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昔々、腐女子がいました(課金部分は解説というか雑感です)
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隠れたい腐女子と隠れない腐女子と隠れたくない腐女子

 昔々あるところに、隠れたい腐女子と隠れない腐女子がいました。

 この話もうブログで書いたんですけど、腐女子が隠れる隠れないという話は何度してもしたりないということはない。そしてこのマガジンは腐女子の間で起こるあらゆるいざこざと軋轢について延々と書いていくのが目的の文章でありこの物語はフィクションですが事実に基づいており、そして繰り返しになりますが腐女子が隠れる隠れないという話はしてもしてもし足

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神とふぁぼ魔

 昔々、神がいました。

 神がいましたと言ってもそれは架空の非実在の(神が架空で非実在であるかどうかは宗教家から物言いが入りそうですがここではさておいてください)存在を示す神ではなく、単に絵がめっちゃうまい神でした。ただのインターネットミームです。

 神は、まだ神と呼ばれたことはなかった子供の頃から絵を描くのが好きでしたが、職業にすることを望むほどではありませんでした。神は毎日たくさんの絵を描

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斜陽ジャンル

 昔々、腐女子がいました。

 腐女子は二十年前からとある漫画ジャンルで創作活動を行っていました。腐女子はその作家をデビュー作や前の作品(十週打ち切り)から追っており、アンケートハガキやファンレターをこまめに送り続けてきました。そして腐女子は大手とは言わないまでもそれなりにファンがついて楽しく同人生活をエンジョイしていました。

 また、同じ作家を同じように追って同じ経緯で同じジャンルにいる、別の

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神の虐殺のためのプラン

 昔々、腐女子がいました。

 腐女子は闇の腐女子でした。

 闇の腐女子の定義は闇の腐女子の数だけありますが、ここでいう彼女はバッドエンドしか描かないタイプの創作者でした。闇の腐女子はバッドエンドをばかすかpixivに上げました。けっこうブクマもつきました。

 さて、闇の腐女子がいまいるカップリングは、莫大な規模をるカップリングでこそありませんでしたが、ひとりの神がいました。同人イベントでは絶

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二度死んだ嫁

 昔々、腐女子の嫁が死にました。

 ここでいう嫁とは娶りたいくらい好きなキャラクターという意味です。

 腐女子は二ヵ月泣き暮らし、ダイエットに成功しました。みんな「やせたね」と言うのを憚るほどでした。

 しかし腐女子は嫁の死を受け入れました。なぜならそれは結構良い死に方だったし、主人公も仲間もみんな嘆いてくれたし、仇も取ってくれたし、めちゃくちゃつらいなりに読み返したら良い話だったし、何より

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嫁の蘇生

 昔々、腐女子の嫁が死にました。

 ここでいう嫁とは娶りたいくらい好きなキャラクターという意味です。

 腐女子は二ヵ月泣き暮らし、ダイエットに成功しました。みんな「やせたね」と言うのを憚るほどでした。

 しかし腐女子は嫁の死を受け入れました。それはとてもとてもひどい死にざまで、あらゆる側面において受け入れ難く、何の愛も救済もなく、どうして死ななくてはならなかったのか、それすらわかりませんでし

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あのころチョコエッグがあった

 昔々、腐女子がいました。

 そのころ、腐女子のジャンルでは、チョコエッグが販売されていました。チョコエッグとは、卵の形をしたチョコの中にカプセルが入っており、カプセルの中に玩具、おおむね小さなフィギュアが入っているというもので、そのころとても流行っていた商品形態の食玩でした。

 腐女子は全種自引きのため、そして何より「卵を割る」というわくわくを買うために、ありとあらゆるスーパーマーケットで一

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総受厨になりたくなかった腐女子

 昔々、腐女子がいました。

 腐女子は受攻固定でした。キャラクターの1対1の組み合わせと立ち位置を絶対に変更しないという意味です。厳密な言い方をすれば攻受固定ということになります。

 腐女子は受攻固定であることこそが最も正しいと考え、それ以外の、攻をすすんで取り換えるいわゆる総受厨のことを忌み嫌っていました。それくらいなら逆カップリングの方が全然マシというか、むしろそれはありでした。その組み合

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固定過激派になりたくなかった腐女子

 昔々、腐女子がいました。

 腐女子は雑食でした。どんな萌えでもおいしい! と言って食べる姿勢で萌えていくという意味です。

 とはいえ腐女子もあらゆる全てに萌えるわけではありませんでした。もちろん腐女子には好きなキャラクターがおり、そのキャラクターのポテンシャルを引き出すためならどんな組み合わせでも厭わない、好き嫌いしません、何でも食べます、と思っていました。

 それは、腐女子が今まで、極め

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戦わなくても生きられる

 昔話ではないんですがマガジンにこの文章を入れておきたいと思ったので。

 わたしがここで「昔々、腐女子がいました」で始まる文章を書いているのはある種の「ごくあたりまえにここで分かち合われているペーソス」が「外部の人間から見てもごくあたりまえによくあるペーソスでしかない」ということを分かち合いたいという意図があり、いやそれ以外にもいろいろと意図はあるんですが、まあそのような意図はあります。

 「

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男の子とライオン

 昔々、男の子がいました。

 男の子は図書館で、大好きな本を抱えて首を振っています。なぜ首を振っているのかというと、おとうさんが、「ほかの本を読みなさい」と、ずっと言い聞かせているからです。

 おとうさんは言いました。「ほかの本を読みなさい」

 でも男の子は、ライオンだけ読みたかったのです。

 男の子はサバンナをかけるライオンだけを読みたくて、ほかの本は読みたくありませんでした。男の子はそ

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男の子なんて大嫌い

 昔々、女の子がいました。

 女の子は、おかあさんに連れてきてもらった図書館で、とても好きな本を見つけました。その本はたくさんのシリーズがありました。そうして、その本の中では、女の子と女の子が、固い絆で結ばれていました。

 女の子には、友達がいませんでした。そして、お話のなかに出てくる女の子にも、友達がいませんでした。そうして、女の子は親友と巡り合い、とても幸福な日々を送るのでした。それはとて

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絵を描く

 昔々、男の子がいました。

 男の子は、好きな女の子のパンツが見たくて、スカートをめくりました。とてもすてきにひらひらしていたから、めくってみたかっただけだったのです。

 そして男の子はとても怒られました。男の子は、それは悪いことなんだ、と思いました。そうして、それきり、それをやめました。

 でも、女の子のスカートはいつもとてもひらひらしていて、中にとてもきれいなものを隠しているように見えま

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おかあさんたち

 昔々、女の子がいました。

 女の子はずっと、不思議の国に住んでいました。

 その不思議の国では、男の子と女の子は、恋をして、結婚をして、子供を産むのです。そうやって女の子も生まれたのです。

 でも、女の子には、どうしても、それが本当のことだとは思えませんでした。

 女の子は、自分も、将来は男の子をひとり選んで、結婚して子供を産むなんて、全然考えられませんでした。女の子は、自分はおかしいの

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