白木蓮の花びらが落ちる速度は、涙の落ちる速度に似ている
「#私のプレイリスト」に寄せて
暦の上では春ですが、まだまだ寒い日が続いていますね。
花粉に強風に春雨にと、少し難儀な季節でもありますが、日差しのぬくもりが感じられる日など、私は好きです。
さて、春と言えば桜を連想される方も多いのではないでしょうか。桜の開花はよく話題になりますし、桜の名所はこの時期に大変賑わいますね。
私の生まれ育った家の隣には小さな公園がありました。そこは子供の頃の私にとって、最も身近な遊び場でした。
その公園に桜の木はありませんが、白木蓮の木が植わっていました。開花は桜より少し早く、乳白色をした大ぶりの花が咲きます。
先日、用事が出来て近くまで行った際に、その公園まで足を延ばしてみました(私の生まれ育った家は借家だったのですが、壊されて別の家が建っていました)。
白木蓮の木は今もそこに立っていました。幹は太くなり、背も伸びていました。株元には数枚の花びらが散り落ちていましたが、まだ枝々の先には立派な花が幾つも咲いていました。
子供の頃は木や花などに全く興味も無く、無頓着でしたが、この木は私の成長を見守っていたんですよね。私が生まれてから大人になるまでの長い間、ずっと隣にいたのですから。
そんな感慨にふけっていると、普段は心の奥にしまってある記憶が、頭に浮かんできました。
戦中・戦後を耐え抜き、平成まで生きた祖父母。
自分がわがままを言って飼ってもらい、そして天国へと旅立っていったペットたち。
バイク事故で二十歳を前に、早々と逝ってしまった無二の親友。
彼らの顔を思い浮かべていたら自然と、ある曲が心に流れてきました。
スターダストレビューの
「木蘭の涙〜acoustic〜」でした。
この曲で歌われる木蘭は紅紫色の花が咲く木で、白木蓮とは仲間ですが、分類上は別物です。しかし開花時期がほぼ同じで、木も花も姿・格好がよく似ている為、私はいつも同一視してしまいます。
私はこの曲を聴くと、屋外でも人前でも関係なく涙が溢れ出て来るのですが、この日は気温が低かったせいか、住宅地の真ん中なのに人の姿もなく、公園でポツンと一人、涙に咽ぶおじさんは誰の目にも止まらずに済みました。
春は季節柄、「別れ」や「出会い」などを歌った名曲が沢山あります。皆さんにもそれぞれの、春の「私のプレイリスト」があるかと思います。
ご存知の方も、そうでない方も、よろしければこの春に「木蘭の涙〜acoustic〜」を聴いてみて下さい。
(コーラス付きのライヴver.で是非。YouTubeの公式チャンネルで、視聴回数4000万回超の動画がそれです)
これが私の、春のプレイリスト。
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