百の小町 百の髑髏

くれごとに秋風吹けばあさなあさな

 上の句が吹く風に乗って届いてくる。
 薄をかきわけかきわけ歩みを進める。
 おそらくこのあたりであろうと、薄の一叢を掻き分けるとしゃれこうべがひとつ、眼窩から薄を生やしてあった。
 舌はとうの昔に朽ちて失くなっているが、吹く風に髑髏の空洞が鳴るのか「くれごとに・・・」と繰り返す。

  をのれとはいはじ薄の一むら

 下の句を詠じれば、髑髏の表に血が生じ、神経

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【連載小説】横笛の手文庫【第五回】~りうの話



 ――横笛。
 というのはたしかに歴史上に存在する女人である。
 平家物語に出てくる、宮中に仕えた下級の女官だ。出家した恋人の貴公子に恋い焦がれて、彼の修行している京の郊外の嵯峨野まで追いかけていった。その貴公子はこの恋人の横笛と、その結婚に反対する父との間で、愛と孝心の板ばさみとなり俗世を捨てたのであったが、ここで御仏の道から逸れるわけにはいかぬと思いきり、ついに女に逢わず拒み通す。
 こ

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【連載小説】横笛の手文庫【第四回】~りうの話

~四~

 佐平は、城下の辰巳屋という旧家の当主のわかい男であった。親類一族早死で、弟の存在を除けば天涯孤独だと言った。齢は二十四だと言っていた。
 柳の枝のような、幽かな男だった。美しく剃り上げた月代、町人らしく銀杏まげを結って、いつも藍の色もあざやかな上物の古着をきれいに着こなしていた。いかにも、おうように構えた旧家の男。
 肉を、一切食さなかった。
「腹は空かぬか」
 土手の草の上に直に座っ

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粘菌コンピュータによる「天皇機関」発明の幕開け。『ヒト夜の永い夢』お試し版

民俗学SFの俊英・柴田勝家氏が、稀代の博物学者である南方熊楠を通して粘菌コンピュータにより稼働する自動人形「天皇機関」発明の顛末を描いた一大昭和伝奇ロマン『ヒト夜の永い夢』。その冒頭を掲載いたします。

 天上から花が降り注ぐ。
 赤いもの、黄色いもの。極彩色の花々が灰色の空を舞い、地上へと落ちていく。それらは通りを埋め尽くす観衆の頭にも積もっていくが、彼らはそんなものお構いなし、実に楽しげな表情

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ありがとうございます!今後共どうぞよろしくお願いいたします。
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『伝奇無双 秘宝』発売中です!

操觚の会アンソロジー第二弾『伝奇無双 秘宝』(戯作舎)電子書籍のみですが、昨日から販売開始しております!

 秘宝がテーマということで、私は「朝鮮の秘宝」という物語を書きました。
 将軍吉宗の襲職祝賀の朝鮮通信使がもたらす秘宝をめぐり、名古屋の闇の中で死闘が繰り広げられます!

 執筆したのは一年ほど前です。
 伝奇は昔から大好きで親しんできましたが、読むのと書くのは大違い。結構大変でした(笑)。

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ありがとうございます! 藍色の警務科 自衛隊の警察 犯罪捜査は任せろ!
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イラスト習作・2
「月光奇譚」
まだ描きかけです。

ありがとうございます。これからも面白い漫画を描いていきます。
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イラスト習作

現在制作中のデジタルイラスト3部作の内の2枚。統一テーマは「ケモ耳で2.5頭身キャラ」を描く。

1枚目はSFファンタジーラノベ「星を喰む子供達」の表紙のイメージボードという感じ。3人が持つハサミ、万年筆、ピンセット がキーアイテム。意外とハードなファンタジー。

2枚目は和風伝奇ファンタジーゲームの「月光譚」のキャラのイメージボードという感じ。抱月城の姫「かぐや」と剣の使い手「三日月」、光の念法

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ありがとうございます。これからも面白い漫画を描いていきます。
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【オーボン・エン・オショガツ・オルトゲザー】ライナーノーツ

おれだ。あけましておめでとう。一応あれは応募作品なんで、いつもみたいにリンクや動画を貼るのは控えた。ここで解説ついでに貼る。正月仮面に酷似したニンジャが出てくるが気にするな。そういうやつだ。

正月仮面から発想を広げた。知らんやつは原作を買うかサンデーうぇぶりとかで読め。やつは主人公たちに論破され、一時的にだが「盆と正月が一緒に来た仮面」になる。どちらも日本人の聖日で、特にオーボンの重要性はヘッズ

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損害!ブリザード四姉妹!!

前回のブリザード四姉妹

取引の3時間前──日曜、午後3時。ワッケーロ邸。

ワッケーロは空いたグラスにワインを注ぐと、再び天鵞絨のソファに体を沈める。彼を囲むのは時価500万はくだらない調度品ばかりだ。

彼は中央に鎮座する硝子箱を見つめる。中にあるのはミイラ……四姉妹の母親だ。

母を人質に取られた今、四姉妹は無力だ。どんな要求すら受け入れるだろう。用済みになればサーカスに売り飛ばすのも

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