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中国の素晴らしき才能に溺れる「人之彼岸」

<SF(13歩目)>
中国の素晴らしき才能に溺れる。

人之彼岸
郝 景芳 (著), 立原 透耶 (翻訳), 浅田 雅美 (翻訳)
早川書房

「13歩目」は、中国SFの旗手の一人郝景芳さんの作品です。中国のSF作家として、そして女性作家として、次代を牽引される才能に時間を忘れます。

作者の郝景芳さんは、お茶の水女子大のSF研究会で留学生から紹介されました。
「Folding Beijing」の作者で中国のSFブームの立役者とのこと。
話をしていたら「折りたたみ北京」(早川書房)の作者であることを理解しました。

「折りたたみ北京」は同一都市(首都北京)を経済的階層で3つに分けて(この切り口が「素晴らしい!」)描いていて、イギリスのチャイナ・ミエヴィルさんが「都市と都市」(早川書房)で描いた世界観を更に進めた「素晴らしい作品」だと盛り上がっていたのですが、彼女からの更なるおススメで手に取りました。

読んで、只者ではないと痛感しました。

最初に書かれているエッセイの「スーパー人工知能まであとどのくらい」「人工知能の時代にいかに学ぶか」は科学論文テイストで、郝景芳さん、及び、北京の清華大学周辺の「今」のトレンドが知れて面白い。ちょっと日本でも「人工知能」にかかわる方々も読むと参考になる。

しかし、短篇集の中の「不死医院」を読んで驚きました。

SF、及び生命工学周辺で常に問題になる「科学」と「倫理」の問題。
SFの中でも、多くの作家が取り組んでいますが、その中でも「最優秀」
と感じた。

カズオ・イシグロさんの「わたしを離さないで」(早川書房)や、グレッグ・イーガンさんの短篇「エキストラ」(早川書房)を超える「刺すような視点」と余韻を残しました。

うげーっ、やはり彼女の才能は素晴らしい。「いいね!」です。

短篇はそれぞれ「粒ぞろい」でどれも素晴らしい。
現代の北京の雰囲気が伝わり、且つ徹底的に科学にこだわりながら「人間の人生の機微」に触れていてすごいと感じた。

こんな作品がここもと、翻訳され始めて「いい時代」になった感じします。

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