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KOTODAMA PRESS

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記事一覧

マルケの食卓&ワインを復習してみた(1)

マルケの食卓&ワインを復習してみた(1)

昨年9/12〜9/20、イタリア中部、アドリア海側のマルケ州に食とワインの旅に出かけました。出張でもないのにワイナリーを5軒、観光らしき名所には一つも行かない食とワインの旅。どこかに書きたいなーと思っても、マルケ州というイタリア人でもなかなか行かないような州なので、企画を持ち込んでもまずはマニアックすぎると言われる。でもこういうところほど行ってみると面白いのです。仕事でイタリアに行くと、どうしても

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マルケの食卓&ワインを復習してみた(2)

マルケの食卓&ワインを復習してみた(2)

マルケの旅の続き。マルケ州は、イタリアのアドリア海側の州。思うのに、イタリアのアドリア海側と日本の日本海側のポジションって似ているような。行くのに不便で、行ってみると手つかずで、お宝がたくさん。テンションあがります。普通の観光地では満足できない人向け旅のデスティネーションでしょう。海路の時代は、大国との窓口で、文化度が高いことも共通しています。日本海と古代中国、アドリア海と古代ギリシャ。とか言って

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イタリアの秘境を行く #7 モリーゼ編 トランスマンツァ(大移動牧畜)伏線と回収

イタリアの秘境を行く #7 モリーゼ編 トランスマンツァ(大移動牧畜)伏線と回収


Il Molise non esiste.”モリーゼは存在しない”?アブルッツォの山を降りてモリーゼへ。1963年、イタリア20州の中で最後に独立したモリーゼは一番新しい州だ。元々アブルッツォ州の一部だったために、豊かな自然景観も食文化も似ている。何をもってモリーゼなのか?アイデンティティの所在のなさを、モリーゼの人たちは自虐的にこういう。”Il Molise non esiste."(モリーゼ

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イタリアの秘境を行く  #6 アブルッツォ編 いつかのチーズとの再会

イタリアの秘境を行く #6 アブルッツォ編 いつかのチーズとの再会


チーズおじさんと小さなトランスマンツァ行き先の手がかりのなかったアブルッツォで、突如思い出した顔があった。ピエモンテ州のブラで隔年で行われる「チーズ祭り」(イタリアだけでなく、世界中のチーズや生産者が集まる)で2004年に会った牧羊家でチーズ生産者のグレゴリオ・ロトロだ。今回改めて調べるまで名前も覚えていなかったのに、彼の大きな身体とお腹、ちょこんと被ったニット帽に強面、そして衝撃的に美味なチー

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イタリアの秘境を行く #5 アブルッツォ編 山に抱かれて

イタリアの秘境を行く #5 アブルッツォ編 山に抱かれて



山間の旅籠「GINO」気になっていた山の都市があった。スルモナ。アブルッツォ州ラクイラ県にあり、聖なる山-グランサッソとマイエラに近い。人口24,000人ほどで標高約400mの小都市だ。検索しても、ウィキペでもほぼ情報は出てこない。しかし雑誌「イタリア好き」のたった1枚の写真が、行くのに十分なインパクトだった。

スルモナでまず目指したのも「イタリア好き」で紹介されていたレストラン「GINO」

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イタリアの秘境を行く #4 アブルッツォ編 新星たちのワイナリー

イタリアの秘境を行く #4 アブルッツォ編 新星たちのワイナリー


トレッビアーノ・タブルッツォの歴史ある土地で/ティベリオ日本から出発する直前も直前に、インポーターのラシーヌさんを通じてコンタクトを取ってもらったのが、ワイナリー<TIBERIO>ティベリオだった。ラシーヌの代表、合田泰子さんの推薦で、女性醸造家というのも興味惹かれた。海辺の都市、ペスカーラから23マイル、アブルッツォの人々にとっての聖なる山、グランサッソとマイエラ山麓にあり、標高350mの丘陵

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イタリアの秘境を行く #3 アブルッツォ編 巨匠のワイン

イタリアの秘境を行く #3 アブルッツォ編 巨匠のワイン


エミディオ・ぺぺという伝説 。情報の少ないアブルッツォ州で、ワールドワイドに有名なのがトレッビアーノとモンテプルチアーノいう土着ブドウ品種のワインで名声を得たワイナリー、エミディオ・ぺぺ、ジャンニ・マッシャレッリ、ヴァレンティーニ。ワイン好きであれば一度は飲んでみたい銘柄であるのは間違いない。

数年前にマルケ州を訪れ、あともう少しで隣のアブルッツォという州境にいた。その時に、エミディオ・ぺぺは

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イタリアの秘境を行く#2 アブルッツォ編 念願のアロスティチーニ(羊の串焼き)

イタリアの秘境を行く#2 アブルッツォ編 念願のアロスティチーニ(羊の串焼き)


父の料理、アロスティチーニ。ドライバーをお願いしていたアレッシオの入院というアクシデントで、私たちは彼のファミリー一丸のサポートを受けることになった。彼らの家族が経営するファットリア・ディ・トゥッリオhttp://www.fattoriaditullio.it/では、自社の農産加工物の販売の他、女性陣による料理教室も行っており、妻のマニュエラとマンマから、私たちはキタッラというギターの弦のような

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イタリアの秘境を行く #1 アブルッツォ編 ロレート・アプルティーノ村

イタリアの秘境を行く #1 アブルッツォ編 ロレート・アプルティーノ村



秘境が秘境であるということどこかに旅に行く時、行きたい場所がいくつかあって、そこを基点に線を繋ぐように旅を組み立てることが多い。でも、今回は様子が違った。行こうと思ったのはコロナ禍の少し前で、漠然とアブルッツォに行ってみたいという気持ちが先にあったものの、具体的にここというのはなかったのだ。きっかけは、おそらく雑誌の記事でみた、トラスマンツァという家畜を大々的に大移動させる習慣がアブルッツォに

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イタリアワインのレジェンド「内藤和雄のイタリアワインの愛し方(仮)」出版プロジェクトのこと

イタリアワインのレジェンド「内藤和雄のイタリアワインの愛し方(仮)」出版プロジェクトのこと

久々の投稿です。

「早いもので、イタリアワインソムリエ内藤和雄さんの二周忌です。最後の取材から一週間後の訃報だったことなど、様々思い出します。当時担当していた連載はまだまだ途中でした。そして、内藤さんの語るワインの話を綴ってきた連載「これだけは知っておきたいイタリアの土着ブドウ品種」(78回/料理通信)をちゃんとまとめたいと思ってから時間が経ってしまいました。”全てのワインに居場所を作る”内藤ワ

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KITCHEN LABO @blue monkey room

KITCHEN LABO @blue monkey room

10月からスタートしたRgourmet(楽天×マガジンハウス)では、noteでサークルを作ったblue monkey roomの研究員たちとフードラボを行なっています。いくつかコンテンツがたまったのでこちらにも案内させていただきます。テキストコンテンテンツですが、いづれサークルメンバー向けのリアルワークショップをリピートできたらよいな。写真はストックフードの回より。

株式会社 KOTODAMA PRESS 会社概要

株式会社 KOTODAMA PRESS 会社概要

【会社名】株式会社 KOTODAMA PRESS

【創業年月日】2020年4月14日

【代表者】柴田 香織 (しばた かおり)

【資本金】2,000,000円

【理念】⒈ 食の役立つ情報と体験を届ける

食を人生の中心に生きる人を増やす

【業務内容】●食の事業に関わるコンサルティング、アドバイザリー業務

      ●食のメディア・情報発信に関するプランニング、編集、執筆

     

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こんな時期ですが、法人成りしました

こんな時期ですが、法人成りしました

こんな時期ですが、法人成りしました。法務局に登記したのは4月14日でしたが、コロナ禍のおかげで、いや、そのせいだけにしてはいけない。元来事務手続きが苦手な上に、世の事務スピードもスローダウンしており、登記してから諸々時間がかかりました。世の中どうなるかもわからないのに株式会社?合同会社?個人事業主でいい?など自問もしました。借り入れや投資を受けて大きな事業を起こそうという起業ではないので、これまで

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古代の衣・食・抗菌

古代の衣・食・抗菌

今から5年ほど前に聞いて、最近思い出すことになった話。

それは古代の衣料の染色のこと。古代染色研究家の紅師、故・前田雨城氏から口伝を受けたという草木染めの作家さんから聞いた話だ。記録にとっていなかっただろうかと調べたら、当時のメモを見つけた。その頃、衣食コラボみたいなことが盛んにいわれるようになって、ファッションが売れないから食に近寄ってきているような風潮がどうにも気持ち悪く、衣食の本質的な接点

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