３月２９日、厚生労働省及び警察庁の連名による「令和５年中における自殺の状況」という統計資料が公表された。
今回はその要約を記載します。

｜令和５年中の自殺者数

令和５年（2023年）に自殺した人の数は、全国で2万1.837人で、前年よりもわずかに減少した。
しかしながら自殺者数の推移を見ると、2003年の3万4427人をピークに、2019年には2万169人まで減少したものの、コロナ禍が始まった2020年から増加傾向に転じていることは注目すべき点である。

前年である2022年より44人減少したことになり、その内訳を見ると、
男女別では、男性は116人増えて1万4,862人
　　　　　　女性は160人減って6,975人
である。
なお、中でも20歳代以下の若者においては、男性は減少し、女性は大きく増加した。

　年齢別

前年と比べ、９歳以下、40歳代、70歳代及び80歳以上が減少し、その他の年齢階級は増加した。
最も減少した年齢層は80歳以上（120人減）であり、最も増加した年齢層は50歳代（101人増）であった。

※高齢者
70代は2,901人で前年比93人減、80歳以上は2,370人で同120人減と、この年代の自殺者が大幅に減少した。

　職業別

職業別にみると、有職者（282人増）が増加し、学生・生徒等（44人減）及び無職者（309人減）は減少した。
なお、学生・生徒等（44人減）であるが、男子生徒が34人減少したものの、女子生徒は33人増加していた。

　自殺の動機・原因

原因・動機を見ると
○　最も増加したのは、「経済・生活問題」（484件増）
○　最も減少したのは、病気などの「健康問題」（371件減少）
○　奨学金の返済を苦にしたとみられるのは6件（前年は4件）
だった。
経済・生活問題が増加したのは、「値上げによる影響」や「コロナ禍での失業」などの影響があった可能性が指摘されている。

｜小中高生の自殺者数

小中高生の自殺者数は513人で、514人で過去最多となった2022年に続き高い水準となっている。
その内訳は、
小学生が13人、中学生が153人、高校生が347人
である。

また、これを男女別でみると
男性は、中学生が前年と同数となり、小学生（７人減）及び高校生（27人減）は減少した。
女性は、小学生（３人増）、中学生（10人増）及び高校生（20人増）のいずれも増加した。

　小中高生の月別自殺者数

小中学生の月別自殺者数をみると
令和５年の月別の小中高生の自殺者数は、10月（61人）が最も多く、２月（24人）が最も少なかった。
また、４月（53人）、７月（43人）及び10月（61人）の小中高生の自殺者数は、直近５年間で最多となった。

　小中学生の自殺の原因

小中高生の原因・動機は、「学校問題」が最も多く（261件）、次いで「健康問題」（147件）、「家庭問題」（116件）である。

特に学校問題の内訳をみると、「学業不振」（65件）、「進路に関する悩み（入試以外）」（53件）、「学校問題その他」（51件）、「学友との不和（いじめ以外）」（48件）が多かった。

｜自殺防止のために

悩みや不安を抱えて困っているときには、電話やSNSで相談する方法がある。
「こころの健康相談統一ダイヤル」など複数の窓口があり、厚生労働省のホームページにも連絡先が掲示されている。

厚生労働省等では、「一人で抱え込まず相談してみてください。」と呼びかけている

【電話相談】
「こころの健康相談統一ダイヤル」0570ー064ー556
「＃いのちSOS」0120ー061ー338
「よりそいホットライン」0120ー279ー338
「チャイルドライン」※18歳までの子どものための電話　0120・99・7777

【SNS相談】
〈NPO法人ライフリンク「生きづらびっと」〉
　　LINE　@yorisoi-chat
　　チャット　https://yorisoi-chat.jp/
〈NPO法人東京メンタルヘルス・スクエア「こころのほっとチャット」〉
　　LINE/Facebook　@kokorohotchat
　　チャット　https://www.npo-tms.or.jp/public/kokoro_hotchat/
〈NPO法人あなたのいばしょ〉
　　チャット　https://talkme.jp/
〈NPO法人BONDプロジェクト〉
　　※10代、20代の女性のための相談を実施。
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