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【論文読了】マイクロストレスの正体と対処法

DIAMONDハーバード・ビジネス・レビューの2023年8月号の特集はマイクロストレスでした。

聞きなれない言葉ですが、コロナ禍でストレスに苦しんだ人は多いだろうことを考えると、今に合ったテーマなのだと思います。

それでは順に振り返ってみましょう。


マイクロストレス その正体と対処法

一般的なストレスと比べると小さくて、日常のちょっとしたことで発生するストレスをマイクロストレスと呼ぶそうです。例えば仕事で遅れているチームメイトを手伝う、終業間際に急ぎの仕事を頼まれるです。

これで怒る人もいるかもしれませんが、大抵の人は面倒だけどしょうがないなぁで済ませていると思います。この怒るほどじゃないけど面倒だけどしょうがない程度のストレスが積み重なると、ウェルビーイングを大きく下げるとのことです。

この小さなストレスの恐ろしい点は、本人が気付かないうちに爆発寸前になっていることです。本人からしたら大きなストレス(例えば親しい人との別れや、大きな病気・事故、大きな損失など)は経験していないのにストレス漬けなのです。

本来、脳は強敵や災害への対処としてストレスを感じます。しかしマイクロストレスは体にストレスと同じ影響をもたらすのに、脳は脅威として認識していないのだそうです。

おそらく人類が文明社会になって発生するようになったのがマイクロストレスだからでしょう。それ以前は強敵や災害のような生死にかかわる大きなストレスが中心だったでしょうから。

またストレスにより食後2時間以内のエネルギー消費量が104kcal減るそうです。ストレスが増えるとやけ食いするだけでなく、エネルギー消費量まで減ってしまうのです。これが毎日続けば年間約5kg太るそうです。

じゃぁマイクロストレスにどう対処するのかというと、サードプレイスが有効だなと感じました。仕事と関係ない人と交流を持つのがいいそうです。そうすれば大変なのは自分だけじゃないと気付けるからだそうです。

スポーツや趣味、ボランティアなどでコミュニティに所属することは意外と侮れなそうだなと、サードプレイスの価値をこんなところで知りました。

逆に勉強や仕事一筋で生きてきた人はバーンアウト(燃え尽き)に弱いそうです。

マネジャーはマイクロストレスをどう管理するか

マイクロストレスが積み重なると、気付かないうちにストレス漬けになってしまいます。ストレス漬けになると、パニックやバーンアウト(燃え尽き)にもつながりかねませんし、ウェルビーイングを大きく損ねてしまいます。

この論文では3人のケースを紹介しています。仕事に追われているうちにマイクロストレスが積み重なってしまいます。

1人目のケースでは、問題の原因と解決、チームメイトの協力を得ることが紹介されています。

2人目のケースではチームメイトとのコミュニケーションのやり方を変えたことが紹介されています。

3人目のケースではリストラ後に部下の信頼を得るために匿名で質問を上げさせたことが紹介されています。

マイクロストレスが溜まった状態に気付くことが難しいですが、上手く行かないときはやり方を大きく変えてみるのも手ですね。この論文を読んだ後なら、ストレスが原因でないか考えてみることも選択肢として持ちたいですね。

思考の罠から抜け出し、不安を手なずける方法

成功した人でも不安にさいなまれている人が沢山いるです。私のような成功とは無縁の底辺の落ちこぼれには、不安はあまりないのですが、成功者には沢山あるでしょう。

芸能人の薬物や自殺などのニュースを見ると、世の中で最も成功した人たちと言えるのにそんな悲しいことをしてしまうのですから、不安による苦しみも沢山あるのでしょう。

本稿では思考の罠が11種類紹介されています。よくよく読んでみると、私にも当てはまるものがいくつかあると感じました。

  • 全か無か思考

  • レッテル貼り

  • 結論の飛躍

  • 破滅化

  • 心のフィルター

  • マイナス化思考

  • 「すべき」思考

  • 社会的比較

  • 個人化と他責思考

  • 反芻思考

  • 感情的決め付け

私の場合、レッテル貼りを他人からやられることが多いです。どうせお前は無能だとか、落ちこぼれのくせに、ろくでなしのくせにと、なぜか解らないくらいに決め付けられます。

結論の飛躍はやってしまうことがあります。深読みしすぎてしまう癖があるので。

心のフィルターも私にはありますね。完璧さを求めてしまう癖があるので、少しでもできていない点があると、全体としてダメだと考えてしまいがちです。

「すべき」思考はものすごく強いです。口癖で何事もすべきと言ってしまいます。社会的比較も子どもの頃から比較されて育ったためか癖になっています。

反芻思考もよくやってしまいます。不安や不満があると、繰り返し考えてしまいます。書き出してみることを意識しています。

思考の罠は誰しもありそうですね。1個でもあったらダメというわけではなく、ありがちなことなのでしょう。

対策も6種類挙げられています。

  • 不安を味方に付ける

  • セルフコンパッションを実践する

  • 滑稽さに気付く

  • 体を動かす

  • ガイド付き瞑想を試す

  • 単に「ノー」と言う

セルフコンパッションはできてないです。どうしても自分に厳しくして完璧さを求めてしまいます。及第点にしておかないと苦しいだけだと思うのですが。

世の中の人たちは自分に甘い人だらけだなぁと感じますが、私が完璧主義過ぎるだけなんですよね。加点方式で、一歩前進できれば頑張ったでいいみたいです。なんで100歩前進できないんだ!と自分を責めても苦しいだけです。

後は単に「ノー」と言うですかね。今日は止めだと言って切り替えて違うことを始めればいいのです。例えば私は創作意欲が湧かない、記事を執筆する気にならないとき、頭の中がグルグル回って集中できないなら、キッパリ諦めるようにしています。

エンプロイーヘルス・マネジメント:従業員の心身の健康を保ち、組織の生産性を高める

今や企業にとってメンタルヘルスは重要な問題になりました。本稿でも従業員のメンタルヘルスを改善すれば、従業員満足度が上がり、生産性向上や人材獲得、さらにはESG投資の呼び込みができると書かれています。

私が所属する会社もそうですが、ストレスチェックのようなテストをやっている会社はあると思います。しかしテスト結果だけでなく要因の把握までやろうと本稿は説いています。

職場のソフト面での環境すなわち社風や福利厚生など働きやすい環境が、従業員のメンタルヘルスに与える影響は大きいでしょう。

高性能なパソコンや広いデスク、最新の機械を扱えても、怒号が飛び交うような職場で休みも全く取れず残業続きだったら、働きやすいでしょうか?ストレスもきっと多いでしょう。

本稿ではメンタルヘルスやウェルビーイングに問題を与えている要因に対して、4種類の介入方法が紹介されています。

  • プロセスとオペレーティングモデル

  • アウェアネス向上とコミュニティ構成

  • 人材とスキル

  • リソースとツール

これで観点が解りますね。プロセスとオペレーティングモデルは会社の仕組み・制度で、週休3日制とかリモートワーク可などです。

アウェアネス向上とコミュニティ構成はチームやイベント実施に関するものです。

人材とスキルは管理職や従業員に対するトレーニング、リソースとツールはアプリやカウンセリングの提供です。

まずはテスト結果を分析して要因を掴んでおきます。そして組織、チーム、個人のどこを改善するかによって取り組みを検討します。そのときに上記4つの観点があるわけですね。

これらはほぼ会社の総務部などが考えることですが、個人でも勉強することで人材とスキルの観点は対応可能です。チームや自分自身の働きやすさは、自分が勉強することで変えられますね。

他の3つの観点に関しては会社任せになってしまいますが。

人生はストレスに満ちているが、苦しみに向かう必要はない

ストレスの原因

仏教ではストレスは自分の問題のようです。例えば経済的・物質的に同じ状況に置かれている2人を考えます。

Aさんは貧しいと感じ、貧しいから苦しいと感じます。Bさんは十分だし幸せを感じるとします。

この話を読んで、どの水準で満足するかは人によって違うなと思いました。例えば年収1,000万円以上欲しいという人もいれば、年収500万円でも平均より上だから十分、プライベートが充実していれば十分という人もいるでしょう。

つまり自分自身が欲深いとかハードルが高いと苦しくなるのです。しかし悔しい想いをすればするほど高い理想を求めて補おうとしてしまいます。難しいですね。

リアクションとレスポンス

リアクションとレスポンスの話はシステム1思考とシステム2思考の話に似ていますね。

リアクションはその場のとっさの判断で反射的に行動することです。野生の世界で言えば、敵に出会ったら戦うか逃げるかという闘争・逃走反応に基づいたものです。

レスポンスは一時休止して選択肢を並べて選び、それに沿った行動をすることです。

リアクションを起こしてしまう前に一旦立ち止まります。そして考え、選択肢を洗い出し、行動を起こした方がいいわけですね。それがレスポンスです。

終わりに

今月号で感じたことをまとめてみます。私にとっては次の3つを意識した方がいいなと感じました。

  • 日々の小さなストレス(マイクロストレス)の積み重ねが大きくなると、気付かないうちにストレス漬けとなってしまう。

  • ストレスが溜まって悪循環に陥っているときは、いったん落ち着いて悪循環を断つ方法を考える。

  • ストレスが溜まると勢いで行動しがちだが、一旦立ち止まって考えてから行動するよう意識する。

もちろん人それぞれ意識した方がいいことは違うと思います。しかしストレスは生きていく上で避けて通れませんので、上手く付き合う必要があります。

よって今月号の内容を基に、人それぞれが自分にとって上手くできていない点について、ストレスとの付き合い方を見直していけばいいかと思います。

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