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読書宣言その後

先日、「読書に目覚める」 からの続きだが、kindle unlimited で『ハムレット Q1』を読み終ったので、『緋文字』を読み始めてみた。



『緋文字』がこれまためちゃくちゃ読みやすくて、「最初から日本語で書かれたのではないか? 翻訳」 だった。
もしやと思って山岡洋一氏のサイトを見返してみたら、あるではないか小川高義氏の名前が。


本当に、上記の例文を見ただけでも訳文だなんて微塵も思わないだろうことが分る。

そして私も 'one of the most ~' の訳し方には中学時代から引っかかっていたので凄く共感した。日本語として非常に違和感を覚える。
「○ 本の指に入る」 とか 「屈指の」 という表現にするべきだと思っていたが、確かに 「指折りの」 の表現の方が美しい。

山岡氏は確か英語を習いたての頃に 'Are you a girl?' の意味が分らなくて混乱したというようなことを書いていた気がする。
もちろん、灘高校を卒業して東大に受かるくらいの方なので、この英文が意味するところは分っていただろう。
(あと、私が見た限りでは優れた翻訳家の東大率が異常なほど高い気がする……)

ただ、シチュエーションとして 「あなたは女の子ですか?」 と訊く状況が理解できなかった、というような話だった気がする (違ったら申し訳ない)。

英語を習うのだから中学生にはなっていてそれなりのマナーや常識を身に付けている男子が、「あなたは女の子ですか?」 と、「あなたは男か女か分らない」 と言っているも同義の言葉をどう扱えばいいのか深刻に悩んだ…… というような内容だった気がする。

確かに 「あなたは女の子ですか?」 と訊いても許されるのは、「異性」 というものに会ったことがなかった悟空 (ドラゴンボール) くらいだろう。

山岡氏の悩みは 「習っただけで分った気にならない」 人に特有の悩みとも言えよう。


そうそう、『緋文字』に話を戻して。
訳がうまいのでスラスラ読める。まったくどんな話か分っていなかったのだけれど、姦通の話らしい😅

しかし今はまだ序文である 「税関」 章の途中である。
恥ずかしながら、3 日前くらいからずっと序文の途中である。
しかも 「本文より序文の方が面白い」 と言っている人もいた。


仕事が終って、夕飯を食べたりパートナーと会話したり風呂に入ったりと、ある程度のことが終ってゆっくり時間を取れるのが大体 22:00 くらいからである。どうせならまとまった時間を取りたい。
そうでないと頭に入ってこないからだ。

小刻みに読めるビジネス書や啓蒙系の書籍と、小説は異なるのだ。


だからすべて終って部屋を暗くし、ディフューザーを付けて自分の好きな香りを漂わせ、スマホスタンドとリモコンで 「手ぶらで読書」 を実現したのち、中学からの悩みである肩コリをほぐそうと、マッサージャー的なものを肩甲骨に挟み込む。

序章の 「税関」 は面白いのだ。とにかく揶揄がひどい。


私は漱石が好きなのであるが、特に『猫』が好きである。
とにかくくだらない。めちゃくちゃ神妙な体をしてめちゃくちゃくだらない。
中学のときに読書感想文に選んでしまったが、中古で買ってきたせいか昔 (活版印刷時代?) の新潮文庫だったのか、文字も詰まっていて読みづらいし分厚い。
序盤の 「○○候。――候。」 と続く迷亭先生 (?) からの手紙あたりで訳が分らなくなって挫折してしまった。

高校になってきちんと読んでみると、なんとくだらない、人を馬鹿にしたり揶揄したりの話が多いことだろうか。

迷亭先生のトチメンボーの話が大好きである。オタンチン パレオロガスもふざけすぎだし、苦沙弥先生がジャムを舐めすぎるとか猫が餅を食べて踊りを踊るとか、寒月君がいつまでもバイオリンを買わないとか、とにかくふざけている。

その中でも特に気に入っているシーンがある。

金田君は幸い横顔を向けて客と相対しているから例の平坦な部分は半分かくれて見えぬが、その代り鼻の在所が判然しない。ただ胡麻塩色の口髯が好い加減な所から乱雑に茂生しているので、あの上に孔が二つあるはずだと結論だけは苦もなく出来る。春風もああ云う滑らかな顔ばかり吹いていたら定めて楽だろうと、ついでながら想像を逞しゅうして見た。

『吾輩は猫である』 夏目漱石


近所の金田という家の夫妻についての、主人公の 「猫」 の描写である。ちなみに奥さんは鼻がとても大きいらしい。対して、旦那さんは平坦な顔をしているというのだ。

「春風もああいうなめらかな顔ばかり吹いていたら定めて楽だろう」 の一文がたいへん気に入っている。
雅なようで雅でない。頭のいい人はこき下ろし方にも捻りを感じる。


話が長くなったが、『緋文字』の序文 「税関」 は、まさにこんな描写のオンパレードだ。

序文 「税関」 より先に、さらなる序文が追記されていた。
これについても面白かったので、ここに全文引用してみる。

緋文字 序文――第二版に寄せて

著者としては誠に意外であり、また(迂闊なことを言って、よけいなお叱りを蒙ってもいけないが)おおいに愉快なことでもあった。本作の初版に際して、著者が税関に勤務した日々にまつわる小文を序としたところ、これが著者周辺の諸氏の間に、かつてない騒動をもたらしたのである。もし著者が税関に火を放って全焼させ、その最後の残り火に、著者が遺恨を抱いているとされる某氏の血をそそいで消したとしても、あれほどの大騒ぎになったかどうか。そこまでの悪評を買っておいて、実際こちらに非があるということなら、きわめて心苦しい事態ともなるので、この場で一言申し上げる次第である。

今回あらためて序としたものを吟味し、けしからん箇所があれば修正または削除して、指弾されたような暴言には可能なかぎり善処しようと決めていた。だが、どう読み直しても、素直な感想をあるがまま述べただけであり、文中に登場する方々の印象は総じて正確であるとしか思われない。どなたかに悪意があったのかというと、個人的にも政治的にも、何やら含むところなど一切ないと申し上げる。いっそのこと全部そっくり省略しても世の中の損にはならず、作品の本体にとって困ることもないのだが、こうして書き上げたものを見れば、精一杯の和やかな精神で書いていたようであり、これ以上に真相を描き出すことはできまいとも思う。

というわけで、以下に初版の序とした小文を再録することにしたい。一字一句の変更もしていない。

一八五〇年三月三十日 セイラムにて

『緋文字』 ナサニエル・ホーソーン


こんなことを書いておきながら、「訂正する必要なし」 と見なされた序文 「税関」 は、漱石の 「春風も~」 のような、他人を揶揄するような描写のオンパレードである。
謙虚な姿勢を見せながら、その実まったく人を食ったような内容だ。
これがめちゃくちゃ面白い。

面白いのに先ほど書いた 「マッサージャー」 のせいか、緊張が緩んで副交感神経が優位になるのか、やたら眠くなるのである。

時を待って照明やスマホ スタンド、リモコンなども色々セッティングして 「さぁ読むぞ!」 と意気込んだのに、30 分くらいでとろ~んと眠くなってくるのだ。

確かに私は寝つきが悪いので、すんなり眠れるようになるのは大歓迎なのだけれど今は 「本気で読書タイム」 なのだから歓迎していない。
あぁもうでも眠くて頭に入ってこない…… 一体何を言っているんだ、それは誰のことなんだ……

そう思ったのを最後に、手元のリモコンだけはなくすまいと、最近ベッド脇のキャスター付き引き出しに取り付けた小物入れにかろうじて入れたあと眠りに落ちているようである。

あまりにも同じパターンを繰り返しているので、もう寝てしまってもいいように顔を洗い歯磨きもしてコンタクトも外してマウスピース (食いしばり防止) も付けてから読書タイムを始める。

そうすると 「いつ寝てもいい」 せいか、より安心して早々に寝てしまう。

だから 3 日もかかって 35 ページしか進んでいないのだ。


ここで 「寝てしまうグッズ」 を紹介しようと思う。

まず、端末は自分のスマホ (Android) だ。結局 kindle paperwhite を買ってしまった。明日届くので明日の夜以降は kindle になっていることだろう。


↓ 類似品を既に持っていたのだが、アームの部分がめちゃくちゃ硬くて曲げるのに苦労する & 疲弊する。実際 「硬すぎて折れた」 とレビューしていた人もいた。こちらが 「クーポンで半額!」 になるというので買い直した。
歯医者のライトほどフレキシブルとは言えないけれど、こちらが疲弊するほど強情なアームではないので満足。


↓ 長時間稼働してくれる & 大容量。ライトも 3 とおりあって、真ん中の明るさ (暗さ?) がちょうどいい。


↓ のページめくりリモコンは、Android/kindle アプリではまったく問題なく使えた。Android/SONY Reader、iPad/kindle・SONY Reader・Ameba マンガでは、コツはいるけれど使えないことはなかった。マウス ポインタとして使うと使い物にならなさそうだったので、飽くまでも 「ページめくり」 機能に期待すべし。

 

↓ 色が一択なのが玉に瑕なのだけれど、これを色んな場所に敷いて体重をかけるとほぐれる。
それにしてもこの色はどうやって出すのかな。


↓ ベッド脇に置いているキャニスター。出し入れスムースとは言えないが、A4 サイズが入るので重宝している。


IKEA で買った方がもうちょい安い。昔は 5,000 円で買えたのだけれど、円安のせいかなぁ😭


IKEA の上記引き出しユニットはスチール製なので、マグネットがくっつく。
これで枕元にペットボトルを用意して、寝起きもすぐに水分補給が可能だ。

私は奥行きが 9cm 程度のものがよかった & 耐荷重が 2kg のため ↑ にしてしまったが、もっと奥行あってもいいなら金属製や木製の商品もあった。


高校時代からだろうか、私は読んだ本の 「良い」 と思ったところには付箋を貼り、該当箇所を罫線付きのノートに書き写していた。
そうするとその本をより深く自分の脳に刻むことができるし、時間がないときにノートだけ読み返しても、自分にとって重要な箇所を抜き出してあるので再読しているくらいの効果が得られるのだ。

なかなか時間が取れなくなって付箋貼りっぱなしの本だらけだが、最近は電子書籍で簡単にマーカーを引き、それをスクリーン ショットして専用のフォルダに突っ込んでおく、というだけでこの面倒な作業が完了してしまうのだ。

間違いなく、手動でノートに書き起こした方が記憶には残るだろう。ただし私に 「残された時間」 はどんどんなくなっていくのだ。

全然話飛ぶけれど以前 「人生 50 年くらいでいいのではと思っている」 という趣旨のノートを書いたが、「大人の休日倶楽部」 の入会は 50 歳からということを昨日思い出したので、どうも私は 50 歳で人生を完結できないかもしれない。
それともライフ ワーク (?) は 50 歳までに完成させておいて、あとは旅鉄として生きればいいだけだろうか。

旅鉄として生きれるだけの貯金はいくらかなぁ。


そうそう、近いうちにこの 「電子書籍における個人的な抜粋の最良の保存方法」 について書きたいと思う。

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