マガジンのカバー画像

街と私

28
運営しているクリエイター

記事一覧

中山からバスでも行きたい、のか?

中山からバスでも行きたい、のか?

野毛山に行くか、ズーラシアに行くか、迷っています。子どもを連れて、妊婦の私。

いままで夢見ヶ崎動物公園には行ったことがあるけれど、動物園は初めてです。本当は、アドベンチャーワールドに行きたかったの。10月を行こうと計画を立てていたけれど、第二子妊娠がわかり、妊婦は飛行機に乗らない方がいいし(特に初期)、案の定つわりも始まったので、宿も飛行機もキャンセルしました。生まれてから4人で改めて行くお楽し

もっとみる
十日市場でいのちのでんわをかけて切った話

十日市場でいのちのでんわをかけて切った話

高校へはJR横浜線で通っていました。十日市場駅から東神奈川駅まで。毎日の通学は、地図帳とか資料集とか、荷物がかさばるし重かったのを覚えています。リュックで満員電車に揺られていました。初めて痴漢にあったのも横浜線です。

何もかもうまくいかなくなって、どこにも気持ちを吐き出せなくて、「いのちのでんわ」にかけたことが一度だけあります。高校2年生の頃です。十日市場駅の改札を出たところにあるミスドの前の公

もっとみる

石川町

姉が職場から、ランチブュッフェを安く食べられるクーポンをもらいました。横浜のホテルでした。離れて暮らしている家族と会食しました。
ランチを楽しんだあと、姉と妹は買い物に連れだって行きました。母と私は中華街を散歩することにしました。母と二人で歩くのは、子どもとき以来でした。特に近年は、私が反抗期だったので、久しぶりでした。
親の有り難みがわかったのは就職してからで、それまでは疎んじていました。家庭で

もっとみる

恵比寿

マッサージ屋さんに行きたかったのですが、たどり着けませんでした。目印にしていたカフェが東口にも西口にもあったのです。(南口にも北口にも、だったかもしれません。)
予約時間に遅れそうになってお店に電話すると、落ち着いた様子で店員さんが教えてくれました。よくあるのかもしれません。カフェを目印にして迷子になること。

以前同僚が、「コンビニは目印にならない」と言っていました。すぐなくなっちゃうものは目印

もっとみる

北鎌倉

鎌倉に行くとき、一つ手前の北鎌倉で電車を降ります。その方が電車賃が何十円か安いのです。金銭的に余裕がなかったので、そういう遊びをよくしました。歩けるところまで歩くとか。歩けるところから歩きとか。
バス通りにはお寺とか、たくさんの自販機が並んだ場所とかカフェとかレストランがぽつぽつあるだけで、静かに歩くにはもってこいでした。いつの間にか鶴岡八幡宮が見えてきます。

でも一度だけ、北鎌倉から鎌倉を目指

もっとみる

鶴見

屋上庭園にたどり着けません。行ってみようと思うといつも閉まっているのです。閉園時間が早いのです。一度は悪天候のため、早々に封鎖されていました。
行けないと思うと行きたくなります。でも鶴見に行く機会がもうないので、わざわざ屋上庭園だけのために行くのも贅沢すぎる気がします。鶴見は、結婚する前いまの夫である人が住んでいました。
屋上にはきっと植物が調和をもって植えられて、木のベンチがあって東屋あって、空

もっとみる

あざみ野

あざみ野の地区センターで、うちわをつくる催しがあったのです。小学校低学年の頃だったかと思います。一人で電車に乗って、参加しました。よくいく図書館の近くだったから、一人で行けたのです。

両面白紙のうちわが配られて、好きなように絵を描いたり色を塗ったりできるイベントでした。知っている子はいなくて、私は一人で黙々と作業を進めました。土台をオレンジの絵の具で塗って、折り紙のちぎり絵ですいかを描きました。

もっとみる

旗の台

旗の台の病院に、入院していました。病室の窓からは駅から病院への一本道がよく見えました。

あんまりいい印象的はなかった病院でした。なんとなくですけど。無機質な、無愛想な印象でした。なんでだか、説明できないけれど。温かみがない感じ。内装がシックな色だからか、建物の中にエスカレーターがあるからなのか。

手術をしたんです。前々からあった腫瘍を取る手術でした。担当は女医さんで、いろんな検査をして、手術す

もっとみる

地下鉄成増

埼玉の一歩手前まで働きに出ていました。家は世田谷区内でしたが配属されたのは板橋区でした。

13時に始まって22時に終わる仕事でしたが、その日の日報を22時過ぎに送るルールがあったので、22時にはあがれませんでした。もうその時間帯って、一本電車逃すと次が20分後とかなんです。疲れてお腹すいて早く帰りたいのに。

始業前に昼ごはんを食べて、夕方夜ごはん替わりにデスクでお菓子を食べて、仕事終わりにもお

もっとみる

東白楽

降りたくない駅、というのがあります。 鬼門です。その一つが、東白楽。

17才の頃、いろいろ行き詰まっていました。勉強も、部活も、友達も。そして、家庭も。行き詰まる、とはつまり、居場所がありませんでした。その4つが行き詰まるだけで、絶望するのには十分でした。

毎日8階の窓から外を見ていました。落ちたらどうなるのかなんてわかっているようで、でもやってみなきゃわからないじゃない、と思っていました。8

もっとみる

鴨居

好きだと言ってくれるから、という軽いノリで付き合った時もありました。暇だったのかもしれません。寂しかった訳ではないです。退屈していたのでしょう。若かったのです。

同じバイトで知り合った相手との、初デートのことでした。待ち合わせから、違和感がありました。キャラクターのぬいぐるみが二つもついた大きなショルダーバッグ。人通りの多い場所でうろうろと待っている立ち姿。

気を取り直して、当時まだ新しかった

もっとみる

新大阪

たくさんの人がいるのを目の当たりにして、どこか安心しました。新大阪駅のホームでした。新幹線には満員に人が乗っていて、吐き出され、また乗り込んで、移動していきました。誰も知っている人はいませんでした。

ニュースなどで「○万人」などと聞いても、想像がつかないのです。30人くらいならひとクラス分かな、と察しはつきます。でもクラス分けによって管理されていたのももうだいぶ前のこと。いま実感できる最大の人数

もっとみる

表参道

愚かなわたしはいつかあなたに会えるものだと思っていました。
あなたと同じ空気を吸い、あなたと同じ街並みを歩き、同じ夕方のチャイムを聴き、
同じ空の下で同じ風を感じ同じ雨に打たれて
いつかあなたと言葉を交わせる日がくることを信じていました。

あなたが好きな表参道なら、偶然あなたに合えても不思議はないと思いました。

会ったら交わす言葉を空想しながら歩きました。
それはそれは排他的で幸福なでした。

もっとみる

たまプラーザ

この時間が終わらなければいいのにと思ったのは、いくあてがないからでした。行かなければならない場所はありました。アルバイトの時間が迫っていたのです。
新卒で入ったのは第一志望の職場でした。念願でした。憧れていた職種で、学生時代にアルバイトさせてくれた職場に、就職が決まったのです。

試験を受けて、受かって、本当に嬉しかった。たいへんなのは承知でした。それでも頑張ろう、頑張れると思っていました。いきい

もっとみる