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INTO THE FOOD

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『メトロミニッツ』で2016年5月にスタートした連載コラムを順次リライトしていきます。
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記事一覧

木桶は、ロマン。

木桶は、ロマン。

ーMETORO MIN. 『 INTO THE FOOD VOL.12 2017 再掲』ー

3月某日(※取材時2017年)、秋葉原駅の高架下にある「日本百貨店しょくひんかん」に、人の背をゆうに超す木桶が運び込まれた。運び込んだのは「木桶職人復活プロジェクト」のメンバーで、かつて日本の発酵食に欠かせなかった木の大桶製作復活のために集まった人々だ。発起人は、小豆島の老舗醤油蔵「ヤマロク醤油」代表の山

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海外から見た日本の "発酵"

海外から見た日本の "発酵"

ーMETRO MIN.『 INTO THE FOOD VOL.18』 DEC.2017 再掲ー

「人生で初めてぬか漬け作りをしたのは、デンマークのボーンホルム島でした」。今月オープンする(取材当時2017年11月)日本料理店「kabi」のヘッドシェフ、安田翔平さんは、2015年、新北欧料理を知るためにデンマークのレストラン「カドー」(ボーンホルム島)の厨房に入った。同店はミシュランガイドでは一

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江戸の食事情と東京の食

江戸の食事情と東京の食

<INTO THE FOOD VOL.32 メトロミニッツ FEB 2019の再掲>

総務省の2015年国勢調査によると、東京都の一般世帯数669万世帯における単独世帯(世帯人員が一人の世帯)の割合は、47.4%。高齢の単独世帯の増加、そして非婚化の影響も大きく、50%が単独世帯となる日はもうすぐだ。※国勢調査は5年毎の実施なので、すでに超えているかもしれません。

単独世帯が多かった江戸の街

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国産小麦の季節に

国産小麦の季節に

〜METRO MIN.『INTO THE FOOD VOL.05』2016.09 〜

なぜ国産小麦でパンを焼くのか「今までに感じたことのない小麦の香りを感じました」。国産小麦との出合いをそう語るのは、神奈川県伊勢原市の「ムール ア・ラ ムール」のパン職人で、製粉工場「ミルパワージャパン」製粉責任者の顔も持つ本杉正和さんだ。肩書きは「創麦師」。週3日は、粉職人として神奈川県産「湘南小麦」や、日本各

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優しい泡の可能性

優しい泡の可能性

2015年の夏、イタリアのフランチャコルタを訪れた。フランチャコルタとは地方名であり、フランチャコルタ 地方だけで醸造される瓶内二次発酵方式(下記注参照)のスパークリングワインの名称でもある。場所はミラノに近く、ワインはイタリアのモード界やスポーツチームの乾杯シーンではお馴染みの存在だ。2015年はミラノ国際博覧会(ミラノエクスポ)のオフィシャルスパークリングワインに選出され、イタリア国内だけ

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シウマイ弁当の教え

シウマイ弁当の教え

 1日の販売数は約24,000個。(※2018年取材時。現在は約25,000個)販売拠点は横浜市、神奈川県内、東京都内など関東ローカルながら、日本一売れていると言われる駅弁が崎陽軒の「シウマイ弁当」だ。一時期は全国展開を目指したこともあった。が、2008年の創業100周年に掲げた新たな経営理念は「崎陽軒は、ナショナルブランドを目指しません。真に優れたローカルブランドを目指します」だ。2012年から

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いい予約って何だろう

いい予約って何だろう

キャンセル問題は予約問題店の予約もキャンセルも簡単な時代だ。レストラン側の声を聞けば、直前、当日のドタキャンやノーショー(店に現れない)は、現在、頭の痛い問題になっている。予約というのは本来、来店前の重要なコミュニケーションの機会。初めての予約であれば、それはお客側、お店側、双方にとって初対面の挨拶のようなものだ。それが、ネットでいつでもどこでも簡単に予約できるようになって、双方のコミュニケーショ

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瀬戸内が美味しくなっている

瀬戸内が美味しくなっている

『メトロミニッツ』で2016年5月にスタートした連載コラムを順次リライトしていきます。

瀬戸内の風 2016年は瀬戸内国際芸術祭開催年。最近は、瀬戸内という括りのフェアや商品が増えているように思う。食もまた然りだ。瀬戸内と食の関係を見ていくのに、注目点は3つあると思う。

 1つは、”瀬戸内”というワード自体のイメージの向上だ。これは、2010年に瀬戸内国際芸術祭が始まったあたりから顕著になって

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