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本の部屋

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わたしの大好きな本だけを並べた部屋。 いつか壁一面の本棚みたいになる日を夢見てニマニマしています。 「ふーん、どれどれ」くらいのスタンスで気軽に立ち寄ってみてくださると嬉しいです… もっと読む
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記事一覧

言葉のひとひら『あなたのための短歌集』

少し疲れたとき、わたしには詩や短歌が効く。 心も体もいっぱいで、もうこれ以上何も入らない…

さち
11か月前
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センス・オブ・ワンダーを育む

早朝の公園。 誰もいない新鮮な空気の中を、 まだ小さかった娘と、よく一緒に歩いた。 草の上…

さち
1年前
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【読書】『じゃ、また世界のどこかで。』ー撮って 笑って 旅をしてー

笑顔、笑顔、笑顔。 「僕の写真でもっとたくさんの人を笑顔にして、幸せを贈りたい」。 『は…

さち
1年前
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【読書】『ティファニーで朝食を』トルーマン・カポーティ

このタイトルを耳にして多くの人がまず思い浮かべるのは、オードリー・ヘップバーンが主演した…

さち
1年前
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春樹さん、「壁」って一体なんですか。(システムとしての「強固な壁」と、意識の境界…

わたしは普段、小説を分析したり検証したりすることは、どちらかというとあまり好きじゃない。…

さち
1年前
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『街とその不確かな壁』ー村上春樹さん6年ぶりの長編小説

「きみがぼくにその街を教えてくれた。  その夏の夕方、ぼくらは甘い草の匂いを嗅ぎながら、…

さち
1年前
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【読書】極上のエンタメ『ウィンダミア卿夫人の扇』/オスカー・ワイルド

19世紀末英国文学の旗手、オスカー・ワイルド。 彼の戯曲はエンターテイメント性がものすごい。 難しいこと抜きで、とにかく観客(及び読者)を楽しませてくれる。 なかでも『サロメ』は世紀末文学の傑作と名高いし、『まじめが肝心』はその面白さで人気がある。 けれどわたしは、なんといっても『ウィンダミア卿夫人の扇』が大好き。 この、安い昼ドラのような筋書きで始まるストーリー。 なのに、この作品には圧倒的な品格と深みがある。 軽やかな春風のような会話劇でさらりと読者をさらい、突風

【読書】『人は何で生きるか』トルストイ

ロシアの文豪、トルストイ。 『戦争と平和』『アンナ・カレーニナ』などの大作で知られるけれ…

さち
1年前
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【読書】『お探し物は図書室まで』/明日が少し楽しみになる本

青山美智子さんの小説は、いつも優しい。 何気ない言葉で心の中にするりと入り込み、蓋をして…

さち
1年前
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【読書】『タコの心身問題ー頭足類から考える意識の起源』/村上春樹ライブラリーで出会っ…

早稲田大学構内にある、「村上春樹ライブラリー」。 そこに収められているのは、村上春樹作品…

さち
1年前
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【読書】『星の王子さま』が光を放つわけ

『星の王子さま』。 数えきれないほどの人がこの本について語ってきたけれど、決して語り尽く…

さち
1年前
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【読書】『カラー・パープル』/ピュリッツァー賞受賞作を読む

差別の色濃い時代と場所に、黒人女性として生きる。 それがどういうことなのかを、20代の頃読…

さち
1年前
14

【読書】『ミムスー宮廷道化師』/本物の賢さとは何か

「宮廷道化師」というものについて、この本で初めて知った。 なんて過酷な制度だろう。 この本…

さち
1年前
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『あかちゃんがわらうから』おーなり由子

赤ちゃんをありのまま写真に写しとることは、本当にむずかしい。 こぼれ落ちてしまうのです、あの独特の輝きが。 赤ちゃんを目の前にしたときに見たあふれるような輝きは、平面に写しとられたとたん、艶やかさを失う。 あれは、なんでなんだろう。 この絵本では、赤ちゃんはきわめてシンプルな線で描かれます。 にもかかわらず、写真よりもずっとリアルで、おもわずじぃっと見入ってしまう。 そうそう、これこれ、このおてて。 まあるいおしりに、このあんよ。 だっこされているときの、このかんじ。