グッド・ウィル・ハンティング考察 - [AI時代における本物の知性とは]
人真似クローン vs 自分の頭で考える人
日本の教育に顕著でそこから生まれやすい『情報処理型』の人間と、自分の頭で考える『情報編集型』の人間がまず思い浮かぶ。
本に書いてあることを引用して気持ちよく喋るというのは価値観の問題だから否定はしないが、あまり近づきたくはない存在かもしれない。
なぜなら、本やネットに載っている情報は調べれば出るからだ。
だから、ウィルも『お前から学ぶものは何もない、教科書に全て載っているから』と言った。
しかし、適切な場所とタイミングで、役に立つ情報を相手に与えるならば、その情報には価値があるということになる。
それには有用性、使用価値、愛がある。
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1. 適切な場所とタイミングで、役に立つ情報を相手に与える人.
相手のニーズや興味に応えたり、問題を解決したり、会話を深めたりすることを目的としている(愛や利他が先行)。
2. 知識をひけらかすような人.
これは自慰行為的でもある。
自分の優位性や自信を示したり、周囲から認められたり、注目されたりすることを求めている。自己肯定感が低いが故に発露してしまうようなものでもある。
自分への愛や利他が足らないために自己肯定感の低下が起き、木を見て森を見ずの状態に陥り、独りよがりになり、自分が気持ちよくなることにしか目がいかなくなる(自分が一番だと勘違いしている)。ただ空回りしている。
これを解決するには、自分も他人も同じ人間で同じ物質でできていて自分と同じくらい愛すべき存在であるということを理解するのがいいと思う。心理学的にも、『相手を気持ちよくさせれば自分も気持ちよくなる』ということは確認されているし、それを活用した営業マンなどは多くいる。
3. 1に加えて、『ユーモア』や『想像力を駆使した世界観(SF的なものや神秘でもいい)』を織り交ぜたり、相手と真摯に向き合った『心の交流』ができるような人。
これが理想的だと思う。
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では、この問題を組織レベルで見るとどうだろうか?
『情報処理型』が集まってできた合理性を重視する組織と、反知性主義的でその場にある言語化できない理性だけでは到達できない流れや繋がりを重視する、主意主義的な『感覚』を大事にする組織。
この場合においても後者の方が圧倒的な力を発揮する。
『広い意味での計算』は、人間が本来持つ複雑性から発露する力には敵わないということで、これはどこか、『幼年期の終わり』の終盤の『新人類と旧人類の入れ替え』を彷彿とさせる。
私たちは変化を受け入れなければならない。
プライドと自己防衛
以下の『大事なのはお互いにとって完璧であるかということ』というのは『お互いの全てを受け入れた状態が』ということだと思う。
お互いが人間であるということを、社会などが干渉し得ない高次の部分で了解し合うことで、ある完璧な空間が生まれるのでは。
そこに言語は要らず、ただ畏敬の念をも感じさせる『何か』で繋がっているという感覚だと思う。
ウィルだけではなくショーンも、内側で起こる嵐を完全には対処していなかったわけだが、彼らのそのプライドや高い自意識は、そこらに蔓延しているものより遥かに美しかった。
なぜなら、それは、相手を自分より下に見たり、マウントを取ったりすることで解決できるほど陳腐なものではなく、高貴な性質を持ちつつも自己を蝕むようなものだったからだ。
『AI(人工知能)時代』と『人真似クローン』
現代のAI(人工知能)は、呼吸をするように既存のデータをベースに新たな物を創造したり、人間の数的処理能力の限界を凌駕する性能を持つようになった。そしてこれと同時に、人間の「価値観」も変化する。
ここから浮かび上がる共通点というのは、ウィルの言っていた『人真似クローン人間』が、AI(人工知能)の登場によってさらに増えたという部分にある。
それにより、事実、高学歴で高収入の職種(ホワイトカラー)が最もその影響を受けている(もはや人間が生産性に寄与していないというAI研究者の言葉が現実味を帯びてきた)。
(参考文献:What jobs are affected by AI? Better-paid, better-educated workers face the most exposure)
だから、これからはもっと『人間的な』ことが求められるようになる。中国のAI研究の権威によると『感情労働』の価値が見直されるという。そして、労働が強制的なものではなくなるという見方もされていた。AIが剰余価値を生み出し、それがあるアルゴリズムに則って分配されるというような感じだと思う。
とりあえず、1年後が楽しみで仕方がない!!
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