デザイン教育の現場から

香川大学創造工学部の造形・メディアデザインコースでデザイン教育に携わっています。僭越な…

デザイン教育の現場から

香川大学創造工学部の造形・メディアデザインコースでデザイン教育に携わっています。僭越ながら、日々のデザイン教育で起こることを綴っております。高校生や親御さんが見てもわかりやすい内容にしております。これからも応援お願いします。

最近の記事

詰め込むよりも研ぎ澄ます

デジタルグラフィックでは、今年は自分のロゴマークをやっています。 自分のシンボルマークは長年やってきました。一年生の最初の課題で。 今は二年生の課題です。 色々なものを詰め込むと良いと思いがちですが、 このデザインには、カタカナのタカハシが全部入っています。というような。 でも、タカハシの全てが読めませんし、全てを詰め込むことで何も伝わらないことになります。 多くのメッセージを込めることがデザインの技術だ。と思っています。 dポイントのマークも楽天ポイントのマー

    • 二点透視図の色彩構成

      デジタルグラフィックス演習の、adobe illustratorの講義の課題提出でした。 今回は二点透視の色彩構成としました。 また、一年生から引き継いで、授業開始時にスケッチテストを10分間でしています。これで遅刻を減らすことができます。 スケッチでも、二点透視図を徹底しています。 半年やってもまだ、ままならないレベルです。 もう、二点透視三昧にしようと思いまして、今回のイラレの初めての課題も二点透視の色彩構成としました。 色彩構成は芸大に入る前の予備校でやりま

      • コスパ重視の大学生活

        履修相談でも、気になったのですが。 今日も気になりました。 「この授業は簡単に単位が取れて楽だ」 というやつです。 新入生は「ほうほう!ふんふん」と聞いている。 先輩からの情報としてはすごい言葉のように感じます。 でも、本当にそんなコスパはあなたの成長にとって必要なことでしょうか? 私の授業は、コスパの悪さが衝撃だったそうです。 私が来て、初めて授業を受けて「え、嘘やろ?」って思ったらしい。 と2年経って、昨日聞きました。 でも、今までにない結果を出して、そ

        • 卒業制作展 雑感

          今日で卒制展示が終わりました。 遠くからもお越しいただき感謝です。 今年から初めての院生展示もあった事、私のゼミが初めて入った事もあり、制作物が増え、見応えは昨年より見れるものになったと感じています。 論文も多くてそれはそれで良いのですが、人にわかってもらう上でもう少し工夫なりが必要だと思いました。 展示会というものは制作をした人のためのものであり、論文の人はやりたくはない。そんな言葉を思い出しました。 滋賀県立大学時代も私が来た時はパワポでの発表のみで制作物の現物展

        詰め込むよりも研ぎ澄ます

          卒制展視察ツアー

          神戸芸術工科大学、京都市立芸術大学、京都芸術大学、成安造形大学、嵯峨美術大学、大阪芸術大学、大阪工業大学を巡る卒制ツアーに2泊3日、三年生ゼミで行きました。 と言っても、東京で就活があるので初日来れない人、なか日にインターンで東京に行ってしまう人、最終日にインターンで前入りしてしまう人など、入れ替わりで全員揃う日はなかったですが。三年生の1週間の移動距離もすごいものがあります。 他大学の卒制を見て、また、そこに、引き算展で一緒にやった他大学生の卒制を見れる事、PBLで取り

          注目される香川大学

          インターンに行ったり、就職活動をしたりする中で、学生から聞こえてきます。インターン先などで言われるそうです。一つや二つではありません。 香川大に注目している。 どんな授業をしているのだろう。 香川大が気になる。 香川大まで説明会に行きたいくらいだ。 あちらも全国から集まる山ほどの学生を見る中で目に留まるわけですから、それは相当なものです。 「目の前の学生を見て大学をイメージする」 良くも悪くも、ついつい、そういう風に思ってしまいます。 さらに、同じ学校から学生2人が

          デッサン

          デザインの学校に行きたいと思っている人が何人これを読んでいるかわかりませんが、 大学受験科目にデッサンや実技がないので、デッサンをやらないで入学出来る大学を探して来た。 みたいな学生が集まる大学。 そして、国公立である。 そんな共通点のある大学を2つ経験している私です。 芸大に行くより、国公立の総合大学の方が親はなんとなく安心する。という気もわかります。 ここで、学生と親のニーズが合っている。というのが生まれています。 でも、大学入学を目標にするのではなく、本当に

          自分は気に入っている

          最近、学生と話していてよく出る言葉が気になります。1人や2人ではない。 「自分は気に入っている」 と言う言葉です。 なんだか、魔法の言葉のようだと感じます。 なんだか、そう言われるとそれ以上、言えなくなってしまう気もします。 でも、その言葉によって自分を疑う事に蓋をして、納得させて、成長を阻害させている。 そんな風にも思ってしまいます。 価値観が多様化し、若者に取ったらおじさんの考えなんて古いと思うのかもしれません。 自分が気に入っているかどうかは、本人には大

          自分は気に入っている

          ポートフォリオ。

          デザイン系やクリエイティブ系で就職するために作らなければならないものです。 私はポートフォリオを作る授業を受け持っています(2023年度は) そんなことを指導してくれる大学も皆無ではないでしょうか? ほとんどの場合は、先輩のを見せてもらったり、ネットのPFサイトを調べたり、自分で考えてやるべきものです。 開コース間もない本大学ではまだ、デザイン系就職した先輩もほとんどいないですし、上下のつながりも希薄だということもあります。 前期のPF作る授業では40ページ目標に。

          競争が人を育てる

          私は、授業やゼミでデザインコンペに取り組んだりすることが多いです。 そうすると、実力のある人、そうでない人が授業内では明らかなのですが、外部の評価ではまた違った結果になることがしばしばあります。 「なんでこの人が?」という具合です。 でも、だからこそ、色々な場所に出して評価を求めなくてはならないと思います。 また、そのことや評価によって、本人も変わろうとします。 「自分なんて、、、」と思っていた人も、 たまたまでも賞を取ったら「賞を取った人」になろうとします。東大生

          なんとなくデザイン

          デザインは「なんとなく」出来てしまいます。 さまざまなツールが発達した今やそのハードルはどんどん下がっています。 先日も、ロゴデザインで迷走していて、見てくれという学生がいました。 見ると、なんとなくデザインしている感が漂っています。 自分の中に確信が持てない。どれが良いかわからない。 自分では判断できないから先生に聞いてみよう。 先生が良いと言ったから、これが良いのだろう。 ーーーー これは、一時的に解決したかに思えますが、本質的に自分でデザインの理解にはつ

          新森雄大さん博士論文審査会

          教え子の新森雄大さんの京都市立芸術大学での博士論文審査会に審査員として行ってきました。(滋賀県立大学の佐々木先生と一緒に) 新森さんは、摂南大学から大学院で滋賀県立大学大学院の南研究室に来られました。 その当時、2009年にはセントラルガラス国際コンペ、「まちの寄合所」テーマで入選しましたが、その時の作品はトップ画像の「橋の寄合所」です。 滋賀県彦根市犬上川にかかる橋を敷地にしたもので、橋の上に用途を限定しない空間を作るものでした。 滋賀県立大学生活デザイン学科の大学

          新森雄大さん博士論文審査会

          君は今

          「君は今何を考えていますか」。 私は、50年前にこの言葉を唐突にあびた。 勇ましい軍部の戦果報道とは裏腹に、戦域が刻々身近に迫ってくる重苦しさを肌で感じながら、学校から軍需工場へ、 陣地構築、 防空壕堀りにと駆りだされていた日々、私にとっての安らぎの一つは、友と心置きなく話をすることであった。 時は昭和19年、 17歳。 とある日、友を訪問し、 彼の家族や来訪者と四方山話に花を咲かせていた時に、同席の一人から件の質問を受けたのである。 その人は40がらみで口髭を蓄

          議論できる仲間

          ゼミの学生が、ゼミ室で色々と自分のインターン課題の案などをゼミ生同志で話して、議論し合っています。 こういう事は大学では普通。 では決してないとは思うのです。 学生や学年、メンバーによっても大きく異なります。 レベルの低い話かも知れませんが、こういう状況を作る事が何より大変であり、こうなればもう勝ちでもあるのだと私の経験では思います。 こういう事が日常的になっていれば、勝手に成長してゆくし、そうでなければなかなか難しいところがあります。 大学の価値って、授業よりもこう

          観察はデザインに勝る

          陶器のプロダクトを授業課題で選んでやっている人がいますが、陶器らしく見えるCGになってない。 という人が大半です。 CGの技術が足りないのも一つですが。 陶器はそこまで精度が出ないし、釉薬でエッジは少し柔らかくなるし、厚みも1cmもあれば乾燥で非常に時間がかかる上に、割れる心配もあるし。 と、なかなか陶器の特性を考えた上でのデザインとそのビジュアライズは学生には難しいわけですが、まず陶器製品に実際に触れて観察することをしていなくて、いきなりCGで作るのも原因かと思います

          観察はデザインに勝る

          自己推薦

          学生の研究室配属が7月にようやく決まりました。3年生の7月です。 配属が7月半ばと、かなり遅くて夏のインターン対策がしにくくて困っています。 工学部の就活とクリエイティブ系の就活はかなり様子が違いますが、ここは工学部。そのノリで組まれていますので、こういう時期になっています。これでも工学部内ではまだ早い方です。工学部内でもコースによって時期は様々です。 本コースは、デザイン系ゼミの志望者が増えて、今年から希望を鑑みて、ゼミの定員は3名から最大5名に拡充され、成績順で配属希