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”骨にイイ?”カルシウムにズームイン!

前回までのおさらい

手軽に始められるウォーキングだけでは骨密度を
増加させるのは難しいですが、スクワットやカーフレイズ、
ランジなどのエクササイズ、また、重りやゴムを使って筋肉を
繰り返し使うレジスタンストレーニングは骨密度を増やすのに
最適な運動であることが分かりました。

はじめに

骨に良いサプリメントと言われると多くの人が、
カルシウムやビタミンD、マグネシウムなどを
思い浮かべると思います。

そこで、今回からは”骨に良い”と言われているサプリメント
に関する論文を見ていきます。

今日は、「カルシウムと骨密度の関係」
を分析した論文です。

今日の論文

https://www.bmj.com/content/351/bmj.h4183

2015年に発表された、
①食事からとるカルシウム量を増やした場合、骨密度へ影響があるのか。
②もしある場合、その影響はサプリメントからカルシウムを
取る場合と同様の効果があるのかどうか。

を調べた論文です。

計59本のランダム化比較試験をメタ解析・系統的にレビュー
した、エビデンスレベルが高いと言える論文です。

結果

食事からカルシウム摂取を増やした場合、
前腕以外の部分で臨床試験開始から2年後に
骨密度がで0.7~1.8%増加しました

サプリメントからカルシウム摂取を増やした場合は、
1年後、2年後、2年半後の全ての観察ポイントで
骨密度が0.7~1.8%増加しました。

*骨密度の増加をより細かいグループに分けて解析した結果、
食事からカルシウムを取った場合でも、サプリメントから取った場合でも,
カルシウムを単独で取った場合でも、ビタミンDと併用した場合でも、
カルシウムの用量が1000 mg/日以上でも、1000 mg/日未満でも
500 mg/日以上でも、500 mg/日未満でも、
ほぼ同じでした。


結論


食事やサプリメントからカルシウム摂取量の増やすと、
骨密度の増加につながるが、これは摂取量や摂取期間に
応じて直線的にに増加するというもではありませんでした。

骨密度(BMD)は年齢とともに赤い線のように減少していきます。
ですが、食事やサプリメントからカルシウムの摂取量を増やすと、
0.7〜1.8%骨密度を増やすことができると分かりました。
年齢とともに減少する骨密度が減っていく速さや
減っていくこと自体を変えることはできませんが、
0.7〜1.8%骨密度を増やすことができると、
青い線のように、骨密度が減っていく前の 
”スタートライン”を変えられるというような感じです。


まとめ

閉経後の高齢女性における骨密度の平均減少率は年1%程度です
したがって、カルシウム摂取量を増やすことにより
骨密度の減少を防ぐことはできますが、止めることはできません。

ですが、
10%骨密度が増加することは 33~50%骨折のリスクの
減少につながると計算されたデータから、
食事やサプリメントからカルシウム摂取量の増やすこと
によって骨密度が1-2%増加すると、
骨折のリスクは5-10%減少することができると予測されます。

骨折リスクの5-10%減少が大したことがないと考えるか
大きな差と考えるかは、もちろんみなさん次第ですが、
以前ご紹介をした
高負荷のレジスタンストレーニングを定期的に行うと同時に、
食事やサプリからカルシウム摂取量を増やすことで
より骨密度を増やすことができますね。
そうすることで、骨折リスクをより減少させることにも
つながるのではないでしょうか。

また、今回の解析結果から分かったように、カルシウムを
高用量摂取してもそうでなくても骨密度への影響はありませんでした。
ですので、カルシウムはたくさん取れば取るほど良いわけでは
ないということは覚えておいた方がいいですね。

今後、サプリメント解説の記事を作る予定ですが、
サプリメントを利用してカルシウムを摂取する場合、
体は一度に500mg以上のカルシウムを吸収することができない
ので、
例えば、1000mgを一度に服用するよりも、500mgを2回に分けて
服用する方がよっぽど効率が良いです!

今回の論文では食事からカルシウムを摂取しても、サプリメントから
カルシウムを摂取しても骨密度への効果は同様だということが
分かったので、普段食事から取り入れることが難しい方は
サプリメントを利用してみるのもいいかもしれませんね。


次回は

引き続き、カルシウムについてもう少し詳しくみていきます。

  • どんな食べ物をどのくらい食べればいいの?

  • サプリメントを使うのであれば、どのくらい?

  • どのサプリメントがオススメ?

  • カルシウムサプリメントに入っているカルシウムの種類の解説など

ぜひ次の記事も読んでご自身の健康に
役立てていただければ幸いです

読んでくださりありがとうございました。
Moet

参考文献

Tai V, Leung W, Grey A, Reid IR, Bolland MJ. Calcium intake and bone mineral density: systematic review and meta-analysis. BMJ. 2015 Sep 29;351:h4183. doi: 10.1136/bmj.h4183. PMID: 26420598; PMCID: PMC4784773.

Kanis JA, Borgstrom F, De Laet C, Johansson H, Johnell O, Jonsson B, Oden A, Zethraeus N, Pfleger B, Khaltaev N. Assessment of fracture risk. Osteoporos Int. 2005 Jun;16(6):581-9. doi: 10.1007/s00198-004-1780-5. Epub 2004 Dec 23. PMID: 15616758.

Institute of Medicine (US) Standing Committee on the Scientific Evaluation of Dietary Reference Intakes. Dietary Reference Intakes for Calcium, Phosphorus, Magnesium, Vitamin D, and Fluoride. Washington (DC): National Academies Press (US); 1997. PMID: 23115811.

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