「奥方様へ」なんて言って手土産の栗まで用意してくれる。信玄、案外良いやつ……じゃないよねww

温かい茶は敵を油断させる手段。「日が傾くと一気に冷え込みますでな」なんて言いながら茶を持った坊主が近づいてきたら、殿じゃなくても誰だって「こちらのご住職か?」なんて気持ちになるでしょう。

次に団子。これは「今川領……駿河と遠江。駿河から我らが、遠江からそなたが、互いに切り取り次第。……で、いかがか」なんて言われて出されてましたから、察しのよい方は「団子を領土に見立てているんだな」と気づいたでしょう。

家康自身も、気づけたのかどうか。気づいたとしても頭上を天狗みたいな連中(忍び)に囲まれていては、「おずおず」とした感じで一口しかかじれないものだろうと思います。残りはぜんぶ信玄が食らっていましたけど。間接キッス……とか言うてる場合か、怖すぎやて。

ちなみにこの団子のところ、ノベライズでは地面に「丸のような形を描き、真ん中に線を引いて二分した」と表現されていました。これがドラマ向けに脚本がブラッシュアップされ、団子に変わったんですね。もはや「二分」でもないしさ。イヤすぎるけど、すさまじいアプデです。

最後に「奥方様へ」と栗の手土産。これも、この場に家康たちがやってきたときには、周囲の栗は拾われてしまった後でした。「瀬名が好きじゃからなあ、持って帰ってやりたいがのう」と殿は言っていましたけど……つまり、そのセリフを聞く前からすでに、「瀬名は栗が好き」という情報を信玄は把握していたということです。

なんで?どうやってよ?って思うじゃないですか……これが第10回の、築山での瀬名のセリフですよ。「ここは誰もが気軽に立ち寄れる場所じゃ」と!つまり、築山になら信玄の間者(忍び)だって入り放題。行商人のフリでもして入り浸り、やがて「奥方さま、好物は?」なんて聞き出すのも楽勝です。フラグ回収早かった!

ってことは……さらに言ってしまえば、「お前の出方次第で、奥方の命も簡単に奪えるぞ」という脅しにもなる。SNSでは「ヤ〇ザさんの手口じゃねーか」とツイートされている方もいらっしゃいましたけど、まさにそう!信玄、こえーーーー!

信長からは「一歩も退くなよ。今川領はおぬしが取るんじゃ。信玄に渡すな」と言われていました。家康自身も「わしは信玄に会って、そのことをびしっと言うてやろうと思っておる!」なんて瀬名へ向かって勇ましく言っていましたね。それが叶えられなかったわけですけど……もはや「殿がヘタレだから」とか関係ないよ、相手が悪すぎだよwwww

信長、上洛へ。家康とも鷹狩りできなくなり、何だか寂しそう……?

さて、最後に信長くんの動きですけど、「上洛する」とか言っていましたね。一応、大河初心者の方もいらっしゃると思うので言葉の説明をしておくと、「上洛」とは、当時の都である京都に向かうことを指します。

その目的については、木下藤吉郎が「義昭様を新たな将軍にし、天下に静謐をもたらす!」と語っていました。これも前回言ってた「どえりゃーこと」の伏線回収です。思っていたより、わりとアッサリした描き方でしたね。少なくとも『麒麟がくる』に比べたら。

ただ、室町幕府の将軍の後ろ盾になるわけですから、やっぱりすげぇことはすげぇことなんです。今までは地方を束ねる武将同士でセコセコと同盟を組んでいたのが、まさか日本のトップの武将と組めるわけですから。

まぁ、つってもこれからは、その将軍を支えるためにもあんなことやこんなこともしなくちゃなりません。それは『麒麟がくる』でも『レジェンド&バタフライ』でも描かれていたけど、今後のお楽しみということで言及は控えておきますね(また⁉)。

少なくともこの時点で、信長くんも「こうしておぬしと気ままに鷹狩をするのも、もうままならぬかもしれぬな……」なんてつぶやくように言っていました。めっちゃ寂しそうやんけ。ついにデレたよこの子。

まぁ、家康はあんま気づいてないようでしたけど……「いや、こっちは最初から気ままじゃなかったんですけど⁉」みたいに、気まずそうにしてましたな。なかなかこの2人も気持ちが通じ合わないものです。

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