見出し画像

【詩】あの時、確かな恋をしていた

あなたへ

手に握られる缶の色
変わっていく味覚が恋しい
どんな量の思い出も
片手に収まるこの時代に
優しいふりして近寄る大人が怖い 嫌い

君に誘われる夜の部屋
変わっていく香りが寂しい
どんな量の愛情も
両手じゃ溢れるその未来に
優しいふりして触れ合う僕らが辛い きもい

年を重ねるほどに壊れるのは
社会の方か。

ずれた「優しさ」が僕を飲み込み
ゆらりゆらりと景色が揺れる
涙が出たのだと
気づけるのはまだまだ先なのか
「あなたのため」だと言われたのなら
何も言わずに泣くしかないの
そんな世界のなか、
溺れて足掻いて私は生きる

コツコツと、
ずれる歩幅が君を示す


そう。
怖がりな私は、
寂しがりな私は、
すでに薄れている、あなたへの想いを
手繰り寄せて必死なのです。

どうやら、まだ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?