【エッセイ】蛙鳴雀躁 No.20
ひと月ほど前から、腰痛に苦しむ福島県出身のご老公は、神戸在住の悪代官のババァの顔さえ見れば、黄門サマが印篭を見せつけるがごとく、「アンタのやかましい声が、骨に沁みる」と、悪代官の声に災いが宿っているかのように脅す。「アタタタ……」という悲痛な呻き声も忘れない。
しかし、スケさん、カクさんのいないご老公は、一人で三ノ宮の「安心クリニック」へ行き、痛み止めのブロック注射を打ってもらい、すこしラクになった言ったのも、つかのま、スーパーで重いものを持ち、ふたたび元の木阿弥に。安心