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研究レポート

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論文レビュー『中小企業の市場創造プロセスにおけるエフェクチュエーションの活用』

論文レビュー『中小企業の市場創造プロセスにおけるエフェクチュエーションの活用』

今回は商工金融に投稿された神戸大学大学院経営学研究科准教授吉田満梨著の論文メモになります。中小企業にも転換が求めれている今です。是非一読を。

※引用部は、太字で強調しています。

要旨中小企業における製品イノベーションの創出プロセスや市場機会の創造プロセスにおいては、大企業における新製品開発のベストプラクティスとされる分析的・計画的な実践がほとんど活用されていないことが指摘されてきた。中小企業と

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論文レビュー「両手利き組織研究のミクロ基礎(以下省略)」1−1

論文レビュー「両手利き組織研究のミクロ基礎(以下省略)」1−1

今回は、明治大学からの論文です。タイトルは『両手利き組織研究のミクロ基礎-認知の二重処理,実践理論,組織の記憶-』です。noteのタイトルに収まりませんでした。ご了承ください。小林一教授、滝本(金井)優枝教授です。です。

1.はじめに
本稿の目的は,マーチ 0.March)によって示唆された組織学習の探求と活用のジレンマが実際にどのように処理されているのかを,日本の大手スーパーマーケットの事例に

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論文レビュー『物語を物語を使ったマーケティングが有効となる条件と その限界に関する試論』1−2

論文レビュー『物語を物語を使ったマーケティングが有効となる条件と その限界に関する試論』1−2

前回の続きです。
太字が個人的な意見です。

VI いくつかの事例・事象の考察と仮説1.物語マーケティングを有効にするための 事前知識の必要性について
言葉を変えればその物語を有効とするには,受手にそれを理解するための最低限の知識が必要。

例えば、歴史に関連するパッケージ旅行。歴史的事実やそれに付随する物語を理解する知識があってはじめて,壮大な風景や史的経緯を思い浮かべ,その場所の価値に思いを

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論文レビュー『物語を物語を使ったマーケティングが有効となる条件と
その限界に関する試論』1−1

論文レビュー『物語を物語を使ったマーケティングが有効となる条件と その限界に関する試論』1−1

滋賀大学経済学部研究年報報 Vol.28に掲載されている清宮 政宏教授の論文のメモです。個人的意見は、太字で書いています。2部構成です。

Ⅰ はじめに
物語(ものがたり,話し,語り)を使い,それを製品・サービスに付随させることによって,マーケティング活動では機能的価値だけではない意味的な価値を付加させることができる。また顧客の印象を強化でき,売手と買手で共有する文脈形成にも繋がって,顧客との良好

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研究レポートvol.11.0『ネット上の消費者情報探索とネット・口コミのマーケティング利用』まとめ

研究レポートvol.11.0『ネット上の消費者情報探索とネット・口コミのマーケティング利用』まとめ

今回は、東北大学経済学研究科の澁谷覚さんの論文のまとめになります。ネット・クチコミと対象者となり得る要素が記載されていたので、共有します。

はじめに近年、クチコミが注目されている大きな二つの理由

・マス広告の効果の低減が指摘され続けているため
・インターネットに膨大な量のクチコミ情報が存在しているため

すくに情報の検索ができる今の時代に、一方的にメッセージを送りつけ、購買を説得することは、難

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研究レポートvol.10.0『クチコミがマーケティングへ及ぼす効果に関する再考察』まとめ

研究レポートvol.10.0『クチコミがマーケティングへ及ぼす効果に関する再考察』まとめ

今回は、天王寺大学教授の隅田孝さんの論文のまとめになります。2018年に公開されたものです。
原文は、検索すると誰でも閲覧可能なので、興味が湧いたら、是非一読してみてください。

はじめにクチコミを利用したマーケティングをバズ・マーケティング(Buzz Marketing)と呼ぶ 。
しかし、バズ・マーケティングは、消費者間の自由な噂話が根源であるから、企業がコントロールできるようなものではない。

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研究レポートvol.8.0『地域ブランド育成におけるマーケティングの実践』まとめ

研究レポートvol.8.0『地域ブランド育成におけるマーケティングの実践』まとめ

今回は、2007年の名古屋学院大学論集に掲載された清水良郎さんの論文のまとめになります。こちらも全文をネットで読むことができます。
是非、興味をもったら手に取ってみてください。

はじめに地域ブランドの実態を明らかにし、その育成への議論を進めていく。

地域ブランドの重要性

地域ブランドの検索数は「ブランドバック」と匹敵するほどの数になっている。
自治体経営にも地域ブランドを盛り込む構想が練られ

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研究レポートvol.7.0『マーケティングにおける 中心価値の変化』まとめメモ

研究レポートvol.7.0『マーケティングにおける 中心価値の変化』まとめメモ

今回は、専修大学教授の石川和男さんの論文をまとめたメモになります。この論文は2015年の『専修ビジネス・レビュー』に掲載されたもので、誰でも閲覧可能なので、興味をもったら是非原文に目を通してみてください。

私が簡単にまとめると、マーケティングにおけるパラダイムの変化には

・価値創造から価値共創へ
・製品・サービスの提供だけでなく利用・使用までの管理が必要
・顧客からステークホルダーへ
・受動的

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研究レポートvol.6.0『新興企業における実態に即したビジネスプランと黒字化との関係の実証研究』のまとめ

研究レポートvol.6.0『新興企業における実態に即したビジネスプランと黒字化との関係の実証研究』のまとめ

今回は、学術誌『組織科学』に2015年に掲載された論文のまとめメモになります。誰でも読むことが可能ですので、興味がわきましたら原文を読んでみてください。

はじめに新興企業の黒字化には、いくつかのマイルストーンが存在している。
➡社内環境の設備、法的対応、製品開発、顧客獲得等

新興企業は、社会的信用が低いにも関わらず、様々な整備的活動をしなければならないため、既存企業よりも競争的劣勢にいる。この

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研究レポートvol.5.0「技術の社会的形成アプローチ」について

研究レポートvol.5.0「技術の社会的形成アプローチ」について

今回は、技術の普及プロセスの分析手法として存在する技術の社会的形成アプローチについてのまとめになります。

技術の社会的形成アプローチとは技術の社会的アプローチとは、技術と社会の一方的な規性を否定し、それの 問の相互作用による相互形成のプロセスを明らかにしようとする研究群のことを指す。
➡それには、技術の社会的構成論やアフターネットワーク理論などが含まれる。

技術の社会的形成アプローチの包括的な

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研究レポートvol.2.1『製品開発と市場創造』の問題意識

研究レポートvol.2.1『製品開発と市場創造』の問題意識

今回は、宮尾学教授の著書である『製品開発と市場創造』の問題意識と先行研究について簡単にまとめたいと思います。

問題意識市場創造型製品:製品評価の枠組みを変えることで、当たらな細分化市場を形成しようとする製品の開発方法のこと

しかし、市場創造型製品の開発には、いくつかの問題の所在が見られる。

新製品開発には、市場の様々な情報を利用しなければならない(Brown &Eisenhardt,1995

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研究レポートvol.4.0:2017年度『中小企業白書 第二部 中小企業のライフサイクル』における起業と起業後の課題

研究レポートvol.4.0:2017年度『中小企業白書 第二部 中小企業のライフサイクル』における起業と起業後の課題

今回は、2017年の中小企業白書の面白い統計データがありましたので、それを紹介します。
結論から言うと、日本は起業に関するノウハウが浸透していない、環境が整っていない、起業に関する関心が低いということが言えます。起業したい人が実際に何を課題としているのかをこの白書から理解することができます。今回のnoteは断片的なな記述になります。さらに知りたい方は2017年度版の『中小企業白書』を手に取ってみて

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研究レポートvol.3.2&3.3「知識獲得」に関する文献まとめと「大学発スタートアップ」について

研究レポートvol.3.2&3.3「知識獲得」に関する文献まとめと「大学発スタートアップ」について

前回の続きです。
知識獲得に関する文献についてと大学発スタートアップについて書いてあります。今回調べていてわかったこととして、大学発スタートアップは地方創生と呼ばれていることに貢献する可能性があります。

vol.3.2「知識獲得」に関する文献まとめ『Towards the Learning Region』Florida, Richard (1995)

Floridaは、地域の学習機能に着目し、

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研究レポートvol,3.1「イノベーションの普及」に関する文献で読みたいもの

研究レポートvol,3.1「イノベーションの普及」に関する文献で読みたいもの

今回は、メモのようなものです。外国文献がメインですが、翻訳されているものがあると思いますので、探してみてください。

『Diffusion of Innovations』Everett M. Rogers.(1962)

Rogersは、新しい製品・サービスの普及過程を社会的に分析し、イノベーションの普及モデルについて論じている。
彼は、顧客グループを5つに分類する。

①innovators:新

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