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50歳の日々のことを書きます。

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最近の記事

50歳のノート「スタートアップ泥船航海記〜知ってる、わかってるの境界〜」

1年後に会社が沈むカウントダウンに入ったはずなのに、いつのまに日常が戻っている。 「地球滅亡の日まであと1年」と知っても人々は日常を続けるのではないかと思うほどだ。 あるエンジニアのチームリーダーと1on1をしていて「浮き足立つ人が居ませんね」と水を向けてみる。すると彼は、 「会社がどうにかなっても自分が大丈夫と思えるかだと思う」。 転職サイトからスカウトが来るのを見て自分はいつでもやっていけると確認しているのだそう。 「そうなんだ、私は自分に自信が無かったから不安だった

    • 50歳のノート「ガベ飯とベーグル」

      吉本ばななさんのブログに登場する下北沢の美味しいお店訪問に凝っていた頃があった。 紹介されていたタイ料理屋さんはプリミティブな味でヒッピーでテンションが高い、下北沢らしい雰囲気を味わう。 少しずつ色々な種類を食べたいのだがその選択肢が無い。スープ、サラダ、メインとなると胃の容量を超える。さすがに炭水化物は選択肢に入れないけれども結構なボリュームだ。 友達と行く時もあったけれど、一人で楽しい気分をチャージしたい時に行くことにしていた。 ある日のその店の帰り、満腹のはずが胃

      • 50歳のノート 「スタートアップ泥船航海記〜終わる世界のカウントダウン〜」

        ◯ 資金ショートで余命わずかとの全社発表 資金ショートの話が全社発表されたにも関わらず他の人から「どうする?」話も無く転職活動をしている気配が無い。 他のチームの社歴の長い人がぽつんと1人辞めるくらい。 え、どういう…? あれは夢だったのか? というくらいだ。 毎月の支出が◯億で売り上げが◯億。前回の資金調達は◯億でもういくらいくら使ってしまったとのこと。普通に足し算引き算をすると最大で滅亡まで一年のカウントダウンである。 なのに「◯億売り上げ目標です!」などと絵に描いた餅

        • 50歳のノート「スタートアップ泥船航海記」

          ◯ dis って人を減らす ある日エンジニアマネージャーに私のチームから「人を2人減らせ」と言われた。つい2週間前の予算組みの前は「増員したければ申請を上げてこい」と言っていたのに。 驚いて理由を聞くと「ろくな成果をあげていないから」と言う。ろくな? さらに聞くと話はループする。とにかく2人減らせの一点張りである。 私のチームは業務委託の方が5人いる。そのうち2人を減らせと言う。 ただし、減らす理由もわからないし、期待値と違うことをやっているならそれを教えて欲しいと言うと

        50歳のノート「スタートアップ泥船航海記〜知ってる、わかってるの境界〜」

        • 50歳のノート「ガベ飯とベーグル」

        • 50歳のノート 「スタートアップ泥船航海記〜終わる世界のカウントダウン〜」

        • 50歳のノート「スタートアップ泥船航海記」

          50歳のノート「踊りの師匠」後編

          ◯ 名取試験の日 先生が戦略を巡らせ稽古を積み重ねて名取試験の日を迎えることになった。 当日は着物を着て試験会場に行く。着いてから試験用の着物に着替える。 試験用の着物は会場で着付け師さんが着せてくれるが、行くまでの着物は自分で着なければならなかった。 同じ日に試験を受ける同門の2人は着物を自分できれいに着ることができた。 自分は見よう見まねでしかなくきれいに着ることができない。 胸が大きくぽっちゃり体型なので形になりにくい。 そこで私の着付けを不安に思って先生が当日着付けて

          50歳のノート「踊りの師匠」後編

          50歳のノート「踊りの師匠」前編

          ◯ 先生との出会い 35歳になった頃、突然「何かやらなきゃ」と焦る気持ちでいっぱいになった。飛行機に乗り遅れる夢を連続で見るほど。 焦りくるまま何がしたいか考えると、日本舞踊を教えていた亡き祖母を思い出した。踊りをやってみようと思う。 チャカチャカ形だけやるより本質的なことをじっくり学びたい。検索すると会社の近くに稽古場があった。先生が教えている画像に気品を感じ、早速、体験レッスンを申し込んで訪ねてみた。 閑静な住宅街にある御自宅にある稽古場を訪ねると先生が迎えてくれた。

          50歳のノート「踊りの師匠」前編

          50歳のノート「殻のない蟹」

          ◯ 居場所の無さがもたらしたもの 幼稚園にあがるころから集団に馴染めなかった。1対1ならなんとかなるが3人以上になると何を話していいのか分からない。 お遊戯も「一体なぜこんなことをするの?」と思っていた。バレない程度にやらなかったりした。 学生生活は他人からはわからない違和感があった。魚が陸上で暮らすような息苦しさ、場違い感である。たまたま成績が良かったためうっすらと見えない膜が出来て「みんな仲良く」「友達いっぱい」の圧をしのいだ。 成績を上げる、つまり自分が頑張ることで

          50歳のノート「殻のない蟹」

          50歳のノート「期待値というガチャ」

          もういい加減落ち着きたいのに全然環境が安定しない。 井の中の蛙になって安定した小さな世界でドヤりたい。なのに、井戸がどんどん拡張して大海になってしまう。 この一年は特に目まぐるしい。環境のハイスピードな変化に怯えて目を見開いている。 会社でも同様だ。自分は小さなチームを持っている。自分以外は社員ではなく業務委託の方々だ。転職入社して一年になるが自分のチームへの期待値も目まぐるしい。 過度な期待をかけられて無理して頑張っていたところ今度は突然人数を減らせという。その人数の話も

          50歳のノート「期待値というガチャ」

          50歳のノート「K-POPオーディション番組発ZEROBASEONEにハマる」

          TV番組を見なくなって久しい。食事時はTVモニターでABEMAかYouTubeを見る。 ABEMAを漁っているとK-POPオーディション番組がずらりと並んでいる。 Wanna One がデビューした番組からいつのまに7年経っている。その間オーディション番組を味見してはハマれずに脱落していた。 もともとオーディション番組が好きで「アメリカン・アイドル」「ゴッド・タレント」も見ていた。 普通の見た目の人がホールを圧倒する異常なまでの才能を見せつけてきたり、ぼんやりした印象の人が

          50歳のノート「K-POPオーディション番組発ZEROBASEONEにハマる」

          50歳のノート「自分自分自分の人と私」後編

          デザイナーの彼によると仕事の依頼だと言う。 NPO活動の個人団体のイベントパンフレットの作成を依頼され、自分はデザインを担当するから私にライターとして入って欲しいという。 トータル5万円で受けた仕事だが、彼は転職期間中で無収入であり私は会社員として収入があるから無料でやって欲しいという。 「crabさんはお金があるから」。 いやいや、今は無収入といえど彼はプチ地主の息子で賃貸物件をいくつも持っているし婚約者との新居も自分の家の物件で家賃無しである。同居する婚約者の世帯収入もあ

          50歳のノート「自分自分自分の人と私」後編

          50歳のノート「自分自分自分の人と私」前編

          離婚直後の30歳ごろから私の目の前に現れる人は一方的に自分の話をした。 それは突然起きる。 スポーツクラブでマシンを使っていると、突如、ぽっちゃりした女子に話しかけられた。 自分は痩せたい、だが過食嘔吐していて…と血走った目をして話し続ける。 え…どういう…なぜ私に…という疑問をよそに彼女は話し続ける。さすがにと思い、トイレに立つと喋りながらついてきた。さっとトイレを出て撒こうとするとまだついてくる。「マシンがわからなくて使えなくて、でも自分は頑張ってるんだ」という話になった

          50歳のノート「自分自分自分の人と私」前編

          50歳のノート「ハッピーエンドじゃなくていい」

          韓国ドラマのおすすめは、と聞かれると数本の中にそっと入れておくのがNetflixの「私たちのブルース」である。コンテンツがお好きで目が肥えている方なら尚更だ。 「私たちのブルース」は主役クラスの名優が多く出演している。イ・ビョンホン、チャ・スンウォン、ハン・ジミン、ドラマでよく見る顔がずらりと並ぶ。そんなつよつよの面々がひしめいて一体どうなるのかと思いきや、「済州島に暮らす普通の人々」になり切っている。 「私たちのブルース」は済州島の南国感ある美しい海をバックに普通の人たち

          50歳のノート「ハッピーエンドじゃなくていい」

          50歳のノート「スタートアップ転職記 後編 『ストーリー』を作る」

          40代メインのスタートアップに入社して一カ月ほどすると、あれ?と違和感に気づいた。当たり前にあるものが無い。そして「あるはずのもの」を求めようとすると全然通じないのだ。 しかも完全リモートの会社のため認識の距離感が遠い。簡単に言うと他人事感が半端ない。 YouTubeのコメント欄にいる見知らぬ人々と仕事をしようとしているかのようだ。 何かイメージしてたのと違うな、と違和感を感じていると同一日入社の別のチームの開発マネージャーと雑談の流れでそんな話になった。ご経歴を伺うになん

          50歳のノート「スタートアップ転職記 後編 『ストーリー』を作る」

          50歳のノート「スタートアップ転職記 前編 できることできないこと」

          50歳ともなれば、何でも来いの状態で豊かな経験値を皆様にシェアできると思っていた。 ところが実態は、やったことが無いこと、できないことに転職のたびに突っ込んで行っている。望んでいるわけではないのに結果そうなっているのだ。 大学を卒業してから自分の適職、天職に巡り合ってハッピーエンドになることを願っているが、現在もそこに至っていない。 40代半ば過ぎると50歳を越えてからの転職のハードルを考えて安住の地を求め始めた。 ソフトウェア業界のスタートアップが私の職種QAエンジニアに対

          50歳のノート「スタートアップ転職記 前編 できることできないこと」

          50歳のノート「物語の世界」

          朝目が覚めると枕元のスマホで漫画アプリを開く。メインで見ているのはLINEマンガとピッコマ。毎日どれかしらのコンテンツを読むことができる。 倹約家の元同僚が「薬屋のひとりごと」をアプリで毎日1話ずつ無料で読むことができると教えてくれたのがきっかけだ。その話を聞いたときは買えば良いとか漫画喫茶に行けば良いのにと思った。 もやもやが溜まると漫画喫茶に長時間籠るときがあった。知られざる名作を見つけたり王道の名作を読み返したりする。 物語の中で主人公と共に傷つき成長しハッピーエンド

          50歳のノート「物語の世界」

          50歳のノート 「自分の価値✖️オンラインサロン」

          音声SNSのClubhouse が登場したころ小さい規模の個人事業主をコンサルするコンテンツにハマった。 コンサルは別のClubhouseでも聞いたことがあった。TVでも名前を聞くSNS著名人が相談に答えるルームだった。 地方の主婦が「やりたいことがわからない」という相談があがった。自分の価値を見つけたいということである。それに対して主催者はマーク・ザッカーバーグの書籍を勧めアインシュタインのエピソードを早口でまくし立てて終わった。私には相談者がそのアドバイスと自分自身を繋げ

          50歳のノート 「自分の価値✖️オンラインサロン」