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逆噴射小説関連

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「ニンジャスレイヤー」で有名な創作翻訳チーム、ダイハードテイルズが営む賞や小説講座にまつわる記事をぶっこんだマガジン。ほぼ自分用。
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2020年10月の記事一覧

逆噴射小説大賞2020 ゾウ印ピックアップ6選

逆噴射小説大賞2020 ゾウ印ピックアップ6選

 ギャッ! こんにちは!
「逆噴射小説大賞2020」最終日の前日、わたしによるピックアップの時間だよ!
 全部読めたわけじゃないけれど、なやんで6作を選んでコメントしてみました。
 面白さは保証するのでみんな読んでみてね!! ちなみに作品の並べ方は「これがミニアルバムだとしたら曲順は……」みたいな感じ。

【超・宣伝】
 俺が応募した5発はこれです。

逆噴射小説大賞2020 我が応募作5品まとめ

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【はんせいかい】逆噴射小説大賞2020 セルフライナーノーツ(下) やってやれないことはない

【はんせいかい】逆噴射小説大賞2020 セルフライナーノーツ(下) やってやれないことはない

[ 前回 までのあらすじ:我を忘れてワケワカンナイことになっているのに気づいたドントは、逆噴射プラクティスへと己が身を戻すのであった]

その⑤ ムムムッ……

 で、大賞に送るでもなく誰に読ませるでもない練習、基礎修練の復習、初期衝動の回復(矛盾)として、なんも考えずに不真面目にヤーッとやっつけたのがこれであった。

 全編完全なる中国語で書かれたこの800字、大賞のことも過去も未来も忘れてた

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【はんせいかい】逆噴射小説大賞2020 セルフライナーノーツ(上) 何がドントに起こったか?

【はんせいかい】逆噴射小説大賞2020 セルフライナーノーツ(上) 何がドントに起こったか?

★本記事は、私が今年いかに迷走していたかの記録であります。あまり面白いモンではないので、そらへんはご注意ください★

その① はじまり
 2020年9月末から10月中旬まで。私はアタフタしていた。いやどうかしていた。我を失っていたと言ってもよい。
 逆噴射小説大賞の季節がやってきたのである。

 昨年、気まぐれに参加しピャッと出したこれ↓

 が予想も想像も越えてウケて驚愕。
 調子こいて続きを書

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10万と1回目の死にざま 【逆噴射小説大賞2020 補欠作】

10万と1回目の死にざま 【逆噴射小説大賞2020 補欠作】

「監督。ノブさん、またいます」
 ADが俺に囁いた。 
「またか……」
 俺はため息をついた。他のスタッフも困り顔だ。 
 悪代官の屋敷のセット、その縁側にノブさんはいた。腕を組んでどっしりと座っている。さすが大御所俳優、貫禄十分だ。

 問題は、彼はもう死んでいるということだ。1ヶ月前に。

 菅井雅伸。通称ノブさん。
 15歳でデビューし85歳没。映画にテレビ、時代劇から現代物まで、やられ役と

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風が死人を連れてゆく 【逆噴射小説大賞2020 補欠作】

風が死人を連れてゆく 【逆噴射小説大賞2020 補欠作】

 命乞いする農民三人を斬った後、“北風”は云った。
「あはは。この百姓が追っ手とは気づかなんだ。東風よ、お主は若いのによう気づく。南も西も見習うことじゃ。あはは」
 満足そうに刀をしまい、再び歩き出す。
 周りには誰もいない。いま殺した農民の死骸があるだけだ。彼らは追っ手などではない。
「そうじゃとも。尾張へはまだ遠いぞ……」
 と北風は、やはり誰もいない脇に向かって呟く。

「おいたわしや」背後

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虐殺者は帰還し東へと向かう 【逆噴射小説大賞2020 補欠作】

虐殺者は帰還し東へと向かう 【逆噴射小説大賞2020 補欠作】

 二十日ほどで、世界は死に絶えた。
 動くものはほぼ全て殺したはずだ。
 後は僅かな生物が残る程度だろう。

 転生する前の人生は、記憶にない。
 何かに撥ねられた覚えだけがある。
 私は勇者と呼ばれ、魔王を倒した。
 民に担がれこの大国の王となった。
 そこまではよい。だがすぐ飽きた。
 平和と政治の日々は退屈であった。

 契機は、事故のようなものだった。
 口うるさい大臣の額を指で突いた。

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亡者怨霊壱万体斬撃記

亡者怨霊壱万体斬撃記

 菩薩像爆発! 我呆然後、逃亡開始脱兎如。此処寺社激弱! 霊的守護軟弱! 脆弱! 貧弱!
「馬鹿! 不許!」
 森林走中、我絶叫。
 背後、数千悪霊飛来! 全員凄顔面! 御勘弁!

 一ヶ月前。我踏潰、事故現場花束。
 是故意非。誓、故意非。併霊魂怨念超憤激。
 加不幸、此処、事故超絶多発地帯……

 年間死亡者数五百人!
 二十年一万人!
 
 一万怨霊大挙進撃、襲来開始。 
 我北京大学二年生

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逆噴射小説大賞2020・異次元ピックアップ ~タイトルだけ部門・20選~

逆噴射小説大賞2020・異次元ピックアップ ~タイトルだけ部門・20選~

 もしもし、聞こえますか。
 こんにちは。私です。

「逆噴射小説大賞2020」、進捗どうですか。
 初日に全弾ぶっぱなしたパンク兄ちゃんもいれば、一発一発をじっくり錬成、ゆっくりと装填、ぐっと絞るように引き金を引いていく人もおられるでしょう。
 まだ迷っておられる方、去年の私の経験からアドバイスをいたしますと、ガーッと書いてバーッと出すのがいい感じです。えっ……参考にならない……なんかスイマセン

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真夜中の血の女王

真夜中の血の女王

 命乞いってのは似たり寄ったりだ。やめてくれ、俺が何をした、倍額出す。
 だから女がこう言った時、俺は感心した。

「私は殺せないよ」

「ほう。どういう意味だ」
「文字通り」
「そうかい」
 俺は女の心臓に弾をぶち込んだ。真っ赤な液体が壁に飛び、体が床にくずおれた。

 なるほど勝ち気だ、と俺は思った。
「勝ち気で強くて、悪魔みたいな女さ。そこに惚れたんだが……色々あってな」 
 依頼人が昨日そ

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機械不良市街大戦〈マシンヤンキーシティーウォー〉

機械不良市街大戦〈マシンヤンキーシティーウォー〉

「10年早ェんだよ!」とは言った。
 だが10年後“から”、10年早く来るとは思わなかった。

 登校途中に落ちてきたデカい金属の中から出てきたのは三日前にボコった橋本。
「三沢ァ! 言われた通り10年早く来たぜェッ!」 
 顔だけ橋本で他は橋本じゃない。全身銀色2mのメタルボディに学ラン。
「何だテメー? シルバーでキメやがってよォ?」
 凄んだダチの吉田が奴の蹴りでブッ飛ぶ。3mの距離、橋本の

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巌流島の闘い   (vs 鬼)

巌流島の闘い   (vs 鬼)

 寄せる白波しぶきを上げて、砂の浜には海の風。 
 下関に浮かぶ小島。その砂浜で、男二人が睨み合っていた。
「遅いぞ武蔵。何をしていた」
 美男が凄む。
「ぬふふ。そう怒るな小次郎」
 野性的な顔の相手は応える。
「怯えて逃げたかと思うた」
「馬鹿を言うな」
「……まぁよい。早速やるぞ」
「おう」

 小次郎は火薬玉を投げた。
 玉は爆ぜた。背後の森から鳥が飛び立つ。

 すると。
 森の中からぬ

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放火除霊師 火我萌絵の事件簿

放火除霊師 火我萌絵の事件簿

「燃やしましょう」火我さんは言った。「この家は燃やした方がいい」
「何だと? 君は馬鹿か?」
 松下氏の叫びが奥座敷に響く。
「ここは重要文化財だぞ。『松下家旧邸宅』だ。明治建築の粋を結集させた、日本が誇る」
「どうでもいいですね。ここは燃やした方がいい。除霊を依頼したのは貴方ですよ」
「しかし火をつけるなど」
「火をつけるのではありません。燃やすのです。お焚き上げと同じです。水野君、準備を」

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鷹の眼は神を狙う

鷹の眼は神を狙う

大統領殿へ
来月末までに10億ドル用意されたし

さもなくば、全人類を殺す

準備出来次第、署名下の電話番号に連絡乞う
今月29日までに返事がない場合 
翌30日昼、上記行為が可能であることを証明す
 
 GOD 

 

 かつての州境、今は切り立った崖となった場所に、俺とクリスは立っていた。
「で、これに返事はしなかったんだな」俺は紙を返した。
「署名が“神”だぞ? ガキのイタズラだと思うだろ

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標的:人類   【逆噴射小説大賞応募作「鷹の眼~」 プロトタイプver】

標的:人類   【逆噴射小説大賞応募作「鷹の眼~」 プロトタイプver】

大統領殿へ
来月末までに5億ドル用意されたし

さもなくば、全人類を殺す

準備出来次第、署名下の電話番号に連絡乞う
今月29日までに返事がない場合 
まず30日昼、上記行為が可能であることを証明す
 
 FOG

 クリスが俺の事務所に来たのは、“食人の王”事件を解決した3日後の昼だった。
「よう探偵さん、調子はどうだ」
 戸口にもたれつつ奴は言った。
「帰れ。クソ野郎」
 俺は起きたばかりだっ

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